高級コンデジ「RICOH GRIIIx」でお料理写真を撮るコツ
食べ物を旅の思い出や記録とする人も、食べ物が目的の旅もあります。旅先や飲食店での撮影は、テーブルセッティングやライティングを施して撮影する写真とは異なり、訪れたその場の環境を活かして撮影する難しさもありますが、おいしさが伝わる写真を残したいもの。2023年3月に開催された、旅色LIKESメンバー向けイベント「グルメ撮影&フォトウォークin 門前仲町」で、皆さんから寄せられたお料理撮影のお悩みポイントをもとに、旅記事に役立つお料理写真を撮るコツをご紹介いたします。
Text&Photo:こばやしかをる
撮影機材:RICOH GRⅢx
目次
「RICOH GRIIIx」は、料理写真にもふさわしいカメラ
撮影イベント当日は、メーカーさんよりRICOH GRIIIxをお貸出しいただき、グルメ撮影&フォトウォークを体験していただきました。GRIIIxは高級コンデジであり、レンズ交換式カメラに匹敵する写りと、画質の良さが魅力のカメラです。
初めてのRICOH GRIIIxで撮影に挑戦
スマホカメラの28㎜広角レンズとは異なる40㎜という画角であり、画面の周囲が歪んだり、パース(遠近法)が付いてデフォルメされたりしにくいのでお料理撮影に適しています。また、本体はスマートフォンと変わらないくらいコンパクトなサイズで、食事中でもカメラを構える大げさな格好にならず、周囲に配慮できる点でも、飲食店で撮影をするのにふさわしいカメラといえるでしょう。
グルメ撮影会でランチのご提供をいただいたのは、以前、旅色LIKES掲載の記事で取材にご協力いただいた、東京イーストサイド ホテル櫂会(かいえ)さん。撮影会会場は、2Fにあるレストラン「アンサンブル」です。広々としていてアットホームな雰囲気の店内で、本格的なホテルレストランの味を堪能できます。ランチタイムはビュッフェスタイルで、盛り付けを行った上での撮影となり、ちょっとハードルが高く感じられましたが、歓談タイムも交えながら参加者の皆さんと撮影をたのしみました。
東京イーストサイド ホテル櫂会(かいえ)さんは、春のいちごスイーツ探しでも紹介しています。
お料理写真の役割を明確にしよう
皆さんからよく聞くお料理写真の悩みは、「漠然としている」ということ。撮影する際に全体像を捉えることで、あれもこれも画面に取り入れた“欲張り写真”や“記録写真”になっていることが原因です。その料理を食べたということは分かりますが、その中で何がメインなのか、おいしいと感じたものはどれなのか。まずは撮影する前に伝えることを明確にし、写真の役割を理解しておくことが大切です。
■主観=好きな雰囲気の写真
ブログのトップ画像やサムネイル画像で目を引く写真です
自分のための写真、SNSで映える写真
■客観=伝えるための写真
実際に訪れたお店の雰囲気や食卓を伝える役割があります
相手に伝えるための写真、レポート写真
旅写真としての撮影ならば、後者の客観的であることが前提になります。まずは、主観と客観を使い分けた撮影を心がけましょう。
テーブルフォトは、「しっかりと真っすぐに&お皿切り」が鉄則
テーブルフォト(卓上のモノを撮る写真)をスマホカメラで撮影すると、広角レンズでの撮影となり、パースが付いて画面の周囲に広がりを感じてしまいます。そのため、主役が分かりづらい漠然とした写真になりがちです。私の愛用しているカメラ、RICOH GRIIIxでは、「クロップ」(撮影画面の周囲が切り取られるデジタルズーム)50㎜を用いて撮影しています。これにより、標準レンズのような画角になり、歪みが生じにくくなります。
また、カメラ内の設定で「グリッド線」を画面に表示させておき、撮影時に不安定な要素を与えないようにしっかりと水平垂直を確認します。
50㎜という焦点距離で撮影し、お皿をあえて切り取ることで、周りの余計なものを見せない効果があります。お皿の中の主役を明確にすることができる「お皿切り」はぜひ見につけておきたいものです。
食べ物にも「顔」がある! 角度やアングルは重要
