【京都在住ライターのご近所さんぽ】叡電に乗って避暑地へ。貴船、鞍馬でパワーチャージ

京都では、なぜか「祇園祭の宵山の日に梅雨が明ける」といわれています。宵山とは、祇園祭のメインとなる山鉾巡行の3日前・前々日・前日の総称で、前夜祭のようなもの。近年、後祭りが復活したので前祭りと後祭りを分けて考えないといけませんけど、ここでいわれてる宵山は前祭りの宵山。そやから、京都では7月16日の夕方にざっと雨が降って、それを合図に梅雨が明けるということになります。そんな、梅雨明け前の京都はむしむしと嫌な暑さの日が……。そこで、今回は、街中の暑さを避けて、古くからの避暑地でもある貴船、鞍馬へおさんぽです。
目次
叡電でGO
今回の出発地は叡山(えいざん)電車の出町柳駅です。
出町柳から八瀬・鞍馬へと続く京阪グループの鉄道の路線なんですけど、京都の人たちは叡電(えいでん)と呼んでます。今回、改札を抜けたら、ちょうど素敵なデザインの観光列車「ひえい」がホームに入ってきたとこで、ちょっと興奮しながら間近で写真を撮影したし、載せときますね。
せっかくやし「ひえい」に乗りたかったんやけど、この列車は八瀬へ行く車両やったから、お向かいのホームに停車中の別の列車で鞍馬(くらま)方面に向かいました。
全国二千社を数える水神様の総本宮、貴船神社(きふねじんじゃ)
叡電にゆられていると、徐々に車窓の景色は美しい緑へと変わってきます。
沿線には紅葉がたくさんあって、秋には特別列車が編成され多くの観光のお客さんが来はります。私は、緑のほうが好きやけど、それは好き好き。
この沿線の終点が鞍馬駅、その一つ手前が貴船口駅。
貴船神社と鞍馬寺は近くにあるんで、どっちから先に行こうか迷います。
鞍馬寺まで行って、山を下りて貴船神社の奥の院へ向かう道を行くっていうのが定番コースみたいやけど、たくさん歩かなあかんから、私は貴船神社へ行って、もう一回叡電にのって鞍馬へ向かいコースを行くことにしました。
貴船口駅から貴船神社まではバスで10分ほど、片道200円です。
貴船川に沿って、川の流れを遡るようにして進みます。
本宮、結社、奥宮が点在していて、今の時期は深い緑に赤い鳥居の色が映えてきれいです。
月頭から9月末まで、駅から神社まで続く道沿いに川床が出されて、おいしいお料理が提供されます。昔から続く、京都の夏の風物詩です。
ちなみに、貴船神社は「きふね」、貴船川は「きぶね」と読みます。
京都の水を守る水神様
貴船神社はずうっと昔から、京都の水を守ってくれたはる神さんなんやといわれています。
神武(じんむ)天皇の母の玉依姫(たまよりひめ)が黄船にのって奥宮の地に来られて水神様を祀ったという創建伝説が伝えられ、水神様である高龗神(たかおかみのかみ)が本宮と奥宮にお祀りされています。結社には磐長姫命(いわながひめのみこと)が。
縁結びの神様は嫉妬深い?
縁結びの神さんとしても有名です。そやからカップルで来はる人も多いんやけど、「貴船神社にはカップルで行くと別れる」 っていう噂もあるんです。あんまりラブラブしたところを見せつけたら、神さんが嫉妬して別れさせはるんやそうな。ほんまに縁のある人らはきずなが深まるともいわれてますし、ホンマのところはどうなんやろか。
本宮には、水みくじがあって、これが当たると評判で、たくさんの恋する人たちがおみくじを引いたはりました。
せっかく来たから私も、とやってみたところ中吉のわりには、結構散々な内容でした。
「恋愛 思い直すべし」って。縁結びの神さんにそんなこといわれたらいろいろあきらめるしかあらへんやん……。
何事もうまくいく

