【開館中】薬剤師!? 文化人!? 「どうする家康展」で見つけた徳川家康の意外な素顔
2023年の大河ドラマ「どうする家康」の主人公・徳川家康。歴史上の人物として誰もが知る武将です。今回はより家康のことを知るべく、4月15日(土)~6月11日(日)まで開催している「どうする家康展」に行ってきました! これまで教科書やドラマ、映画などで登場してきた家康とは少し違った一面を知れますよ。
※今回は特別に撮影の許可を得ていますが、展示会場は撮影禁止です。
※展示の接写はできなかったため、記事内でご紹介するポイントは当日じっくり確かめてください!
目次
「どうする家康展」の概要
展示会は三井美術館(東京都)、岡崎市美術館(愛知県)、静岡市美術館(静岡県)の3館を周る巡回展ですが、展示作品に違いがあり、すべて巡ることで家康の一生がたどれる展覧会になっています。3館で紹介されるのは280点の展示品で、そのうち三井美術館では120点を展示しています。
また、館内では有料の音声ガイドがレンタル(650 円)でき、ナビゲーターは「どうする家康」で二代将軍・家忠の母として家康を支えた於愛の方(おあいのかた)を演じる女優の広瀬アリスさんがつとめています。解説の中では展示ごとに「この時代の家康にとって○○という出来事が『どうする』を問われた場面です」とドラマの内容に沿ったお話が出てくるので臨場感があります。
家康の意外な姿① 健康オタクな一面も! 自身で薬を調合するこだわりぶり
展示室1で紹介しているのは家康が亡くなるまで愛用していた品々。短刀や火縄銃、茶器などがありますがここで注目したいのは「びいどろ薬壺」。
家康は、健康オタクという顔ももっていたとされていますが、自ら薬を調合し家臣にも与えていたそう。薬壺には粉末が入っており、胃腸の薬とされる「陳皮」(ミカンの皮を干したもの)とされています。また、薬を擦り潰したり捏ねたりする際に使ったとされる「青磁鉢附乳棒」、調合する際に参照していた中国の薬剤処方集「和剤局方」が展示されています。これらの展示から実は家康は薬剤師のような一面をもっていたことがわかります。「関ヶ原の戦い」や「大阪夏の陣・冬の陣」などの戦に勝利し、天下を収めた将軍としての姿からは少し想像がつきませんね。
家康の意外な姿②たぬき親父ではなかった!?
展示室2・3には国宝の刀剣や家康ゆかりの茶道具などが展示されています。そこを通り抜け、展示室4からは家康の誕生から死後までを展示品を通して紐解くコーナーへ移ります。
こちらでは家康の誕生から織田信長との連合軍で武田勝頼と戦った「長篠の戦い」や、本能寺の変で明智光秀が謀反を起こし、豊臣秀吉が天下を取るまでを紹介。また、家康の母・於代の方や織田信長、豊臣秀吉の姿が描かれた図や、織田信長が今川義元を討ち取った「桶狭間の戦い」を描いた巨大な合戦図があります。展示室の壁一面を埋め尽くすほどの大きさに圧倒されます......。
展示室4の中で注目したいのは「徳川家康画像」。歴史の教科書などに載っている家康の絵は「たぬき親父」と称されるようにふくよかで目がぎょろっとしていますが、今回展示されているのは家康の九男で尾張徳川家初代・義直が描いた晩年の家康の肖像画。73歳で亡くなった家康の姿はしゅっとしていて目も穏やか。武将としての貫禄というより、薬を調合するほど勉学に熱を入れていた文化人としての穏やかな印象が伺えます。息子が描いた絵と聞くとより説得力を感じます。
家康の意外な姿③日本の印刷技術を発展させた!
展示室5・7では家康が天下を取るまでの過程と、死後について紹介されています。家康史上、有名な合戦「関ヶ原の戦い」を描いた「関ヶ原合戦図屏風」が展示室入口すぐ傍にあり、さらに奥へ進むと豊臣家を滅ぼした「大坂冬の陣・夏の陣」を表した屏風があります。それぞれ壁を埋め尽くすほどの大きさで圧巻です。
ほかにも絵巻や鎧などが展示されていますが、こちらではぜひ「駿河版銅活字」と「伏見版『六韜(りくとう)』」に注目を。「駿河版銅活字」は、江戸幕府が開かれてから4年後の1607年(慶長12年)、駿府に隠退した家康が命じて作らせたもので、日本初の活字にまつわる一大プロジェクトの成果です。「伏見版『六韜』」とは京都の伏見で作らせた活字で出版された中国の兵法書のこと。「関ヶ原の戦い」前後、武士たちの戦いへの意識が高まっていたこともあり、重版もされベストセラーとなりました。家康のこうした出版事業の取り組みの結果、いままでは秘伝や秘蔵とされてきた知識が世に普及されるようになるほか、江戸時代には仮名草子・人情本・滑稽本・浮世絵といったさまざまな出版物が発行されました。家康の功績により、あらゆる人々が多彩な文化に触れられるようになったことがわかります。
おわりに
これまでの家康とは違った人物像を描いている『どうする家康』。展示会でもあらたな家康の素顔を垣間見ることができました。今回の展示で紹介した品はほんの一部。まだまだ家康の意外な一面が知れるほか、有名な合戦や偉人についてもより詳しく解説されています。よりディープに大河ドラマを楽しいたい人はもちろん、歴史に苦手意識をもっている人もぜひ足を運んで世界観に浸ってみてください。
◆三井記念美術館
住所:東京都中央区日本橋室町 2-1-1 三井本館 7 階
電話:0246-73-2525
会期:4月15日(土)~6月11日(日) ※会期中、展示替えを行います。
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(但し 5月1日(月)は開館)
入館料:一般1,500円、大学・高校生1,000円、中学生以下 無料 ※ガイド機の貸出しは650円