路線バスでつなぐ、長野県諏訪の「水」を巡る旅

7月20日に開催した旅色LIKESイベント「ちゃんと旅を考える会」。今回は、諏訪エリアにどうすれば人が来るのかというテーマでLIKESメンバーと諏訪地方観光連盟の方とで話し合いました。実際に諏訪エリアに住んでいる旅色LIKESメンバーのみっちゃんが、イベントを通して気づいたことと諏訪エリアの魅力を2泊3日のプランをつくって教えてくれました。
目次
◆この記事を書いたメンバー

みっちゃんさん(1期生)
オーダーメイド旅行を提案する株式会社ウェブトラベルのトラベルコンシェルジュとして活動。【300組/700名以上】の手配実績。旅色LIKESでの活動を通じて知見を広げたいと考えており、最近は暇さえあれば、NO密で濃密な弾丸ドライブツアーを楽しんでいます。
諏訪エリアについて考えた
7月20日に開催された旅色LIKESのイベント「第四回ちゃんと旅を考える会」に参加しました。「地域活性について考える~諏訪エリア編~」という少し難しいテーマ。ちなみに諏訪エリアとは、諏訪市・下諏訪町・茅野市・岡谷市・富士見町・原村の6市町村の総称のことです。

富士見高原リゾート花の里
LIKESメンバーとオブザーバーで参加した諏訪地域観光連盟の方と意見を出し合いました。私は、諏訪エリアの「富士見町(ふじみまち)」に住んでいるので、地元住人の視点でお話ししました。
諏訪地方観光連盟の方「観光客をもっと呼びたい」
私「意外と観光客来ていますよ」
諏訪地方観光連盟のみなさんと感じ方が違っていたことが最大の気付きでした。

富士見パノラマリゾートの雲海
他にも気づきがありました。
・〇〇へ行く途中で諏訪を通り過ぎた
・駅から各観光地まで遠い
・もっと若者に来てほしい
など、住んでいると気付けないことが多く勉強になりました。
トラベルコンシェルジュをしている私にとって「旅行×地域活性」はこれからも仕事のテーマです。せっかく諏訪地域について話し合ったので、改めて考えた「諏訪の魅力」を詰め込んだモデルコースを考えてみました。
諏訪エリアの課題を感じさせない旅の概要

ただの旅行プランではなく、話し合いの中で出た課題を解決できるように考えます。
課題1. 〇〇へ行く途中で諏訪を通り過ぎた
解決施策)諏訪エリアで2泊することが必要な行程にする
課題2. 駅から各観光地まで遠い
解決施策)現地は、路線バスと徒歩で移動する
課題3. もっと若者に来てほしい
解決施策)SNS映えする体験や観光地をピックアップする
今回の旅のテーマは「諏訪の水を巡る旅」です。
【1日目】茅野駅~蓼科湖
アルピコ交通 奥蓼科渋の湯線
10:25出発 茅野駅⻄口①番乗場
11:05到着 明治温泉⼊口
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御射鹿池(みしゃかいけ)

標高1,500メートルの山の中にある風光明媚なため池。水面には背景の山々の風景が逆さに映り込み、幻想的な光景を創り出します。日本を代表する画家の東山魁夷氏の有名な作品「緑響く」のモチーフにもなったことでも知られています。

吉永小百合さんが出演したSHARPのAQUOSのテレビCMで使われていましたので、見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。日帰りバスツアーにも組み込まれる人気スポットです。
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アルピコ交通 奥蓼科渋の湯線
11:48出発 明治温泉⼊口
12:23到着 永明中学⼊口
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信濃路遊膳 そばのさと
八ヶ岳産一等級玄そばを使用した「十割どうづきそば」は絶品です! 「どうづきそば」とは石臼を一切使わず、そばの実を甘皮がついた状態で2日間冷水にさらした後、発芽する頃に杵と臼でつく新しい製法です。

◆信濃路遊膳 そばのさと
住所:長野県茅野市塚原2丁目15-16
電話:0266-73-0209
営業時間 :11:00∼21:00
定休日:木曜日
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アルピコ交通 ⽩樺湖・⾞⼭⾼原線
13:47出発 永明中学⼊口
14:31到着 東白樺湖
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白樺湖(しらかばこ)

