大分は温泉だけじゃなかった! 絶景だらけの由布院でプロ同行の撮影旅

大分県

2022.01.10

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大分は温泉だけじゃなかった! 絶景だらけの由布院でプロ同行の撮影旅

「そうだ、由布院に行こう」

11月下旬、発売されたばかりのドローン・DJI Mavic3をゲットしたわたしは、どこかで撮影をしたくてうずうず。せっかくだから紅葉を、撮影は冷えそうだから温泉も。まだ紅葉の間に合いそうな山の中の温泉ってどこだろう……由布院かな! さっそく熊本と東京にオフィスを構えていて、由布院でも撮影を繰り返している写真家のお友達・そのてつさんに連絡したのです。「由布院に行くんだけど、いいところ教えて〜」なんとまぁ、来てくれると言うではありませんか。そんなわけで、ばっちりな撮影スポットを教えていただきつつ、わたしを撮影してもらいつつ、愉快な秋の日が訪れたのでした。

目次

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湯けむりだらけの町に雲海が広がった

由布院きっての絶景「金鱗湖」で鯉が入浴?

だだっ広い田畑、ドーンと構える由布岳とプチッとかわいい橋

郷土料理は満場一致の「とり天」

由布岳の麓で「風の谷のナウシカ」の伝説が復活?

小田の池の頼りなさが妙にロマンチック

由布院は正真正銘の美肌温泉だった

おわりに

湯けむりだらけの町に雲海が広がった

由布院に到着したのは夜遅く。なので、風景を初めて目にしたのは翌朝早い時間でした。窓を開けると、なんだこれ!

これ、もしや「湯けむり」? 目を疑いました。湯けむりって言葉はもちろん聞いたことあるけど、こんなゴーストバスターズのおばけみたいのがそこら中うようよしているなんて! しかも、町は雲海で覆われているではありませんか。由布院は地形の特性上、秋から冬にかけて雲海がとっても出やすくて有名なんですって。昨夜、宿のお母さんが「明日は雲海が出るかもね〜」って言ってたけど、これですね! 晴れて暖かいのに、夜は急に寒くなる日の翌朝で、晴れて風がないと雲海になりやすいとか。

すぐに出動しようとドローンを持って車へ行くと、おぉ。フロントガラスがガッチガチに凍っているではありませんか。まさか11月の九州でこんなことになるなんて。予想もしなかったことだらけでてんやわんや、あー楽しい。当然だけど日本にもまだまだ知らないこと、想像もしていなかったことがたくさんあるんだなぁと、今後の出会いの可能性にワクワクするのでした。

そんなわけで移動は中止。パーキングからフライトしたのがMavic3の初体験で、上の写真です。

由布院きっての絶景「金鱗湖」で鯉が入浴?

さて、日の出前に熊本を出発したそのてつさんが宿に迎えにきてくれて、まずは金隣湖に連れて行ってくれました。金鱗湖は朝霧が有名で、由布院を代表する絶景スポットなんですって。なんで朝霧が出るかといえば、金鱗湖の水温が要因です。温泉が湧いていて温かいので、外気との温度差で湯気が立つとか。

さすがみんなを魅了し続けているだけあります、なんって幻想的な世界。昇りたての太陽が放つ、何本もの斜めの光の道が朝霧を貫く神がかった光景。それが静かな水面に木々や山とともに映り込み……あぁ、絶景。上の写真はジンバルカメラで撮影していたもので、そんな様子を撮っていただいたのがこちら。

Photo by SONOTETSU

Photo by SONOTETSU

バックの紅葉をぼかして撮ると、まるで背景にマーブルのイラストレーションを敷いたみたい。おしゃれな写真だな〜うれしいです。

で、足元を見て、まばたきパチクリからの、爆笑!

