旅することで応援したい。 今行ける能登、古刹を巡る歴史旅

石川県

2024.09.02

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旅することで応援したい。 今行ける能登、古刹を巡る歴史旅

各地の歴史やルーツを知る旅が大好きな旅色LIKESライターの長月あきです。年明けの能登半島地震から半年以上経った7月末。能登各地の観光施設などが観光客の受け入れを徐々に再開していることや、「のと里山海道」と「能越自動車道」がほぼ全区間で対面通行可能になったことをニュースで知り、拝観を再開した寺社仏閣を中心に歴史スポットを巡る旅をしてきました。先日、石川県限定で「北陸応援割」も再開したばかり。今行ける能登へ出かけてみませんか。

目次

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曹洞宗の聖地「大本山總持寺祖院(だいほんざんそうじじそいん)」

源義経の伝説が残る、自然が作り出した景勝地「能登金剛」

加賀藩・前田家ともゆかりのある「妙成寺(みょうじょうじ)」

『万葉集』にも登場する縁結びのパワースポット「氣多大社(けたたいしゃ)」

瑩山禅師が創建した、多くの文化財が見られる名刹「永光寺(ようこうじ)」

瑩山禅師を導いた白狐伝説の「豊財院」

大伴家持が歌に詠んだ海を眺める 「千里浜なぎさドライブウェイ」

おわりに

曹洞宗の聖地「大本山總持寺祖院(だいほんざんそうじじそいん)」

大本山總持寺祖院

半壊の仏殿。

大本山總持寺祖院

仏殿の中にある山岡鉄舟作の書は無事だったようで入り口から見学できました。

大本山總持寺祖院

回廊は全壊。国の登録有形文化財のため、勝手に瓦礫の撤去が行えないのだとか。

大本山總持寺祖院

法堂(大祖堂)は準半壊。

大本山總持寺祖院

前田利家の正室・お松の方を祀る芳春院は全壊。

大本山總持寺祖院

掲示されていた境内の建造物の被害状況。

大本山總持寺祖院

地震の際に180度向きが変わってしまった句碑。

大本山總持寺祖院

御朱印を集めているわけではないのですが、復興祈願の御朱印をいただいてきました。

まず訪れたのは、能登半島北部・輪島市にある「大本山總持寺祖院」。北陸地方における曹洞宗の聖地の一つとして知られています。
曹洞宗にはほかの宗派と違い、大本山(宗派の根源となるお寺)が二つあります。それは、宗祖(宗派の開祖)が二人いらっしゃることに起因します。中国から曹洞宗の教えを日本に伝えた道元禅師と、その教えを全国に広め曹洞宗発展の基礎を築いた瑩山(けいざん)禅師です。道元禅師が建立した大仏寺(後の永平寺。福井県にある)と、瑩山禅師が能登半島に元々あった寺院を譲り受け、開山した「總持寺」の両方が大本山とされています。
能登の總持寺は1321(元応3)年に開創されましたが、1898年(明治31)年に火災で大半が焼失したため、本山を神奈川県横浜市に移転しました。移転先が大本山總持寺となり、能登の旧總持寺は「總持寺祖院」」と改名・再建され、現在に至ります。

總持寺祖院は2007(平成19)年3月にも地震で大きな被害を受けており、2021(令和3)年に14年をかけた修復工事を終えたばかり。復興後3年も経たないうちに、今回の被災となりました。今年は瑩山禅師700回大遠忌(法要)の記念行事も予定されていたのだとか。国の登録有形文化財17棟を含む約30棟の建物全てが被害を受けています。6月15日から一般拝観を再開したもの損壊損壊した回廊や瓦礫などはまだそのままになっており、見学ができるのは境内の決められた区域のみです。門前町の商店街も大きな被害を受けており、完全な復興には相当な時間がかかることでしょう。度重なる被災、惨状に言葉がありません。700年もの間、曹洞宗の歴史の中で欠かせない場所として愛され、多くの人々の信仰の拠り所だった名刹。ただただ再びの復興を願ってやみません。

◆大本山總持寺祖院
住所: 石川県輪島市門前町門前1-18-1
電話番号:0768-42-0005
拝観料:当面無料
拝観時間:当面の間は9:00~15:00

大本山總持寺祖院 公式HP

源義経の伝説が残る、自然が作り出した景勝地「能登金剛」

能登金剛

源義経の伝説が残る岩場「義経の舟隠し」。

能登金剛

能登金剛遊覧船から見る巌門。

能登金剛

左が碁盤島

總持寺祖院から車で海沿いを南下し、奇岩の続く海岸線「能登金剛」へ。29kmほど続く海岸線の途中には、日本海の荒波によって作られた断崖や洞門など見どころがいくつもあります。能登金剛北部にある断崖絶壁「ヤセの断崖」は松本清張の代表作の1つ「ゼロの焦点」の舞台として知られています。断崖沿いの遊歩道を歩いて行くと、「義経の舟隠し」と呼ばれる細長い入り江を上から見ることができます。源頼朝の追手から逃れ、奥州へ落ちのびる源義経の一行が、嵐を避けるため、48隻もの舟を隠したという伝説が残る場所です。ここに48隻も入ったのかな……。私は見なかったのですが、義経が刀の試し切りをしたと言われる岩も近くにあるそうです。

