甲府盆地の真ん中にあって、四方を山々に囲まれた甲府市。
それらに守られていたかのように、市内には
「日本一の渓谷美」といわれる昇仙峡や武田信玄公ゆかりの神社など
歴史深く、神秘的な名所が数多くあります。
巡るほどに、癒されてパワーチャージができる
甲府市できらきらした旅の思い出を集めましょう。
撮影/山田大輔 スタイリング/後藤仁子
ヘアメイク/石川美幸 文/川口裕子(クレア)
車 約30分
緑豊かな山を背に佇む朱色の拝殿の、美しいコントラストが見事な金櫻神社。御神体は昇仙峡を登りつめた先の金峰山(きんぷさん)で、本宮も山頂にあります。江戸時代、修験道の場でもあった金峰山ではたくさんの水晶が採取できたため、甲府の水晶研磨・加工技術が発達。御神宝もこの地で発掘され磨き出された水晶「火の玉・水の玉」で、社務所では水晶を使ったお守りを受けることができます。また、境内にある甲府市指定の天然記念物で樹齢800年を超す杉や、御神木の「鬱金(うこん)の桜」も見どころ。4月下旬から咲き始める「鬱金の桜」は淡い黄金色を帯びた花で、その季節にこの桜を拝んで、水晶のお守りを受けると生涯金運に恵まれるといわれています。
金櫻神社
住所/甲府市御岳町2347
電話/055-287-2011
車 約32分
山梨県を代表するソウルフード、甲府鳥もつ煮の発祥の奥藤本店。誕生のきっかけは、戦後の食糧難の時代に「廃棄している鳥もつを活用できないか」という食肉業者からの相談。試行錯誤の末、考案されたメニューです。ご当地グルメの祭典で全国区の知名度となりましたが、その誕生は1950(昭和25)年頃と70年以上の歴史があります。奥藤本店では注文が入ってから、新鮮な生の鳥もつを甘辛く煮込みます。タレで照り輝く鳥もつ煮を、パクッとほおばった宮本さんは「柔らかくて、甘い」とにっこり。ほうとうや自慢の二八そばと一緒に堪能しましょう。
奥藤本店 国母店
住所/甲府市国母7-5-12
電話/055-222-0910
時間/11:30~14:30(土・日・祝日11:00~)、17:00~20:30(LO19:30)
定休日/水曜日(祝日の場合はその翌日)
車 約15分
「甲州印伝」は美しく染め上げたしなやかな鹿革にさまざまな技法で模様を浮かび上がらせる、日常使いの小物を彩る装飾の技。400年以上も前から伝わる伝統工芸品で、高級品のように思われますが、本来は日用品として使用されるものがほとんどのため、その品はもちろん、使われている技術や関連資料は保存されていませんでした。そこで1582(天正10)年創業の印傳屋が、「甲州印伝を後世に伝えたい」という使命感から印傳博物館を開館。1階の店舗では商品を買うこともできます。印伝は職人が1つずつ手作業でつくるので、同じ商品でもたくさんの色柄があります。お店では商品を選ばせてくれるので、お気に入りの1点を見つけ出して。
印傳屋 上原勇七
印傳博物館
住所/甲府市中央3-11-15 印傳屋本店2階
電話/055-220-1621
時間/10:00~17:00
休館日/印傳屋本店休業日、展示替え期間
入館料/大人200円、小・中学生100円
約400年にもわたって、その技法が受け継がれてきた甲州印伝には、3つの伝統的な技法があります。「漆付け」は手彫りの型紙の上から漆を刷り込むことで、立体的な模様を浮かび上がらせます。印伝と言えばこの技法のものを思い浮かべる人も多いはず。「燻(ふすべ)」はワラなどを燻した煙で革に色や模様をつけるもので、独特の香りが残ります。「更紗(さらさ)」は、一色ごとに違う型紙を重ねて、鮮やかな模様を生み出す技法。それら伝統的な技法を用いて、日常使いしやすい小物やバッグがつくられています。
車 約3分
宝石を眺めたり、職人の技に触れたりしながら、山梨ジュエリー産業について学べるミュージアムへ。体験工房で宮本さんは宝石研磨に初挑戦。わずか30分ほどで完成したペンダントを愛おしそうに眺め、「石を磨くなんて緊張! でも思ったより力が要らないので、お子さんからご年配の方まで楽しめそうです」と話していました。甲府市は貴金属加工、宝石研磨などの加工技術が際立つ“宝石のまち”。甲州水晶貴石細工など水晶工芸の伝統的な技術もあります。ミュージアムでは、企画展示や季節のイベントなども行っています。訪れる度に、ジュエリーに詳しくなれるはず。
山梨ジュエリーミュージアム
住所/甲府市丸の内1-6-1 山梨県防災新館1階やまなしプラザ内
電話/055-223-1570
時間/10:00~17:30 ※最終入館17:00
休館日/火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、その他臨時休館あり
入館料/無料(土・日・祝日開催の体験工房は有料)
かつて日本有数の水晶原産地として名を馳せた金峰山を中心に、甲府市では宝石研磨や水晶美術彫刻、貴金属加工の技術が発展していきました。その結果、多くの宝飾業者が生まれ、甲府市は全国トップクラスのジュエリーの産地に。市内では、独自の産地ブランドが展開。ふるさと納税の返礼品としても人気を集めています。
車 約3分
甲府駅のほど近くにある南フランス風の街並みが、1917(大正6)年創業のサドヤワイナリーです。ワインショップやレストランも人気ですが、なかでも約700坪の地下セラーの見学ツアーは大人気。地下へと続く階段を降りると、ほんのりとワインの香りが漂う、薄暗くひんやりとした空間が広がっています。知識豊富なスタッフの解説を聞きながら、ワイン製造の流れや、かつて使われていた設備や機械などを見学すればすっかり山梨ワインのとりこに。終わったあとは試飲もできて、もちろんお土産として購入することも可能。見学ツアーは平日は1日2回、週末は1日5回実施されていますが、人気のため3日前までの事前の見学予約がおすすめです。
サドヤワイナリー
住所/甲府市北口3-3-24
電話/055-251-3671
時間/10:00~17:00、土・日・祝日10:00~18:00
定休日/火曜日
※見学ツアーについてはHPをご確認ください
ブドウの産地でもある甲府は、1870(明治3)年頃、日本で初めてワインを醸造した日本ワイン発祥の地。市内には5ヵ所のワイナリーがあり、見学や試飲ができます。
●サドヤワイナリー(甲府市北口3-3-24)
●ドメーヌQ(甲府市桜井町47)
●シャトー酒折ワイナリー(甲府市酒折町1338-203)
●信玄ワイン(甲府市中央5-1-5)
●スプリングワイン(甲府市朝日4-5-3)
車 約10分
武田信玄公が湯治をしたという記録が残る「信玄の湯 湯村温泉」を楽しめる常磐ホテル。昭和天皇も宿泊され、甲府の迎賓館として名高いホテルです。太宰治や井伏鱒二といった文豪に愛され、囲碁や将棋のタイトル戦の舞台となるなど、甲府の文化を長きにわたり見守ってきました。約3,000坪の日本庭園は、アメリカの「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」で全国第3位に輝くなど、世界からも注目されています。宮本さんも「都市にあるのに、まるで森の中にいるような不思議な気分」とリラックスモードです。
常磐ホテル
住所/甲府市湯村2-5-21
電話/055-254-3111