湯気がほかほかと立ち昇る温泉で、鯉が泳いでいるではありませんか。普通の鯉より活発でツヤツヤしてる! なんならスッポンも浸かってます(笑)

みんな心ほぐされてほっこりしていますね、温泉すごいな。

■金鱗湖
住所:大分県由布市湯布院町川上1561-1
電話番号:0977-84-3111

だだっ広い田畑、ドーンと構える由布岳とプチッとかわいい橋

さて、大分川に架かる歩行者専用の小さな橋に行きました。

なんでしょう、この物語がはじまりそうな時計は。木箱に入って傾いています。時を自由に進めたり戻したりできそうな。では、わたしは時を止めてみましょう〜。

ジャーンプ! 飛び上がった頂点で時は止まったのです。そんなドローン自撮りの様子を、そのてつさんに撮っていただいたのがこちら。

Photo by SONOTETSU

Photo by SONOTETSU

ドローンと向き合い、楽しそう。

ところで、霜の降りた川辺を真俯瞰から見下ろすとアートでした。

世界はどんな風にでも見える、むしろ見たいように見えるんだなって確信しました。

上空から見渡す由布院の田畑も最高でした。パッチワークみたいな畑、ゆるゆるとうねる川、昇る湯けむり、山陰に入った家々。すべてが愛おしく感じられるかわいい世界です。

Photo by SONOTETSU

Photo by SONOTETSU

そのてつさんに、1,583mというそこそこ高い由布岳の迫力がズドンと伝わる写真を撮っていただきました。ドローンを飛ばしながら歩く自分です。他の山と重なることなく大地まですっと伸びてきている山裾。小さいなぁ、自分ちっさい、人間ちっさい! このスケール感の中を生き抜く人間って偉いし、健気すぎます。

郷土料理は満場一致の「とり天」

さぁ、ランチは名物をいただきましょうよ。大分空港を降りたってから、空港の方やレンタカーの方など、話す機会があると「大分の名物ってなんですか」と聞いていたんです。答えはみーんな同じ「とり天」でした。きっと鶏の天ぷらなんだろうけど、どんな風に提供されるものなのか、いまいちわかりません。「専門店があるんですか?」「単品で頼む物ですか?」いくつか質問してみたけど、答えはふわっとしています。どうやら専門店は(彼らが知る限り)なさそうで、単品で食事として成立させる物でもなさそうです。ワクワクしながら由布院駅前の「陽だまり食堂」で注文してみます。

鶏を天ぷらにしたものが、他の天ぷらと一緒に運ばれてきました、そのまんま! 食事の中の一品で気が付くといつも傍にいてくれる存在、直球のソウルフードなんだと理解しました。それにしても、すっごくおいしいんです。まずは大分の鶏がいいんでしょうね、そして各家庭やお店ごとの味付けがいいんでしょう。下味は、衣の味付けは、揚げ方は、つけダレは……とり天調理者の数だけ味がありそうです。食べ比べしたくなっちゃうな〜。

こちらも大分の郷土料理「だんご汁」。丸いおだんごではなく、麺が入っていてアレレ? と思いました。けど、だんごを伸ばしたのがこれなんですね、なるほど。もっちもちな食感がお味噌仕立ての味わいによく合います。郷土料理って、素朴であたたかくて、運ばれてくるだけでほっこりしちゃいますね。

■陽だまり食堂
住所:大分県由布市湯布院町川上2914-1 JAおおいた 農産物直売所
電話番号:0977-84-2270

由布岳の麓で「風の谷のナウシカ」の伝説が復活?

由布岳の登山口にきました。黄色い世界!

不思議でしょう、どうも由布岳にはたいした森がないんです。ぱっと見、頂上からソリで滑って降りてこられそう〜、すっごい独特な世界観の山! それはどうも火山であることが原因みたい。土の水捌けが良すぎて森が育つには適していないんですって。それにしてもこの地面の黄色さよ。木々の紅葉の絶頂期は超えていたけど、そのころはこんなに地面が黄色くなかったはず、ラッキー。

わたしにはドローンで自撮りをしているとき、すぐに地面に寝っ転がる習性があるんです。ここでも例に漏れずパタン。黄色い世界に青が映える〜。実はこのパターンは予想しておらず、赤や黄色の暖色の木々の中で埋もれないようにコントラストが高くなる色を選んだのですが、ばっちりでした! まるで「風の谷のナウシカ」?! 有名なクライマックスで大ババ様が言う「その者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし」ではありませんか。寝てるけど(笑)。

さて、さらなるシーンを求めて麓から頂上まで、広い広い空間を見渡すと、インスピレーションが湧く岩を発見。けっこう向こう、山の上の方にある大きな岩です。あそこに立ったら、完璧に空と黄金の草原とぐるりの尾根だけの、壮大なシーンに仕上がるんじゃないかな。いいロケーションのためならどこまでも! そのてつさんもわたしも躊躇なんてありません。ブーツでザックザック、たくさんの機材を抱えて道のない山を登ります。途中、深い溝があったり、方向がわからなくなったりすると、ドローンを飛ばして行先の様子を偵察、便利だなぁ。そうして辿り着いたのがここ。