真っ白な幹が映える白樺の木に囲まれた、標高約1400メートル、湖周4キロメートルの湖。蓼科山の八子ヶ峰と車山、霧ヶ峰に囲まれた湖畔には、美術館やレジャーランド、日帰り温泉などがあります。
ローソン ビーナスライン白樺湖店
日本一標高の高い場所にあるコンビニです。標高1420メートル。新しい形態の滞在拠点機能併設型の店舗でリゾートローソンと言われています。旅行案内所や地域産品の直売所、住民と観光客の交流サロンスペースなどが併設されています。
◆ローソン ビーナスライン白樺湖店
住所:長野県北佐久郡立科町芦田八ケ野 白樺湖1570-1
電話:0267-55-7321
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アルピコ交通 北八ヶ岳ロープウェイ線
16:15出発 東白樺湖
16:58到着 リゾートホテル蓼科前
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リゾートホテル蓼科
1日目は北八ヶ岳ロープウェイ線で43分の「リゾートホテル蓼科」に宿泊します。
◆リゾートホテル蓼科
住所:長野県茅野市北山4035
電話:0266-67-2626
【2日目】蓼科湖~上諏訪温泉
蓼科湖(たてしなこ)散策

標高1250メートル、ビーナスラインの道沿いにある高原の湖。周囲をカラマツやシラカバの林に囲まれ、南側に立てば、蓼科山や横岳の山容が湖面にくっきりと映し出される静かな湖です。春から夏にかけては色とりどりの花々が湖を囲みます。

秋には鮮やかな紅葉が湖面を赤く染めます。期間限定のライトアップはとても幻想的です。
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アルピコ交通 ⽩樺湖・⾞⼭⾼原線/霧ヶ峰線
09:45出発 リゾートホテル蓼科前
10:59到着 霧ヶ峰インターチェンジ
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霧ヶ峰(きりがみね)

深い翠と抜けるような青空のコントラストは息をのむ美しさです。富士山やアルプス、八ヶ岳連峰など、日本が誇る名峰も一望のもとに。

レンゲツツジやニッコウキスゲ、マツムシソウなど季節の高山植物が緑の草原を色とりどりに染め上げます。霧ヶ峰高原に降り注いだ雨は、時間をかけて地中で浄化され、伏流水となり農業用水や生活用水として利用されています。

霧ヶ峰ビーナス
霧ヶ峰インターチェンジにある旅の駅。お食事処やお土産店があります。テーブル席から高原の風景も眺望できます。
◆霧ヶ峰ビーナス
住所:長野県諏訪市四賀 霧ケ峰7718-9
電話番号:0266-75-1363
営業時間:10:00~16:30
定休日:無休(4月下旬~10月下旬 冬季休業)
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アルピコ交通 ⽩樺湖・⾞⼭⾼原線/霧ヶ峰線
12:59出発 霧ヶ峰インターチェンジ
13:08到着 八島湿原
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八島ヶ原湿原(やしまがはらしつげん)

八島ヶ原湿原は、高層湿原の南限で国の天然記念物に指定されています。標高1630メートルの涼やかな湿原は高山植物の宝庫です。年間約360種類もの植物が咲き誇り、華やかに彩ります。八島湿原は1万2千年前に誕生して以来、今もなお成長しているんだそうです。

遊歩道が整備されていて1周は約1時間30分。散策にはちょうどいい距離です。「天空の箱庭」とも称される美しい風景は、新海誠監督の映画『君の名は。』でも描写されたと言われています。
◆八島ヶ原湿原
住所:長野県諏訪郡下諏訪町 八島湿原
電話:0266-52-7000
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アルピコ交通 八島湿原線
15:13出発 八島湿原
15:55到着 上諏訪駅
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上諏訪温泉
2日目は上諏訪温泉付近に泊まります。
【3日目】諏訪湖周辺
コミュニティバス「かりんちゃんバス」すわ姫号すわライナー
08:33出発 片倉館前
09:23到着 SUWAガラスの里
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諏訪湖 ダックツアー(10:00発)
湖の観光の定番といえば遊覧船ですが、諏訪湖には陸上も水上も一度に楽しめる水陸両用車を利用した「ダックツアー」があります。ガイド付きの約50分(諏訪湖クルーズは20分)のツアーです。車高3.7メートルからひと味違う街並や観光名所を観つつ、颯爽と風を受けて陸上走行します。

