渋谷のカフェ難民を救う!? お店が“にじみだす”渋谷アクシュの実力
大規模な再開発が続く渋谷には、働く人も遊びにくる人も、国外からの旅行客も集まり、どこを見ても人があふれています。カフェでひと息つくにも並ばないと……と覚悟していましたが、それが変わりつつあるんです。7月上旬にオープンしたSHIBUYA AXSH(以降、渋谷アクシュ)は店舗は多くないものの、ベンチやカフェが充実しているのが特徴。しかも店舗がテラスやロビーに“にじみ出す”ようなつくりなんです。オープンから約1ヵ月。どのように活用されているのか、検証してきました。
目次
青山(A)と渋谷(SH)をつなぐ(X)で「AXSH」
渋谷アクシュは、渋谷駅から見るとヒカリエの奥に位置します。もともとこの場所はオフィスが多く、宮益坂と明治通り、青山通りという幹線道路に囲まれていることから街歩きがしにくく、ショップや飲食店もあまりありませんでした。そこにできたのが渋谷アクシュです。始発から終電までヒカリエとクロスタワーをつなぎ、1~4階は飲食店やショップなどの商業施設、5~23階はオフィスフロアで構成されています。さらにビルの玄関口にはキッチンカーが出店したり、大型のシースルービジョンがあったりと人々が集いやすい広場になっています。青山方面の広場ではパブリックアートプロジェクト「NANZUKA PUBLIC」により、アート作品を年に2~3回入れ替えながら展示。ベンチなどもあるので、さながら野外美術館のようです。
打ち合わせの場としてのカフェは休日もオープン
1~4階のテナントは、新業態や初出店の飲食店をはじめ現代アートギャラリーや女性専用フロアを完備した健診センターも含めて15テナント(順次オープン)。上層階がオフィスということもあって、仕事の打ち合わせができるように、カフェが充実しています。ランチタイムとディナータイムの間のお店が閉まる時間がないので、常に人でにぎわい、ワーカーのいない週末はさらに利用しやすいはずです。
個人的なおすすめは、2階の「ANTICO CAFFÉ AL AVIS(アンティコ カフェ アルアビス。以降アンティコ カフェ)」です。イタリアの街角にあるバールをコンセプトにしているというだけあって、店内は落ち着いた雰囲気。なにより、コーヒーのカップが大きくて飲みごたえがあるのがうれしい。フードも充実していて、食事としてもカフェとしても利用できます。特筆すべきは、スイーツのおいしさ。シチリア伝統菓子「カンノーロ」(400円)は、甘さ控えめの自家製チーズクリームをサクサクのパイ生地に詰めたもの。チーズケーキのようなさっぱりさと、シュークリームの濃厚さ、満足感を味わえます。スタッフさんによると、サクサクの生地が香ばしいシュークリーム「ビニエ」(420円)も人気とのこと。「中のクリームは98%が生クリーム、ほんのちょこっとカスタードが入っています」。
毎日来ても飽きない料理いろいろ。平日は13:30以降がおすすめ
ほか、東京初出店となる沖縄県恩納村発のハワイアンカフェ&ダイナーや、日本橋の老舗塩問屋「中井商店」が初出店する和食店などがあり、毎日来ても飽きなさそうな多彩なジャンル。オフィス街なので、お昼時は混雑していますが、少しずらして13:30ごろになれば並ばずにお店に入れます。なかでも、スパイスカレーとクラフトビールが楽しめる「スパイスシアター」をプッシュさせてください。なんといってもおいしいです。しかも、辛さ控えめなのものが多くて、体にしみじみと染み渡ります(辛くするスパイスもあり)。カウンターもテーブルも充実しているので、1人でもグループでもOK。カレーなので回転率がよく、多少混んでいても比較的早く食べられます。ちなみに、カレー一種ならば850円とお得なので、サクッと食べて、近くのカフェで食後のひと休みというハシゴコースをおすすめします。
店舗が“にじみ出す”って?
空間が広々している渋谷アクシュでは、通路やデッキにあるスペースを、まるで店舗の拡張エリアのように利用できます。アンティコ カフェのテラスは階段状の広場になっています。さすがに真夏の日中に利用者はいませんでしたが、季節によってはオープンエアで楽しめますし、これなら「休憩する場所が見つからない~」なんてことは減りそうです。
3Fのタリーズは、オフィスエントランスとシームレスにつながり、ラウンジのよう。同フロアにもベンチがあちこちに設置されています。
都会のオアシス的機能
入口の広場をはじめ、エレベーターまわりのベンチなどちょっと腰掛けるところも充実しています。カフェに入るほどじゃないけれど、ちょっとした休憩や打ち合わせができる手軽な場所。平日のお昼時はお弁当を食べている人もいました。
また館内の緑も印象的です。1Fと2Fをつなぐアトリウムは広々とした吹き抜け空間をいかして、天井からグリーンが吊り下げられた「垂直庭園」を配置。面積以上に緑に囲まれて、爽やかな気持ちになります。
結論、働いてなくても憩える
渋谷アクシュで働いてない人も、憩えるのがよいところ。今まではオフィスビルしかなかった場所に、カフェやレストラン、ちょっと休憩できる広場ができました。しかもオフィスビルの印象が強いエリアなので、今はまだ穴場です。『旅色』では渋谷アクシュのほかにも渋谷の楽しみを紹介しているので、ぜひご覧ください。