Photo by SONOTETSU

Photo by SONOTETSU

いいでしょう〜、特等席。由布岳とその他のぐるりの山々を見渡し、吹き抜ける風を存分に感じて、自分たちの息遣いと草のそよめく音のみを耳にして。最高! さて、さらなるナウシカ感、空を飛ぶ「メーヴェ」を操るようにドローンを飛ばします。

気持ちいいでしょう! スケールが大きくて懐の深〜い空気感、非日常感と異次元感がたっぷりのロケーション、PVにはもってこいです。ぜひ皆さんも用があるとかないとかは置いておき、PV撮っちゃったらいかがでしょう(笑)?

■由布岳
住所:大分県由布市湯布院町川上

小田の池の頼りなさが妙にロマンチック

さて、続いては小田の池です。コートは二着車に積んでいて、場所ごとにより映えそうな方を着ていますよ。ここでは白。

Photo by SONOTETSU

Photo by SONOTETSU

池までの森はこんなにもメルヘン。ちょっと振り返り気味なのが、パンくずを落としながら歩くヘンゼルとグレーテルみたいではないですか?

森が開けると、小田の池が現れました。いかにも水深が浅そう、池というより大きな水たまりみたい、なんだか儚さが漂います。それでも太陽を反射するには充分で、力強くきらめきます。なんだかとってもバランスいいなぁ。さらに、まだ3時だっていうのに太陽は存分に傾き、空気が確実に冷えてきている冬っぽさがプラスされて、情緒爆発、最高にロマンチックなのでした。

Photo by SONOTETSU

Photo by SONOTETSU

どこか冬のセンチメンタルを背負った気持ちで自撮りしているところを撮っていただきました。自撮りをする人物と、自撮りをする機材の写真、面白いものです。

池の周りの森を俯瞰で見るとこう。ツンツンで、パリパリしわしわ紅葉終了地帯と、青々生き生き光を存分に反射する緑地帯のコントラストが心地いいなぁ。

さて、ここでそのてつさんとのロケ撮影は終了。撮っていただいた写真のすばらしさはもちろん、太陽の向き、山蔭の把握、時間ごとの影の長さ、どの瞬間、どこの季節感……撮影者への案内も秀逸すぎました。なにより、楽しい! いっぱい笑って元気10倍湧いてきます。せっかく行くならすてきな写真が欲しいなと思うあなた、案内されながらいい写真まで撮ってもらえちゃうって最高ですよ、お勧めです。よろしければそのてつさんのInstagramからお問い合わせ下さい。

■小田の池
住所:大分県由布市湯布院町川西

由布院は正真正銘の美肌温泉だった

ところで、由布院は美肌温泉で有名ですね。pH値はどこも9前後、ぬるぬるのアルカリ性のお湯です。肌から古い角質層や油分を取ってくれるクレンジング効果があって、つるつるなめらかになるんですって。わたしが泊まっていたのはミニキッチンもついている広々和室の「田舎村」。こちらは4部屋のみで、お風呂は貸切の岩風呂が2つ。贅沢だな〜。

二晩泊まりましたが、自分が最後に入浴するのを確認して、両日とも二時間入りました。なんなら朝風呂もしました。ただただその時間が心地良かったからそれで満足だったのですが、もう翌朝のお肌のもっちもち度には驚くばかり! これは美容のためにワンシーズン一回は来ないと行けないなと、心に誓った次第です。

■ゆふいん田舎村いなか荘
住所:大分県由布市湯布院町川上440-19
電話番号:0977-84-5282

おわりに

いかがでしたか。由布院の最高に美しくって開放感あふれる世界観、受け取っていただけていたら最高です。ぜひ絶景に囲まれ、放心する体験をしに由布院へいらしてください。

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#温泉 #ドローン #とまこ #大分 #湯布院 #由布岳

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ドローン旅作家 とまこ

ドローン旅作家

とまこ

元秘境ツアー添乗員で現在は“おしゃれパッカー”、“美肌ダイエットマスター”として本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍する旅作家。「離婚して、インド」(幻冬舎文庫)など既刊12冊。2017年から旅先でのドローン撮影を始め、今では「飛ばさないと落ち着かない!」というほどのドローン好き。旅先での美景、絶景の撮影はもちろん動画の編集も手掛ける。

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