そこからさらに南下した、能登金剛中央あたりに、景勝地「巌門(がんもん)」があります。地震の影響か、巌門園地の一部は立ち入り禁止になっていましたが、名物である「能登金剛遊覧船」は通常運航を再開しています。遊覧船からは、義経と弁慶が碁を楽しんだと言われる碁盤島などを間近に見ることができ、海の上から能登金剛の雄大な景観を存分に楽しめました。
各地に色々な伝説を残している義経ですので、奥州落ちの際、実際に能登を経由したのかどうかはわかりませんが、伝説が残るほどに、古くから美しい景観だったんでしょうね。

◆能登金剛
住所:石川県羽咋郡志賀町富来

◆能登金剛遊覧船
住所:石川県羽咋郡志賀町富来牛下巌門
電話番号:0767-48-1261
料金:大人1,400円、小学生700円
営業時間:3月中旬〜11月中旬の9:00〜16:00頃 ※遊覧時間 約20分

能登金剛

石川県羽咋郡志賀町富来牛下~前浜

能登金剛

能登金剛遊覧船

石川県羽咋郡志賀町巌門

能登金剛遊覧船

加賀藩・前田家ともゆかりのある「妙成寺(みょうじょうじ)」

總持寺祖院と並ぶ、能登の名刹の一つ、羽咋市(はくい)にある妙成寺(みょうじょうじ)へ向かいます。

妙成寺

北陸唯一の五重塔。

妙成寺

国の重要文化財に指定されている「二王門」。

妙成寺

一部の灯籠や墓石は地震で損壊していました。

妙成寺

本堂も国の重要文化財。

妙成寺

五重塔を望める書院庭園。

旅色LIKES

参道で名物・ひやしあめを。麦アメを霊水で割って生レモンを入れたもので、テイクアウトOK。

妙成寺は、1294(永仁2)年に開創、江戸時代には「加賀百万石」で知られる加賀藩・前田家の厚い守護を受け、10棟の重要文化財を含めた建造物を有しています。なかでも、三代利常の生母・寿福院の菩堤(ぼだい)所として作られた建造物の一つである五重塔は、江戸期屈指の名塔とも言われるほどで、静かな境内に凜と佇む様子は美しく、一見の価値ありです。
灯籠や墓石、石垣などは地震で一部崩れていたり破損が見られましたが、五重塔をはじめ重要文化財の建造物には幸いにも大きな被害はなかった様子。妙成寺は日蓮宗の寺院ですが、總持寺祖院とは宗派の壁を越えて、能登半島を代表する名刹として、ともに観光振興に連携して取り組んできたそうです。
猛暑の中、汗だくになって見学した後、参道でいただいたひやしあめが絶品でした!

◆妙成寺
住所:石川県羽咋市滝谷町ヨ-1
電話番号:0767-27-1226
拝観料:大人(高校生)500円、小・中学生 300円
拝観時間: 4~10月 8:00~17:00、11~3月 8:00~16:30
休観日:無休

妙成寺

石川県羽咋市滝谷町ヨ1

妙成寺

『万葉集』にも登場する縁結びのパワースポット「氣多大社(けたたいしゃ)」

氣多大社

国の重要文化財「神門」。

氣多大社

後ろに見える森が国指定天然記念物「入らずの森」。神域のためもちろん入れません。

氣多大社

おみくじ。

妙成寺から車で約10分、能登国一宮として知られる氣多大社を訪れました。創建は約2100年前とされ、『万葉集』にも登場しています。その編纂者として知られる奈良時代の歌人・大伴家持(おおとものやかもち)が越中(現在の富山県)の国司であった頃、参拝の際に詠んだ和歌が『万葉集』に収められています。中世になると能登守護の畠山氏から、近世では加賀藩・前田家から手厚く保護された歴史ある神社です。
氣多大社は「氣」が多く集まると言われ、御祭神である大己貴命(おおなむちのみこと)は、縁結びの神様であることから、「縁結びのパワースポット」としても有名です。毎月1日は無料の縁結び祈願「ついたち結び」が行われているそうですよ。