何事もうまくいくステッカー(300円)
ちょっとへこんでしまったけど、おみくじを結んだ後に買ってきたステッカー。
結局最後は救ってくれはる神様です。
貴船川の川床では、7月1日から8月15日まで七夕飾りのライトアップがされます。
京都の町中と比べると大分涼しいさかい、夜は羽織もんを一枚持って行かはるほうがよろしいえ。
◆貴船神社
住所:京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
電話:075-741-2016
時間:本宮開門時間 6:00~20:00(5/1~11/30)、授与所 9:00~17:00
赤い天狗がお出迎え鞍馬駅
貴船で避暑を堪能したら、もう一回叡電に乗って鞍馬寺へ行きます。
叡電はすいてて、車窓は緑。いい気持ちです。
鞍馬駅を出ると、大きい天狗がお迎え。鞍馬山には天狗が住んでいるという伝説があるからです。
JAZZの流れる店内でおそばを。雍州路(ようしゅうじ)
赤い天狗の顔を見ていると、なんかおなかへったなぁ~って気が付きました。
時計を見ると、もう13時を回っていたのでお寺さんへ行く前にランチをすることに。
鞍馬寺の山門のすぐそばにある精進料理店の雍州路(ようしゅうじ)に入りました。
店内は、真ん中に囲炉裏があって和風ながら、カウンターはステンドグラスの灯に照らされ、JAZZが流れている不思議な感じ。窓際に座ってみると、なんだか落ち着く雰囲気。暑かったので、冷たいおそば、おなすの田楽、山菜の白和えのセットをいただきました。親切な店員さんと、おそらく常連のお姉さまたちの京都弁が心地良く聞こえてきます。
◆雍州路
住所:京都府京都市左京区鞍馬本町1074-2
電話:075-741-2848
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜日
日本有数のパワースポット 鞍馬寺

階段下から山門を見上げる。結構あるな~。
お腹が満たされたので、満を持して鞍馬寺へ向かいます。
なんでかって?
鞍馬寺は山にあるお寺さんやさかい、一番上の本殿まで行くのにちょっとした(いや、ほんまはかなりの)山道を歩かなあかんことを私は知っていたからです。
まず、山門まで行くのも結構な階段を登ります。
山門をくぐってしばらく上ると案内板が。
本殿まで歩いて20~30分、まあ、歩けるんやないかなと思うでしょ。これが結構登り道。なので、今回は迷わずケーブルカーを使います。
ケーブルカーは片道200円。短い距離やけど、景色は緑でとてもきれいです。
鞍馬寺の本殿は、ケーブルカーの駅からさらに山道を進んだ先にあるんです。
ええ季節やから、気持ちいいけど、歩きやすい靴が必要やし、明日は筋肉痛かなぁ~って思いながらの山登り。
深い山の中には天狗が住んでいて、鞍馬寺には龍神様も住んだはるといわれてます。
山を登っていくと、何となく空気が神聖なものに変わってくるような気がするんは、気のせいやないと思います。
息を切らして上がってきて、やっと到着。
本殿、金堂前にあるのは六芒星。この中心に立って宇宙のパワーをいただくんやそうです。
金堂左右にいはるんは、狛犬とちごて、阿吽の虎。御本尊の毘沙門天に現れはったのが寅の月、寅の日、寅の刻やったからってことらしいです。
龍神様の守ったはる井戸もあって、パワーをひしひしと感じ圧倒される場所でした。

せっかく来たから、金堂の中でおみくじを引いてみました。
何事もやって出来ぬことはない強い運命に生きている、そう。
終わりに
蒸し暑い京都市内を離れてきた貴船、鞍馬は美しい自然のパワーの満ちた場所でした。
この日はお天気も良くて、緑を抜ける風が気持ちよく蒸し暑い京都の夏ということを忘れてしまうほど。
夏の時期は車で来ると道が細い上に混雑するので、電車で来るのがいいですよ。
美しい水の流れる京都の奥座敷に、ぜひおさんぽしてみてください。
8月は一番暑い季節。どこに行こうかなぁ……。