【今月の旅写真】フィルムカメラ「写ルンです」で夏の思い出を残そう!

梅雨が明け、海の日を迎える頃には夏本番。今年の夏は、リゾートへ! そんな予定を立てている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、レンズ付きフィルムカメラ「写ルンです」とともに、都心の身近な海辺「お台場海浜公園」へ出かけていち早く夏の日差しをキャッチしてきました。「写ルンです」の使い方、夏の海辺での撮影のポイントなどを併せてご紹介いたします。
Text&Photo:こばやしかをる
モデル:鈴木マイラ
撮影機材: 富士フイルム 写ルンです
目次
リゾートのような海辺「お台場海浜公園」へ
東京の臨海地域を走る新交通臨海線「ゆりかもめ」の「お台場海浜公園駅」からすぐにアクセスできる「お台場海浜公園」は、東京湾に面したレクリエーション型の海上公園です。水遊びなどが楽しめる人工の浜辺「おだいばビーチ」や、海を身近に感じられる磯浜、ペットにも歩きやすいボードウォーク、水上バスの発着所などがあり、さまざまな人が往来します。

近隣には「デックス東京ビーチ」や「アクアシティお台場」などの商業施設もあり、食事やショッピングをするのにも絶好のロケーションです。アミューズメント施設もあるので、子ども連れでも一日中飽きることなく過ごすことができます。東京湾の穏やかな水面を携えた、リゾート感のある開放的なビーチは、近年では東京五輪&パラ五輪2020のトライアスロン、水泳の競技場にもなりました。
遮るものがない広々とした空間に、レインボーブリッジを代表とする都市景観と、湖のような水面が広がり、四季を通して美しい景観が見られることから、私も度々訪れているお気に入りの場所です。

ブロンズの自由の女神レプリカ像。都市景観と空の美しさにシルエットが映えます
◆お台場海浜公園
住所:東京都港区台場1丁目4
営業時間:24時間
休園日:年中無休
入園料:無料
「写ルンです」で夏の日差しをキャッチしよう!
今回は、レンズ付きフィルムカメラ「写ルンです」での撮影です。スマホ世代にとっては、ファインダーをのぞいて撮影する”キリトリ世界”も”写りのエモさ”も、「写ルンです」の魅力。アプリでは加工できない、ザラっとした粒子を感じる画質や、現像するまでどんなものが写っているのかわからないワクワク感、機能が少ない不便さが逆に新鮮なのだとか。今、改めて「初めてのフィルムカメラ」として人気を博しています。

思い切り逆光で撮影すると、「フレア」と呼ばれるモヤモヤとした光が差し込んでエモい写りに
これまでに「写ルンです」に慣れ親しんできた方からは、「なかなか難しい」、「うまく写せない」という声も聞こえそうですが、この機会に初心に戻って撮影ポイントをマスターし、懐かしいフィルムの風合いを感じてみませんか?
「写ルンです」はどこで購入できる?
手軽に写せるフィルムカメラ「写ルンです」は、主に写真店や家電量販店で販売されています。そのほか、空港や旅客船ターミナルなどの売店、コンビニエンスストアでも購入することができます(※店舗によっては販売していない場合もあります)。初めて「写ルンです」を使う方は、写真屋さんで購入するのがおすすめです。フィルムカメラの取り扱い方法や、撮影後に行う「現像+データ化」の手順などについても親切に教えてもらえます。データ化しておけば、SNSシェアも簡単にできますよ。
現在購入できる種類は、「写ルンです シンプルエース(ISO400 27枚撮り)」1種のみ。価格は1,900円前後です(2023年7月現在)。ちなみに「写ルンです」は、正しくは「レンズ付きフィルムカメラ」。撮ったその場ですぐに見られるインスタントカメラではありませんので、覚えておきましょう。
「写ルンです」の基本的な使い方
「写ルンです」の使い方は難しくありません。パッケージを開けたら、まずはカメラ本体の背面を確認しましょう。使い方が書かれていますので、迷わず撮影ができます。
「写ルンです」撮影のポイント
片手で撮影せず、左手で支えて固定しましょう。一眼レフカメラで撮影するように、しっかりとファインダーをのぞいて撮影することで、安定して構図を決められます。
「写ルンです」のピントが合う距離は1m以上離れた被写体です。コミュニケーションを楽しめる距離の撮影に向いているのが「写ルンです」のよい点です。