◆氣多大社
住所:石川県羽咋市寺家町ク1-1
電話番号: 0767-22-0602
参拝時間:8:30~16:30

氣多大社 公式HP

瑩山禅師が創建した、多くの文化財が見られる名刹「永光寺(ようこうじ)」

永光寺

永光寺の山門。

永光寺

本堂。

旅色LIKES

山岡鉄舟の襖書。

旅色LIKES

わたしも一筆残しました。

総持寺祖院を訪れた際に、「ぜひ立ち寄ってみるといいよ」と勧めていただき、訪れたのが羽咋市内にある永光寺です。永光寺は、1312(正和元)年に瑩山禅師が総持寺祖院の前に創建したお寺で、曹洞宗の発展において重要な地位を占める古刹とされています。応仁の乱と戦国時代の二度の戦火で建物は焼失したものの、江戸時代に前田利家によって再興され、総持寺祖院の末寺となりました。現在の建物は江戸時代の寛永以後に再興されたもので、今回の地震では大きな損傷はなかったようで、中も見学できました。多くの文化財を有しており、本尊の釈迦三尊像は鎌倉時代末の院派の仏師の作品として有名なのだそう。江戸城無血開城の立役者と言われる幕末三舟(※)の一人、山岡鉄舟の襖書(ふすまがき)も間近にみることができます。

曹洞宗といえば座禅。予約すれば座禅体験もできるようです。拝観後は、お茶をいただきながら休憩室の机の上にあった「永光寺参拝者らくがき帳」をパラパラと。震災後に訪れた方も多くいるようで、能登への想いや応援の気持ちがいくつも綴られているのが印象的でした。緑に囲まれた静寂な古刹で、とても穏やかな時間を過ごさせていただきました。

※幕末三舟:幕末から明治時代初期にかけて活躍した幕臣、勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟の3名。

◆永光寺
住所:石川県羽咋市酒井町イ11
電話番号:0767-26-0156
拝観時間:8:30~17:00
拝観料:300円

瑩山禅師を導いた白狐伝説の「豊財院」

豊財院

永光寺から車で約10分の山の中腹に、瑩山禅師が曹洞宗を広めるため、能登で最初に開いた禅修行の場「豊財院」があります。伝説によると、瑩山禅師はここから白狐に導かれ、永光寺を開いたのだとか。国の重要文化財に指定されている三体の木造観音立像があります。建物に大きな損傷はなさそうでしたが、拝観や宝物館の見学には予約が必要なため、要注意です。私は知らずに訪れてしまい、見学ができなかったので、また再訪したいと思います。

◆豊財院
住所:石川県羽咋市白瀬町ル8
電話番号:0767-26-1065
拝観時間:9:00~17:00(要予約)
休観日:不定休
拝観料:大人(高校生以上)400円 、小中学生150円

大伴家持が歌に詠んだ海を眺める 「千里浜なぎさドライブウェイ」

千里浜なぎさドライブウェイ

打ち寄せる波のすぐ近くをドライブできる。

千里浜なぎさドライブウェイ

夕日は待ってでも見る価値あり!

千里浜なぎさドライブウェイ

歌碑は歌に出てくる「船梶」をデザインしており、気多大社に向かって建っている。

波打ち際を車で走行できる全長約8kmの砂浜「千里浜なぎさドライブウェイ」。北端にある「能登千里浜レストハウス」のすぐ近くには、大伴家持が氣多大社参拝時に詠んだ歌碑があります。
夕日がきれいだから見ていくといいよ! と地元の方に教えてもらい、波打ち際に車を停め、夕日を待ちました。家持が見たのは朝の千里浜だったようですが、夕日も絶景! 1300年近く前、同じ海を見ていた万葉歌人に想いを馳せつつも、歌は詠めず……。

◆千里浜なぎさドライブウェイ
住所:石川県羽咋市千里浜町~宝達志水町今浜

千里浜なぎさドライブウェイ

石川県羽咋市千里浜町 ~ 宝達志水町 今浜

千里浜なぎさドライブウェイ

おわりに

地震の爪痕は至る所で目にしましたが、ご紹介したスポットはいずれも車で問題なく訪れることができました。輪島市で唯一訪れた總持寺祖院の周辺は、まだまだ時間がかかりそうでしたが、志賀町や羽咋市は復旧が進んできており、通常営業の施設・お店が増えているようでした。公益社団法人石川県観光連盟のWEBサイト「ほっと石川旅ねっと」」では、能登地域の観光地等の営業状況やイベント・祭りの開催情報をタイムリーに発信しています。また、これから復興状況次第で「能登観光割」を実施するという構想もあるそうですね。復興の状況に合わせて旅をすることで、能登を応援していきませんか。

「ほっと石川旅ねっと」はこちら
「北陸応援割」はこちら
旅色でも北陸を応援しています!

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#石川県 #能登半島 #旅色LIKES #寺社仏閣 #歴史旅 #北陸応援割 #北陸を元気に

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時間を見つけては、歴史や伝統工芸などに触れられる旅スポットを巡っています。ものづくりの技術や創意工夫を知る産業観光も大好き。東海・関西エリアを中心に、歴史やものづくりを身近に感じられる旅体験をお届けします。近年は道の駅とかわいいおみくじ、地サイダーがマイブーム。

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