【福島県】震災で住民0になった南相馬市小高区は、町おこしが進みワーケーションにもぴったりだった

皆さんは福島県南相馬(そうま)市をご存じですか? 福島県浜通り北部に位置する市で、神事「相馬野馬追(そうまのまおい)」で知られる町です。なかでも小高(おだか)区は、2011年の福島第一原発事故で避難指示区域に指定されたエリアでもあります。一時は住民がゼロになったものの、2016年の避難指示解除後は新しい挑戦ができる場所として若い世代が続々と移住・起業し、日々進化を続けているため、何度訪れても新しい発見がある、お気に入りの町です。そんな南相馬市小高区や周辺地域でワーケーションをするのにおすすめのスポットやリフレッシュ目的にもぴったりなアクティビティ、季節のイベントなどを旅色LIKESライターの&ヨシカが紹介します。
目次
リモートワークするなら個室も使える「小高交流センター」で
小高駅からまっすぐ西側にのびる小高駅前通りを5分ほど進むと、右手に「小高交流センター」が見えてきます。こちらは、さまざまな世代や地域内外の人たちの交流拡大や地域活性化など、復興・再生を目的に市が整備をした施設。人工芝の屋内遊び場やトレーニングエリアなど体を動かせるゾーン、食事や休憩ができるカフェ、イベントもできる天然芝の広場など、あらゆる用途で使えるスペースがいくつもあり、南相馬市民以外でも気軽に利用できます。
私が滞在中に仕事をする際はこの施設内にある「交流スペース」を利用することが多いです。Wi-Fiと電源完備で、窓の外には「小高はらっぱ」と呼ばれる天然芝の広場が見える開放的なスペースで、9時から21時まで無料で利用できます。集中して仕事したい時には、隣の建屋にある和室を1時間200円で借りるのが良いかも。
◆小高交流センター
住所:福島県南相馬市小高区本町2-28
電話番号:0244-32-1124
営業時間:9:00~21:00
定休日:月曜日 (祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
地元出身の店主が生み出す本格メニューが人気「故郷喫茶Caféカミツレ」
小高交流センター内にあるカフェで、南相馬市小高区生まれでパティシエールでもある吉田祐子さんが店長をされています。丼メニュー、肉料理、魚料理、と、カフェとは思えないほど本格的なランチが食べられるほか、アツアツで提供されるパンが3種類あります。特に、サクサク食感でバターの香りがするクロワッサンが絶品! パンにつけるガーリックバターも食欲をそそります。ほかにも、フレッシュないちごをふんだんに使ったデザートメニューも。
◆故郷喫茶Caféカミツレ
住所:福島県南相馬市小高区本町1-24-1 南2棟
電話番号:0244-26-7222
営業時間 :11:00~18:00(ランチLO13:30、ティータイムは14:00~)
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
小高ツウなら知っている名店「浦島鮨」
小高に行ったことのあるほとんどの人がお気に入りだと言うほど人気のお寿司屋さん「浦島鮨」。2016年の避難指示解除後に先駆けてお店を再開させました。テーブル席もありますが、一人ワーケーション旅であればカウンターで大将と話しながらの食事がおすすめ。昼も夜もメニューは同じで、小高駅周辺はディナータイムに開いている飲食店が少ないため、重宝しています。サクッと食べたいなら握り、時間をかけてたっぷり味わいたいなら散らしをどうぞ。海鮮とカニみその入っている茶碗蒸しは必食です。
◆浦島鮨
住所:福島県南相馬市小高区東町1-131
電話番号:0244-44-3257
営業時間 :11:00~14:00 、17:00~21:00
定休日:火曜日
「iriser(イリゼ)」のバーナーワーク体験で、世界にひとつのアクセサリーを
iriserは、2019年に小高区で始まったハンドメイドガラスブランド。高温の酸素バーナーの炎でガラス棒を溶かして成形していく「バーナーワーク」でガラス製品を作っています。馬にゆかりのある相馬地方ならではのモチーフや、町の花である小高梅をモチーフにしたオリジナルデザインのアクセサリーが人気です。こちらでは、販売だけでなく、バーナーワーク体験も可能。私はリング制作に挑戦しました。
体験の流れは、作業用のエプロンとサングラスを装着し、好きな色のガラス棒を選び、作りたいデザインのイメージをガラス職人さんに伝えるところからスタート。職人さんがデモンストレーションでリングを制作した後、自分で実践。職人さんが横についてくれるので安心して体験できます。思い通りのトリコロールのデザインになりませんでしたが、世界でひとつだけのリングが出来上がって嬉しかったです! 紐をつけてネックレスかサングラスホルダーとして使おうかな。
◆iriser
住所:福島県南相馬市小高区本町1-87 小高パイオニアヴィレッジ内
電話番号:0244-26-4525
営業時間 : 10:00~18:00
定休日:第1・3・5土曜日、日・祝日
心身ともにリフレッシュできる「Horse Value(ホースバリュー)」の海トレッキング
