秋旅におすすめ! お酒とレトロ建築から山形を知る社会科見学
旅色LIKESライター・さっかです。山形県といえばなにを思い浮かべますか? 名産の「さくらんぼ」、これからの季節だと「山寺」や「蔵王」の紅葉も素晴らしいですよね。冬なら雪景色が素敵な「銀山温泉」も! でもそれだけではありません。山形県は、ワイナリーや酒蔵も多く、お酒好きにはたまらない場所です。山形駅周辺の芸術的なレトロ建築も見ながら、山形の味覚と芸術の秋を感じる旅へ出かけます。
目次
旅のヒントはキーワード集めから
私の旅は、旅先の特徴を表すキーワードを集めることからスタートします。事前に検索して調べることもありますが、現地の観光情報センターに立ち寄ることがおすすめ。パンフレットから現地の最新情報を知るだけでなく、スタッフの方に声をかけると地元ならではの情報を手に入れることもできます。今回調べるなかで気になったキーワードは「酒」、「日本酒」、「ワイン」、「レトロ建築」。これらから、山形をより深く知る旅へ出発します。
【酒】全国的に認められた「GI山形」を飲み比べる「やまがた酒巡り Chetto(ちぇっと)」
まず訪れたのは、JR山形駅より歩いて1分ほどのところにある「やまがた観光情報センター」内にある「やまがた酒巡り Chetto(ちぇっと)」。県内産の日本酒とワインが常時42種類用意され、有料試飲ができる施設です。山形は日本酒とワインともにGIの指定を受けている数少ない県のひとつ。GIとは、正式名称を「地理的表示GI」といい、産地ならではの特徴が明確であることなどを基準に国税庁により指定されます。「シャンパン」を名乗れるのは、フランスのシャンパーニュ地方で生産されたものだけなように、産地名を独占的に名乗ることができる制度です。
立ち飲みテーブルのメニューに説明があり、6ショットの試飲にどれを選ぼうか悩むのが楽しい時間です。特に印象に残っている日本酒が2つありました。1つ目は山形のブランド米つや姫を使った「清泉川 山形のつや姫様」。口に入れるとその甘さに驚きます。2つ目は山形県限定流通商品の「楯野川 純米大吟醸 凌冴」。米を強く感じるスッキリとした辛口、煮物をつまみにしたくなりました。ほかにもいくつか日本酒を飲みましたが、まだまだ日本酒は初心者の私でも、異なる味わいを感じることができ、飲み比べを満喫しました。ワインで気になったのは、説明にブルーベリーや苺ジャムのアロマに、ほのかに感じるビスケットやアロマのニュアンスと書かれていた「2021 高畠クラシック マスカット・ベーリーA」。渋みのある味なのですが、こんなにも色々な香りを感じるワインは初めて体験しました。
◆やまがた酒巡り
住所:山形市城南町1-1-1 霞城セントラル1階(やまがた観光情報センター内)
電話:023-647-2333
受付時間:10:00~18:00(コイン販売は17:30まで)
料金:3ショット 500円、6ショット 1,000円
【日本酒】酒造りを学びに「古澤酒造資料館」へ
おいしい日本酒とワインを味わった後は、酒づくりの現場を知る社会科見学。山形県内には51の酒蔵と19のワイナリーがあります(山形県HPより)。製造工程の見学や資料館があるところも多く、試飲ができるのも魅力です。
古澤酒造資料館はJR寒河江駅から徒歩約10分、静かな住宅街の中にあります。1983年まで酒造りが行われていた蔵の中に実際に使用していた道具が並んでいます。仕込みに使う六尺桶は、その名の通り直径が六尺(180センチ)もあり、大人数人がすっぽり入れそうなほど。当時の田んぼ300坪と同じ値段というほど高価だったようです。ほかにも、麹室やその中で使用していた道具も展示されているなど、当時の手作業での酒づくりの雰囲気を体感することができました。館内は撮影ができないので、しっかり目に焼き付けてきました。現在の酒づくりは隣にある工場で行われているそう。
お土産コーナーで無料の試飲コーナーが。違いはお米の品種だけ、という2種類を飲み比べさせてもらいましたが、はっきり違いを感じました。他にも焼酎や梅酒を含めて3種類ほど試飲させてもらいました。スタッフの方との会話を楽しみながらの試飲は楽しいものです。日本酒に詳しくない私にも分かるように、製法や特徴を教えていただきました。酒粕やお猪口などさまざま売られていますが、資料館限定の日本酒があるのでぜひ購入してみてください!
