『散歩の達人』編集長・久保拓英さんとお散歩! 話題のアートトイレを巡る旅【渋谷】
4月14日に行われたのは、『散歩の達人』編集長の久保拓英(たくえい)さんと渋谷エリアをお散歩する「旅色LIKES」イベント。アカデミー賞にノミネートされ脚光を浴びた映画『PERFECT DAYS』の題材になった「THE TOKYO TOILET」や『月刊旅色2024年4月号』で取り上げられたスポットを巡りました。新しいまち並みと古くから変わらない風景が入り混じる「渋谷」を知るイベントを旅色LIKESレポーターのERIがお伝えします。
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講師は街歩き雑誌のパイオニア『散歩の達人』の編集長!
月刊散歩の達人編集長。2001年入社。広告営業、ムック編集を経て、2002年4月より2017年まで月刊散歩の達人の編集に携わる。2022年7月に散歩の達人編集長として着任。雑誌編集のほか、Youtubeにて「全力編集長」の運用も行う。
今回のイベントは4月14日(土)13:00~16:30に、100年に1度ともいわれている、大規模な再開発プロジェクトが進んでいる東京・渋谷エリアで開催。「THE TOKYO TOILET」プロジェクトで制作されたアートトイレを中心に、渋谷~代々木エリアを久保さんに解説いただきながら巡りました。お話やまち並みから、渋谷の新旧を感じる機会となりました。
散歩の達人と「裏渋」をお散歩旅
2023年に開業した複合施設「Shibuya Sakura Stage」からお散歩スタート。道玄坂から百軒店(ひゃっけんだな)へ入ると突然ディープな雰囲気にかわります。行列のできる町中華「喜楽」やカレーの「ムルギー」、創業百年となる老舗名曲喫茶「ライオン」など歴史を感じられる店を通り過ぎ、さらに奥へ進むと人通りも少なくなってきました。関東大震災の後、被害が大きかった銀座や浅草の一流店を誘致し「100件以上の店が並ぶ名店街」として栄えました。しかし復興が進むと名店も離れていき、その後東京大空襲により焼け野原となり戦後になって映画館や劇場ができ繁華街として栄えていったそうです。百軒店を過ぎた先の円山町一帯は、かつて花街だったそう。「渋谷に⁉ 」と意外に感じますが、今でも芸者さんが数人いらっしゃるのだとか。
外国人にも人気の渋谷アートトイレ
1. 鍋島松濤公園「森のコミチ」
文化村通りから少し外れて進むと、景色ががらりと変わって高級住宅街になります。その一角にある「鍋島松濤(しょうとう)公園」。中央に水車のある池もあり、渋谷とは思えない穏やかな雰囲気です。ここに国立競技場の設計を担当した隈研吾氏が手掛けた「森のコミチ」があります。まるで森の中を歩いているようなトイレです。
◆鍋島松濤公園
住所:東京都渋谷区松濤2丁目10-7
2. 代々木深町小公園「ザ トウメイ トウキョウ トイレット」
井ノ頭通りを進み代々木公園の向かい側にある「代々木深町小公園」。小さなグラウンドもあるので、家族連れや子供たちでにぎわっていました。ここには建築家・坂茂(ばん しげる)氏による「ザ トウメイ トウキョウ トイレット」があります。トイレの壁が透明で中が見えていますが、鍵をかけると不透明になるという仕掛け。夜はトイレの明かりが行灯のように公園を照らすそう。※時期によって常時不透明のまま
◆代々木深町小公園
住所:東京都渋谷区富ケ谷1丁目54-1
3. 代々木八幡公衆トイレ「Three Mushrooms」
山手通り沿いにある代々木八幡公衆トイレ「Three Mushrooms(スリーマッシュルームズ)」。建築家・伊藤豊雄氏のデザインです。代々木八幡宮参道にあたる階段の横にあり森から生まれた三つのキノコをイメージして造られました。
◆代々木八幡公衆トイレ
住所:東京都渋谷区代々木5丁目1-2
渋谷区には全部で17カ所のアートトイレがあり、それぞれ個性豊かです。「THE TOKYO TOILET」プロジェクトによって2023年に設置され、有名な建築家やデザイナーが参画していることでも話題に。アカデミー賞にノミネートされ脚光を浴びた映画『PERFECT DAYS』の題材になったことでも国内外から大きな反響がありました。外観のデザインが素晴らしいだけではなく機能性も充実しているのと、だれもが気持ちよく使えるように清掃、メンテナンスを維持しているそうです。日本が誇るすばらしいプロジェクトだなと思いました。
渋谷の街を歩いてみて
約3時間半、久保さんに案内していただき1万歩ほどのお散歩となりました。坂が多い地形だというのも歩いてみなければきっとわからなかった発見です。2020年よりリニューアルしてきた「MIYASITA PARK」の近くには昭和レトロな「渋谷 のんべい横丁」が残り、場所によって変わるまちがテーマパークのアトラクションのよう。渋谷は、若者文化な街と思っていましたが、流行の発信地として新しさを生み出し続ける側面と、昔の名残が入り混じる、おとなが惹きつけられる奥深い街でした。これからも変わり続けることを想像したらワクワクしてきます。久保さん、今回は興味深いお話と、とても楽しいお散歩旅をありがとうございました。