一番のお楽しみは、カウントダウン後の諏訪湖へのスプラッシュイン! 車内は歓声に包まれます。

湖面からはアルプスや八ヶ岳連峰の雄大な景観、迫力のある間欠泉を楽しめます。天気がよければ富士山を望む絶景ポイントに巡り合うこともできます。
◆諏訪湖ダックツアー
住所:長野県諏訪市豊田2400-7
電話:0266-75-2650
営業時間 :09:30~17:00
その他:予約制 (1日7便運行 )
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コミュニティバス「かりんちゃんバス」すわ姫号すわ外周線
11:10出発 SUWAガラスの里
11:33到着 上諏訪駅諏訪湖口
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諏訪で「うなぎ」を食べる!

昭和30年頃まで天然うなぎが豊富に取れ、高い漁獲量を誇っていた諏訪湖。周辺の諏訪市、下諏訪町、岡谷市には現在でも多くのうなぎ専門店があり、それぞれの店舗で伝統の味が受け継がれています。関東風(背開き、蒸し焼き)と関西風(腹開き、地焼き)のお店が混在していて両方の味わいが楽しめます。
おいしいご飯で満たされた後は、諏訪湖を散策するのもおすすめです。
諏訪湖観光汽船の売店

食後のデザートに、諏訪の郷土食「イナゴの甘露煮」を使った「バッタソフト」はいかがでしょうか? イナゴのエキスを使うとか、パウダーにして混ぜるとかでなく、チョコレート感覚でイナゴの甘露煮をイン! 見た目は衝撃的ですが今やここの名物です。
◆諏訪湖観光汽船 売店
住所:長野県諏訪市湖岸通り3丁目1-27
電話:0266-52-0739
営業時間:9:00~17:00
諏訪五蔵の酒蔵めぐり

甲州街道方面へ向かい、上諏訪駅近くの甲州街道沿いの500メートルの間に「舞姫」「麗人(れいじん)」「本金」「横笛」「真澄」の5つの酒蔵が軒を連ねています。気軽に歩ける近さに酒蔵が集まっていることもあり、各酒蔵自慢のお酒を呑み歩く酒蔵めぐりができます。

諏訪の酒の旨さは全国でもトップレベルです。その秘密は、霧ヶ峰高原から湧き出る良質な伏流水と、澄んだ空気、冷寒な気候風土にあります。それぞれ同じ霧ケ峰高原の伏流水を仕込み水として使い、競い合いながら個性豊かなお酒を造り続けています。

「麗人」の入り口には霧ヶ峰の伏流水を井戸で組み上げたおいしいお水が湧いています。日本酒を飲む際には水分補給が大切です。おいしい水をたくさん補給して行きましょう!
ゴールは上諏訪駅

上諏訪駅構内には「足湯」があるってご存じですか? 私の学生時代は全国初の男女別の駅露天風呂として有名でした。2002年により気軽に利用できるよう足湯にリニューアルされ、電車待ちのちょっとした時間にも楽しめるスポットになりました。旅の疲れ、歩き疲れを足湯でリフレッシュ。
まとめ

富士見町の風景
路線バスの時刻表とにらめっこしていると「ここにもバスで行けるのか!」という観光スポットが意外と多いことに気づきました。しかし、本数や乗り換えを考えると1日で全部周遊することは難しいです……。諏訪エリアに宿泊するとどうなるのか? 選択肢が広がります。ここに活性化のヒントが隠されていると感じました。
諏訪には国内でも有数の観光資源がありますが、それぞれが独立していて連携が取れていない気がします。テーマ性、ストーリー性のあるコンテンツを磨き上げていくと諏訪の見え方が変わってくるのかなと思います。多くの旅が実現しますように!
上諏訪駅までのアクセス情報

<鉄道利用 上諏訪駅まで>
・新宿駅から:約2時間20分(特急利用)
・名古屋駅(塩尻乗り換え)から:約2時間20分(特急利用)
<高速バス利用 上諏訪駅まで>
・新宿から:約3時間
・大阪梅田から:約6時間
※新型コロナウイルスの影響により、路線バスの時刻、観光施設の営業時間が変更となっている場合がございます。おでかけの前にHP等で最新の情報をご確認下さい。