◆古澤酒造資料館
住所:山形県寒河江市丸内三丁目5-7
電話: 0237-86-5322
開館時間:10:00~16:00
休館日:年末年始
料金:無料
【ワイン】手作りから生まれる良いワイン「タケダワイナリー」
JRかみのやま温泉駅からタクシーで約5分。1920年に開園し、南向きの斜面に15ヘクタールもの広大な農園が広がります。「良いワインは良いぶどうから」をモットーにぶどう作りにこだわっています。湿気に弱いぶどうの管理は苦労もあるようですが、除草剤は使わず人の手で草を取るなど大切に育てているのだそう。そんなお話を聞くと試飲をさせてもらうワインの味がさらにおいしく感じられます。いくつか好みのものを購入して帰りました。
かみのやま温泉駅前には上山市内のワインを味わえる「山形ワインカーブ」もあるので、電車などの待ち時間に色々なワイナリーのワインを飲み比べるのもおすすめです。
◆タケダワイナリー
住所:山形県上山市四ツ谷2丁目6-1
電話: 023-672-0040
見学受付時間:10:00~11:30、13:00~16:30 ※予約制
休業日:4~11月 日曜日、12〜3月 土・日・祝日、8/13〜16、12/29〜1/4、
料金:無料
【レトロ建築】過去の大火から復興を遂げたレトロ建築の傑作「文翔館」
明治44年に山形市内の広範囲を襲った大火事で、県庁舎と県会議事堂を含む1,000戸以上の建物が焼失しました。その後、火災に強いレンガや花崗岩で県庁舎と県会議事堂を再建。昭和50年に県庁移転したことに伴い、現在は文翔館(ぶんしょうかん)の愛称で見学施設となりました。国指定重要文化財にも指定され、建築に詳しくなくても心惹かれる美しい外観。あまりにも美しいので夜も訪れたのですが、雰囲気がガラッと変わり大人の優美な雰囲気を感じました。
ステンドグラスやシャンデリア、階段の手すりのデザインが異国を感じさせる空間です。特に漆喰の天井の細かい彫刻が素晴らしく見入ってしまいました。山形の特産品であるさくらんぼやベニバナが隠されているので探してみてください。無料でありながら建物についての丁寧な解説板と復元工事や山形の歴史の展示があり、学びがたくさんありました。
◆山形県郷土館 文翔館
住所:山形県山形市旅篭町3丁目4-51
電話: 023-635-5500
開館時間:9:00~16:30
休館日:第1・第3月曜日 ※祝祭日の場合は翌日、12/29~1/3
料金:無料
ほかにも山形市内にはレトロ建築がいくつかあります。レトロ建築を中心に周りたい人には、山形駅周辺のレトロ建築を巡るスタンプラリー「やまがた-建物-時代絵巻」がおすすめです。スタンプを集めると、ゴールで山形にまつわるポストカードがもらえます。スポットのなかにある山形市郷土館「旧済生館(さいせいかん)本館」は、瓦屋根とステンドグラスという和洋折衷のつくりが印象的な病院として使われた建物でぜひ行ってほしいところ! 内部がお店になっているところもあり、お土産探しや休憩をしながら巡れるのもポイントです。歩くと6キロメートル(約73分)あります。歩き疲れたら市内を運行する「ベニちゃんバス」もうまく利用しながら散策してみてください。
おわりに
さくらんぼや山寺のイメージが強かった山形県。旅してみると街中のレトロ建築が素敵な雰囲気を醸し出し、豊富な味わいの日本酒やワインであふれ、お酒好きにもたまらない場所でした。食欲の秋、芸術の秋、なんていいますが、そんな秋の旅にぴったり。個性豊かな日本酒やワインを味わいつつ、レトロ建築を楽しむ山形旅なんていかがでしょう。