【長崎在住ライター夏のイチオシ!】川棚町でローカルでディープなドライブ旅

長崎在住のLIKESライター・おんりです。今回は長崎県の中でも、ガイドブックにはあまり載っていない「川棚町(かわたなちょう)」をご紹介します。長崎市から車で1時間ほど行くと、歴史が色濃く残る場所からおいしいグルメ、異世界へ誘われるスポットまで、ディープでハマるスポットがたくさん。長崎在住の私が魅力を徹底解説します! 夏休みの人混みを避けて、いつもと違う旅をしたい方必見です!
目次
川棚町ってどんな町?
川棚町は長崎県中央部の東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)にあり、長崎市内から車で1時間ほどです。九州のマッターホルンの異名を持つ「虚空蔵山(こくうぞうさん)」の麓にあり、大村湾に面していて、海も山も両方楽しむことができます。一方で、太平洋戦争時の遺構が残っていたり、石木ダム建設問題があったりといろいろと考えさせられる町でもあります。
10:00 フォトジェニックスポット「片島魚雷発射試験場跡」を散策する
昔はその名のとおり島だった。
片島魚雷発射試験場跡は1918年に建設され、佐世保軍事工廠や三菱長崎兵器製作所で製造された魚雷の最終試験や調整を行っていた場所。その後、2015年に「片島公園」として整備されました。映画『祈り~幻に長崎を想う刻』や、ロックバンドflumpoolのミュージックビデオのロケ地、『バケモノの子』の主人公が修行したシーンのモデルともされ、聖地巡礼で訪れる方もいます。
空気圧縮ポンプ室跡は、廃墟と化した空間に植物が浸食しています。ジブリ映画『天空の城ラピュタ』に出てきそう……。幻想的な雰囲気が漂い、コスプレーヤーやインスタグラマーが「映える」写真を求めて訪れるのも納得です。とはいえ、メジャーな観光地ではないので観光客は少なく、時が止まったような空間の中で静かに想いを馳せることができます。
◆片島公園
住所:長崎県東彼杵郡川棚町三越郷151-1
その他:駐車場あり、トイレあり
片島公園の駐車場から対岸に見えるのは、「海神(わたつみ)神社」です。たどり着くには、干潮時に海岸に沿って20分ほど歩かなくてはいけません。私も挑戦したいと思っていますが、長居しすぎると潮が満ちて帰れなくなるので、時間配分にはご注意を。
公園の目の前にあるBUCO caféでは、川棚町の名産、小串トマトを使用したメニューを楽しむことができます。看板メニューである「小串トマトクリン」は、日本航空「JALとっておきの逸品」にも採用されているそう。小串トマトのピューレを凍らせたものをクラッシュして、はちみつレモンのアイスと合わせてあります。トマトピューレには甘味料をいっさい使用していないそうですが、酸味はなく濃厚なトマトの旨みが感じられました。正直、こんなローカルな場所にある小さなカフェがJALと提携しているなんて驚きです。気になる方は、JALのHPをご覧ください。
◆BUCO café
住所:長崎県東彼杵郡川棚町三越郷140-39
電話:080-2393-7209
営業時間:11:00〜15:00(LO 14:30)、土・日・祝日 12:00〜19:00(LO 18:00)
定休日:木・金曜日
11:30 まるで海外! 大崎海水浴場の海の家「Food Nora」で絶景ランチ
片島魚雷発射試験場跡から車で10分弱の場所にある大崎海水浴場にやってきました。お目当てのランチをいただきます。大崎海水浴場は7~8月のピーク時はにぎわいますが、それ以外の時期はとても静か。地元の子どもたちが遊ぶ様子を眺めながら、ゆったりとした時を過ごせます。
◆大崎海水浴場
住所:長崎県東彼杵郡川棚町小串郷 大崎自然公園内
電話:0956-83-3210(川棚町観光協会)
Food Noraでは、「こんなローカルな場所で! 」とびっくりする本格的なインドの家庭料理がいただけます。7~8月を除いての営業(この記事が掲載される頃はお休み期間になります。ごめんなさい! )で、店内にはテーブル席が3~4席ありますが、外の桟敷(さじき)席で食べることも可能です。SUPやカヌー、ウインドサーフィンを楽しむ人たちを見ながら、海風を感じておいしいランチをいただいていると、まるで海外のプライベートリゾートにいるような特別感を味わえます。展示会や演奏会なども行われているので、公式Instagramをチェックしてみてください。
◆Food Nora
住所:長崎県東彼杵郡川棚町小串郷 大崎海水浴場内
営業時間:11:00 ~16:00
定休日:月~水曜日、第一日曜日
※7~8月はお休み
13:00 「四次元パーラー あんでるせん」で異次元の世界へ
全国から人が集まってくるディープスポットの代表格! いわゆるマジック喫茶なのですが、「マジック」で片づけるにはあまりにも不可解なことが起きるという、スピリチュアル界隈では有名なお店です。予約の電話が1回でつながる人もいれば、数千回かけてもつながらない人もいるといわれ、「呼ばれないと行けない店」とも噂されます。13:00に受付を開始し、終了はなんと17:00! カウンター席の5席以外は立ち見なので、3時間以上立ちっぱなしです。次々と繰り出されるマジックの数々は、本当にマジックなのか、はたまた超能力なのか。お客さん参加型のショーで、終始狐につままれたような不思議な空間を体験できます。四次元を旅してみたい方は、電話予約にチャレンジを!
