【倉方俊輔の建築旅】京都モダン建築祭いよいよ開催! “生きた文化財”に触れる旅

京都府

2022.10.28

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【倉方俊輔の建築旅】京都モダン建築祭いよいよ開催! “生きた文化財”に触れる旅

この秋、京都のモダン建築が一斉に扉を開きます。パスポートを購入すると、普段は一般に立ち入れない京都の近現代の建物を見ることができたり、特典があったり、イベントに参加したりできるのです。せっかくなら宿泊も名建築を選び、たっぷり京都のモダン建築の魅力に浸ってみては。

文・写真/倉方俊輔

目次

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今年初開催の「京都モダン建築祭」(11月11日~13日)

赤レンガが目を引く「聖アグネス教会」(1898)と「平安女学院」(1895)/御所西エリア

建築祭の期間だけ入れる場所も「京都府立図書館」(1909)/岡崎エリア

京都に泊まるなら「丸福樓」(1930)へ

今年初開催の「京都モダン建築祭」(11月11日~13日)

京都モダン建築祭

建物の持ち主や関係者のご厚意によって、年に1回、ある都市の建築が公開されるイベントは近年「オープンハウス」と呼ばれ、世界的に広まっています。国内で大きなものが、2014年に始まった「イケフェス大阪」(生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪)です。これを仲間と一緒に立ち上げた私は、今回が初回の「京都モダン建築祭」の実行委員でもあって、その展開にワクワクしています。
京都の建築というと、寺社仏閣や町家のイメージが強いかもしれません。それに加えて、洋風であったり、近代的であったりといった明治以降の建物がバラエティに富んでいて、質も高く、よく使われています。このことからも京都の文化を実感できるのです。
「京都モダン建築祭」で特別公開される建物のほんの一部になるのですが、そのいくつかをご紹介しましょう。

赤レンガが目を引く「聖アグネス教会」(1898)と「平安女学院」(1895)/御所西エリア

聖アグネス教会
聖アグネス教会

京都御苑の向かい、烏丸通に沿って重厚な赤レンガの姿を見せているのが「聖アグネス教会」です。つくられたのは今から約120年前の明治31年(1898)ですが、内部のつくりも本格的です。木造の柱から斜めの材が伸びて天井を支え、広々とした堂内が生み出されています。

聖アグネス教会
聖アグネス教会

色鮮やかなステンドグラスの三角形は、父なる神、子なる神(キリスト)、精霊なる神が三位一体であることを表しています。この教会の献堂時の名称は、聖三一大聖堂でした。

・聖アグネス教会
住所:京都市上京区烏丸下立売角
公開日時:11月11日(金)、12日(土)10:00〜16:00、11月13日(日)13:30〜16:00
最寄り駅:地下鉄「丸太町」、バス停「烏丸下立売」「烏丸丸太町」

教会は日本聖公会京都地区の大聖堂であり、学校の礼拝堂としてつくられました。明治28年(1895)に、大阪の川口居留地にあった女学校がこの場所に移転し、「平安女学院」という現在の名称に。この年に完成した校舎が現在も使われています。

平安女学院 

平安女学院 明治館

平安女学院

教会の奥に「平安女学院大学 明治館」があります。内部には折り返し階段を中心に、天井高の異なる教室が配置されています。ハンマービームと呼ばれる短い梁をアーチで支えて壁から突き出させた特徴的な部屋があったり、当初からの暖炉が残されていたりと、歴史を刻む学び舎が今も現役です。いずれも通常は一般には非公開ですが、11月11日(金)~13日(日)の所定の時間には、特別に平安女学院大学国際観光学部の有志学生の皆さんにご案内いただきます。

・平安女学院大学
住所:京都市上京区武衛陣町221
公開日時:11月11日(金)10:00〜16:00 ※室町館は1階のみ公開
11月12日(土)、13日(日)10:00〜16:00
最寄り駅:地下鉄「丸太町」、バス停「烏丸下立売」「烏丸丸太町」

歴史ある大学が市内に多くあるのも、京都の特徴の一つです。同志社大学のキャンパス内には、国の重要文化財がなんと5棟も。その一つ「ハリス理化学館」は、先ほどの「平安女学院大学 明治館」と同じ、イギリス人建築家のアレクサンダー.N.ハンセルによる設計です。煉瓦と石を共に使った柔らかさや、入り口部分の流麗な装飾など、似ている部分を見つけ出してみてはいかがでしょう?