普段何気なく食べているお料理にも、 しっかりと見せるべき「顔」があるのはご存知でしょうか。調理人が考えて盛り付けた、いわば見せるべき「面」です。お気に入りのモデルさん、俳優さんのカッコイイ! 素敵! と感じる顔の角度や、ご自身が写真を撮られたりするときも「こっちの顔が好き」という方もいらっしゃると思います。それと同様に、お料理を提供する際にウェイターさんがお料理の向きを整え、「顔」を見せて目の前に置いてくれます。
お料理を撮影する角度によって写真の意味合いも変わってきます。しっかりと向き合い、着席した位置からアングルやお皿の向きを変えて素敵に見える角度で撮影をしましょう。
おいしさがアップする「立体感とシズル感」のある撮影
室内の照明だと難しく感じられる逆光ですが、お皿の置かれた位置よりも画面の奥(背景の照明、窓からの光など)が明るい状態であればそれも逆光です。また、窓のあるお店では、自然光を活かしたサイド光や、お皿の斜め後ろから射す半逆光で撮影することができるので、立体感のある撮影が可能になります。着席した場所でどんな光を活かして撮影できるのか、お料理が出てくるまでに考えておくのがポイント。光の射す方向が分かれば、照りやツヤといったシズル感のある撮影が可能になります。
さらに、器に近づいて撮影する場合には、GRIIIxの「クロップ」50㎜に加え、「マクロモード」に設定。最短撮影距離10㎝で撮影すれば、素材感の伝わる写真になり食欲もアップ。近づくことでボケが生まれ、お皿の中にも奥行きのある写真になります。
バリエーションのある撮影を心がけ、シチュエーションと共に伝える
旅の写真である以上、見た目やおいしさだけではなく、場所や雰囲気、シチュエーションと共に伝える必要があります。写真を見た人がお店を訪れてみたいと思う写真には、その場の雰囲気が写されています。また、旅の思い出でもあり、どんな場所で食べたのか記憶に残ることも大切です。撮影する際に3つのパターンを心がけて撮影しておきましょう。そのことで伝えるべき情報が明確になります。
①縦・横などの変化を持たせる
まずは、GRIIIxの「クロップ」50㎜で撮影しましょう。食事の中で何を見せるべきかを考え、しっかりと主役を決めておきます。縦・横・アングルを変えて撮影し、バリエーションを持たせます。
②横から近づいてお料理の断面を見せる
横(側面)から撮影する場合は、「マクロモード」が大活躍します。被写体近く、10㎝までグッと寄り、中身にどんなものが入っているのか、素材感を見せましょう。お肉料理などのボリューム感や、ケーキなどの断面を見せたいときに効果的な撮影です。
③食事をしているシチュエーションを伝える
カフェや飲食店などで撮影するときに重要なのは、しっかりと店内環境も見せること。背景を取り入れ、どのような雰囲気なのか体験的に伝えることで、初めてお店を訪れる人にも安心感を与えることができますし、自分自身の記憶にも残ります。
お料理を撮影するシーンやイメージはさまざま
じっくりとお料理を撮影するのもいいですが、旅先で食事を楽しむシーンはさまざまです。パートナーとの食事の様子や、食べ歩きの楽しさが伝わる写真も魅力。食べる直前に口へ運ぶまでの疑似的体験や、手元が写ればお料理の大きさをイメージさせることができます。
また、器、テーブルなどに使われる材質・質感、色によってもお料理の印象は大きく変わります。お店やお料理のコンセプト、シチュエーションに合わせて選ばれたテーブルウェアからイメージを伝えることも大切です。そうするとお料理のグレードが分かり、お店への期待感もアップします。
おわりに
スマホ写真はとても気軽ですし、加工やコラージュなどができてとても便利ですが、おいしさが伝わる「写真の質」を求めるならカメラが一番。しかも、いつも持ち歩けるサイズのGRIIIxなら、旅先のさまざまなシーンで活躍してくれます。また、日頃から撮影することの多いお料理写真は、毎日の食卓や外食時に撮影しながら日々挑戦することを心がけて。自分自身が改めて写真を見たときに、「食べに行きたい!」と思える“伝わる写真”を目指しましょう。