◆四次元パーラー あんでるせん
住所:長崎県東彼杵郡川棚町栄町2
電話:0956-82-2375(2ヶ月前の1日8:00~電話受付開始)
料金:立ち見 1,000円
備考:現在喫茶の営業はしておらず、マジックショーのみ
17:30 地元の名物の食べ歩きで小腹を満たす
小腹がすいたら食べ歩きへ出かけましょう。まずは地元の人に絶大な人気を誇る「川下精肉店」さんへ。お肉屋さんがつくる揚げ物っておいしいですよね。コロッケ、ハムカツ、メンチカツなどは人気なので、予約必須です。「菓鋪 いさみ屋」のかりんとう饅頭も食べ歩きにぴったり!黒糖を練り込んだ生地を蒸して揚げてあり、黒糖の香ばしさがクセになる一品です。
◆川下精肉店
住所:長崎県東彼杵郡川棚町下組郷367-5
電話:0956-82-2165
営業時間:9:00~19:00
定休日:火曜日
◆菓鋪 いさみ屋
住所:長崎県東彼杵郡川棚町栄町15-1
電話:0956-82-2310
営業時間:8:00~18:00
定休日:不定休
小串トマトを購入したい方は、「グリーン東彼新鮮市場」へ。地元の新鮮野菜やスイーツ、切り花、東彼杵名物のクジラなど幅広い取り扱いがあり、地元の人の食生活が垣間見えます。私は小串トマトと、イノシシのウデ肉(前足の途中から肩の手前までの部位)を購入してみました。レモンステーキのレシピがついていたので作ってみましたが、やや硬さはあるものの脂身が少なく臭みもなくて、ヘルシーでおいしかったです。いずれのお店も川棚駅から車で5分ほどなので、空き時間にさっと立ち寄ることができますよ。
◆グリーン東彼新鮮市場
住所:長崎県東彼杵郡川棚町下組郷2042-2
電話:0956-82-5652
営業時間:8:00~18:00
18:30 石木ダムの建設予定地で、蛍を鑑賞する
「石木ダム問題」をご存知でしょうか。川棚町を流れる石木川に、ダムを作る計画が持ち上がったのは1962年のことです。それから約50年以上経過しましたが、いまだにダムは建設されておらず、周辺工事だけが細々と行われています。2019年にアウトドア企業の「パタゴニア」が石木ダム問題に遺憾の意を表明したことで、一時期注目度が高まり、いとうせいこうさん、坂本龍一さん、伊勢谷友介さんなどが現地を視察しに訪れたこともありました。長年膠着状態が続いていましたが、先月大石県知事が、ダムの完成時期と事業費の見直しを行うことを発表し、また新たなフェーズを迎えようとしています。
石木ダム周辺のこうばる地区では蛍を見れます。ツアーを運営している「生き物うじゃうじゃ石木川」は、定期的に生き物観察会を行っている団体です。参加者の中には東京や神奈川から来ている方も。個人で訪れると、写真を撮るのもはばかられるような独特な緊張感があるのですが、地元に詳しい方と一緒だと安心して写真を撮ることができました。蛍もたくさん飛んでいましたよ。「生きものうじゃうじゃ石木川を楽しみたい会」は、月一回のペースで生き物観察会を開催しています。お子さんと一緒に参加して、自然環境問題や公共事業の在り方について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
ダム建設について反対とか賛成とか簡単にいうことはできませんが、幻想的な景色を見ているとシンプルに「本当にここにダムを造る必要があるのかな」と考えさせられました。
おわりに
高さ約55メートルのダムが建つ予定の場所。
川棚町はローカルならではのディープな魅力がたくさんある町です。石木ダムは、いつ本格的な工事が始まってもおかしくありませんので、気になる方は早目に訪ねてみてください。旅に出て、社会問題を考える機会はあまりないと思います。この夏、身近な社会問題や自然環境問題について考える旅に出てみてはいかがでしょうか。私個人としては、川原(こうばる)地区の自然はいつまでもこのまま残しておいて欲しいと願っています。