南相馬に来たのであれば、馬とのアクティビティもおすすめ! 特に、「海トレッキング」がイチオシです。私がお世話になった、「Horse Value」の海トレッキングは、小高区から車で約25分の場所にある烏崎海岸で、約1時間ほど乗馬しながら海岸沿いを散歩できます。これらのホースシェアリングサービスは、相馬野馬追で活躍する150頭ほどの馬の活用事例として、2020年に立ち上げられました。いつもと違う目線でどこまでも続く空と海が見え、海風を感じながらリフレッシュできる極上体験です。馬を引いてくれる厩舎(きゅうしゃ)長の深野聖馬さんと馬のことを話すのも楽しい時間です。
◆Horse Value
海トレッキング集合場所:福島県南相馬市鹿島区烏崎牛島256-2(烏崎海浜公園駐車場)
営業時間 :10:00~17:00 ※各種体験は公式HPから要予約
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日休)
無人駅から生まれた小高名物!? “クラフトサケ”が楽しめる「haccoba 小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKET」と「haccoba 小高醸造所 &KITCHEN」
無人駅となったJR小高駅に2024年2月、変化が起きました。それは、日本初の駅舎を利用した醸造所「haccoba 小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKET」がオープンしたこと。この醸造所は、日本酒の新しいジャンル“クラフトサケ” ※を2021年から小高で造り続けている「haccoba-Craft Sake Brewery-」が運営しています。この醸造所は、ブルワリー(醸造所)、パブリックマーケット(物販エリア)、パブリックスペース(交流エリア)で構成され、ネット販売では即完売するhaccobaのお酒を購入することができるほか、南相馬市で製造されている食品や雑貨などのお土産を購入したり、電車の待ち時間にhaccobaのお酒を試飲したりできます。
いま注目の“クラフトサケ”はここだけでなく、2021年2月に古民家を改修して生まれた「haccoba 小高醸造所 &KITCHEN」でも。こちらで食事したい場合は事前予約制になりますので、お店へ問い合わせを。
※日本酒の製造技術をベースとして、お米を原料としながら従来の「日本酒」では法的に採用できないプロセスを取り入れた、新しいジャンルのお酒。
◆haccoba 小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKET
住所:福島県南相馬市小高区東町1-140
営業時間 :12:00~19:00
定休日:月曜日
◆haccoba 小高醸造所 &KITCHEN
住所:福島県南相馬市小高区田町2丁目50-6
営業時間 :10:00~17:00
定休日:月曜日
町と馬の歴史を色濃く感じる相馬野馬追の「火の祭」と「野馬懸」
小高区では季節ならではのイベントも必見です。例えば、冒頭で少し触れた相馬野馬追は、福島県の相馬地方で毎年行われる祭典で、国の重要無形文化財に指定されています。約400騎の騎馬武者が豪華絢爛で勇壮な時代絵巻を繰り広げます。例年7月最終週の土・日・月曜日に行われていたのですが、2024年から猛暑を避けるべく5月末開催に変更になりました。
小高区では二日目の夜に「火の祭」が前川堤防沿いで、三日目の朝に相馬小高神社境内で「野馬懸(のまかけ)」が行われます。「火の祭」とは、相馬野馬追のメイン会場である雲雀ケ原祭場地(ひばりがはらさいじょうち)からお神輿や騎馬行列が返ってくる沿道で、住民が提灯や松明をかざして慰労の意を表したのが始まりの催しで、現在は、田んぼのあぜ道や前川の土手に点々と並べられたかがり火を灯した後、花火を打ち上げています。
「野馬懸」は放たれた野馬を神社境内に追い込み、御小人(おこびと)と呼ばれる十数人の白装束の若者たちが素手で神馬を捕らえ、神前に奉納する神事のことです。この三日間は特に、南相馬と馬の関係性や、大切にされてきた歴史を強く感じさせられる期間なので、ぜひ行ってみてほしいです。
◆相馬野馬追
開催期間:2025年5月24日〜26日
電話番号:0244-22-3064(相馬野馬追執行委員会)
プロ監修のフォトスポットも 「あかりのファンタジーイルミネーション in おだか」
毎年11月中旬から翌年1月中旬までの約2か月間、小高交流センター、小高駅をはじめとして個人宅も含めた小高の町がイルミネーションで彩られます。特に、地元の工務店に設置される「となりのトトロ」のイルミネーションはクオリティが高く必見です。また、今年のコンセプトは「体験型イルミネーション」。来場者がLEDを灯せるスカイランタンや、プロのカメラマンが監修するフォトスポットなどがあるそう。これまで開催されたものよりもパワーアップしているみたいなので、すぐに小高へ行かれる方は立ち寄ってほしいです。
◆あかりのファンタジーイルミネーション in おだか
開催場所:小高浮舟ふれあい広場、小高駅舎、小高交流センター、ほか(小高区内の賛同事業所や個人宅)
電話番号:0244-44-6014(小高観光協会)
開催期間:2024年11月16日~2025年1月13日
点灯時間:17:00~20:00
最後に

小高駅前通りの両側には、馬の形をした車止めがたくさん!
復興への道を歩み続けた結果、より魅力あふれる町となった南相馬市小高区。しっかりお仕事もできるし、ゆったりリフレッシュ旅行も叶うこの町は、これからも新しい楽しみが増えてきそうな予感がします。ぜひ、次の旅先の候補にしてほしいです。