[タベサキ Vol.8]ご当地スーパーの味 イツモノ
「かつお藁焼きたたき」(高知・サンシャイン)
高知県
2019.10.30
タベサキ
そのエリアの食を支えるご当地スーパーで、地元の“いつも”の味をピックアップ!
文:菅原佳己
「かつお藁焼きたたき」
スーパーのお惣菜とは思えない 本格的な味!
高知の県民食はいうまでもなく、かつおのたたき。だからスーパーはもとより市場や飲食店などで、労せずに、新鮮で旨いかつおのたたきに出合うことができる。そんな「かつおのたたき天国」で、わざわざ行きたいスーパーが「サンシャイン しまんとハマヤ店」(※以下、しまんとハマヤ)だ。
店に入ると、まるで道の駅のような大きな産直コーナーがあり、近隣の農家が朝のうちに搬入し自ら並べる野菜は、いずれもお値打ちで新鮮。さらに農家の自家製加工品は、よい土産になる価値あるものばかりなので、必見だ。
店の奥には、山間部とは思えない広い鮮魚コーナーがあり、珍しい魚介を見ることができる。まるで色を塗ったように美しい長太郎貝(緋扇貝・ひおうぎがい)や海のギャング・ウツボなどが、ごく日常的に並ぶ。
じつは、四万十町は山間から海岸線まで網羅するエリアのため、魚も地元産が豊富。しかも、しまんとハマヤを運営する株式会社ハマヤは、スーパーだけでなく、四万十町産の有機野菜を生産から販売まで行う農業法人と、かつおのたたき製造業を展開する会社のため、かつおのたたきに関しては、超本格派なのである。
専門店らしい豪快な行程は、店の裏で行われる、かつおの藁焼きという作業だ。藁がいっきに燃え上がる火力と香りを利用し、かつおを一層香ばしくさせる技。あとは、サクか切り身にされ、新鮮なまま店頭に並ぶ。
この切り口がピカピカなかつおのたたきを含め、なんと店内販売の刺身(切身のみ)パックを店内の「しまんと食堂」に持ち込むと、その場で食べられるのである。ご飯(160円)とみそ汁(100円)、小鉢(80円)や漬物(20円)をつければ立派なたたき定食の出来上がりだ(※食堂メニュー価格は税込)。
なんでも「しまんと食堂」には“やり手のおばちゃん”がいて、地元の食材を使って魅力的な地元食を手づくりしているという、魅惑の直営食堂となっている。
提供されるご飯も地元の名品『仁井田米』の「ひのひかり」「十和錦(とうわにしき)」をブレンドしたもので、ポップコーンのように香る香り米「十和錦」の魅力が炸裂。この個性的なお米とパンチあるかつお藁焼きたたきが、ベストマッチであり、本場のかつおのたたきとともに、住民気分まで味わえるのだ。
Profile
スーパーマーケット研究家
菅原 佳己(すがわら よしみ)
夫の転勤で国内外の転居を繰り返すうちに、スーパーの魅力に気づき、埋もれた日常食の発掘などの研究をスタート。ご当地スーパーやご当地グルメブームの火付け役として、テレビや雑誌、新聞などで活躍している。著書は『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』(講談社)など多数。新刊『東海 ご当地スーパー 珠玉の日常食』(ぴあMOOK中部)では、より狭くディープに探究。
ご当地スーパーの味シリーズの記事
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