建築祭の期間だけ入れる場所も「京都府立図書館」(1909)/岡崎エリア

京都府立図書館

「京都モダン建築祭」が注目するエリアの一つが岡崎エリアです。ここで明治28年(1895)、第4回内国勧業博覧会という当時のビッグイベントが開催され、平安神宮が創建されました。その近くには図書館や美術館、道場や会館といった建物がつくられていきます。
いずれも近代的な生活を後押しするための施設です。それぞれに第一線で活躍する建築家たちが起用されました。その結果、さまざまな時代の息吹を伝える、第一級の建築が集積することに。岡崎エリアは、日本の近現代建築の粋を知るのに最もいい場所なのです。
建築公開イベントのよさは、普段は管理上、入れないような場所に特別に行けることもあります。新たな視点で建物に接すると、また違った感動があります。

京都府立図書館
京都府立図書館

「京都府立図書館」では通常立ち入り不可の外階段、通常一般非公開の家具展示コーナーを「京都モダン建築祭」の3日間、開けていただきます。この建築は武田五一という、京都に大きな足跡を残した建築家の作品です。明治末にこれほどモダンな建築や家具を設計したのかと感じられるはず。

・京都府立図書館
住所:京都市左京区岡崎成勝寺町
公開日時:11月11日(金)~13日(日)10:00〜17:00
最寄り駅:地下鉄「東山」、バス停「岡崎公園ロームシアター京都・みやこめっせ前」「岡崎公園美術館・平安神宮前」

岡崎エリアでは、その他「平安神宮」、「京都市京セラ美術館」、「京都国立近代美術館」、「京都市武道センター(旧武徳殿)」、「ロームシアター京都」、「京都国立近代美術館」、「ウェスティン都ホテル京都」、「時忘舎(旧竹中精麦所)」にも、普段とは違った建築への視点を与えていただきます。

京都に泊まるなら「丸福樓」(1930)へ

丸福樓

もちろん、京都は1日では見切れません。この機会に、名建築に宿泊してみてはいかがでしょうか。
例えば「丸福樓」は、旧任天堂本社が2022年4月にリニューアルした全18室の小さなお宿。昭和初期から時を重ねた社屋の趣が、今に生かされています。安藤忠雄さんが設計監修した部分が新しさを添えて、どの部屋に泊まるか、嬉しく迷うことができます。

丸福樓
丸福樓

当時最新流行のアール・デコのデザインやタイルといった素材を採り入れながら、小気味良いセンスと工芸的なものづくりが心落ち着かせる。そんな京都のモダンが発見できるでしょう。

・丸福樓
住所:京都府京都市下京区鍵屋町342
最寄り駅:京阪「七条」、地下鉄「五条」、バス停「河原町正面」

◆京都モダン建築祭
会期:2022年11月11日(金)~13日(日)
チケット:<パスポート>WEB決済1,500円、当日現金2,000円、<地下鉄1日券セット券> 2,300円、<地下鉄・バス1日券セット券>2,600円
公式サイト:https://kenchikusai.jp/

木村多江さんが何度も訪れた京都で新たな魅力を発見「旅色FO-CAL京都府特集」公開

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#イベント #建築 #京都府 #京都モダン建築祭

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建築史家 倉方俊輔

建築史家

倉方俊輔

1971年東京都生まれ。大阪公立大学教授。日本近現代の建築史の研究と並行して、建築の価値を社会に広く伝える活動を行なっている。著書に『京都 近現代建築ものがたり』(平凡社新書)、『東京レトロ建築さんぽ』(エクスナレッジ)など。Peatix「Kurakata Online」や「朝日カルチャーセンター」で、建築の見かたをやさしく学ベるオンライン講座も開講中。

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