1~2m先の被写体にピントがバッチリ合うように考えられたレンズを装備しています
薄暗い場所、室内、夕暮れからの時間帯は必ずフラッシュを使います。暗い場所でフラッシュの届く距離は、1~3mまでです。常にフラッシュを使用しても問題ありませんが、室内ではフラッシュ撮影禁止の場所もありますので配慮や注意が必要です。

フラッシュが届かないと鮮明に写せないので、撮影距離に気を付けて
撮影時間にタイムリミットあり
「写ルンです」を使って撮影する際には、時間帯にも気を付けます。スマホで撮り慣れていると気づきませんが、肉眼で見たままの自然風景を撮影できる時間は日没前の夕刻までです。その場合にも、かなり明るい光が差し込んでいるシーンに限ります。

湖のような水面が夕日に染まる光景はとてもロマンチック
季節によって空の明るさも変化しますので、時間帯には十分に気を配りましょう。日没後フラッシュをつけて撮影しても遠景には光が届かないため、真っ暗な写真になってしまいます。大切な1枚を無駄にしないように気をつけてくださいね。
夏はフラッシュが大活躍!
真夏の炎天下では、基本的にフラッシュ撮影を行います。特に、逆光の際に大活用します。明るい屋外で強制的にストロボを発光させることにより、影の暗い部分を明るく照らす「日中シンクロ」というテクニックを使うことができます。フラッシュを点灯させ、シャッターボタンを押すだけで、暗い被写体と明るい背景の露出(明るさ)が安定して、どちらも鮮明に写すことができるんです。
人物が走っている姿を止めて撮影できるシャッタースピードに設定されているので、フラッシュを合わせて使うとより効果的に被写体を止めて撮影できます。ちょっとブレてしまっても、「写ルンです」の味わいある写真です。
サングラスなどの身近なアイテムで魅力的な一枚に
パシャと1枚。何気なく撮影するのもよいですが、身近なアイテムを使っていつもと違う仕上がりを体験してみませんか? 特に夏は日差しも強く、画面全体が明るく写るため白っぽくなりがち。そんなときに、活用してもらいたいのがサングラスです。一眼レフなどのカメラのレンズに使われる偏光フィルターと同じような効果があり、反射する光をコントロールし、色彩を鮮やかに写すことができます。
撮影ポイント:レンズの前にサングラスをかざすようにして撮影します。サングラスはできるだけ色のついていないものを選んで撮影を。色がついていると写真にも写ってしまうので気をつけて。
撮影ポイント:もう一つは、フィルター撮影です。サランラップや色付きの透明ビニール、セロファンなど、光が透けるものであればお菓子の袋でも構いません。今回は、水色と紫色、サランラップを使って撮影してみました。こちらはレンズの前にピッタリをつけて撮影をします。
どのフィルターも、スマホカメラやデジタルカメラとは違った柔らかい雰囲気が加わり、ファンタジックな雰囲気に仕上がります。写すシーンに合わせて、強調したい色のセロファンを選んで撮影してみてください。いきなりフィルムで撮影するのは結果が分からずこわいと思われる方は、スマホカメラでテスト撮影してみるのがおすすめです。
おわりに
いつものキメ写真はスマホカメラやデジタルカメラに任せて、雰囲気を楽しみたい時には「写ルンです」で撮影。そんな使い分けを旅写真の楽しみ方に加えてみてはいかがですか?夏のまぶしい日差しを味方に、友だち同士や家族みんなで「写ルンです」を使って1日を撮影してみることで、27枚の限られた撮影枚数の中にどこか懐かしさを感じる思い出ができそうです。