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FOCAL[フォーカル]

教えて!600年の歴史を誇る八女茶の魅力

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室町時代から始まったという八女地方の茶栽培。2023年で発祥600年を迎えます。生産に携わる多くの人たちの努力によって、そのおいしさは現代に受け継がれています。生産者の「八女美緑園製茶」と、八女茶の発展を牽引してきた老舗茶商「矢部屋 許斐本家」に、その魅力や歴史について教えていただきました。

文/若宮早希

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八女茶ってどんなお茶?

福岡県八女市を中心に栽培・製造される、日本有数の高級茶。なかでも八女茶の代名詞とも言える玉露は、希少価値の高い最高峰のお茶です。一番茶の摘採は5月上旬に最盛期を迎え、二番茶は6月中旬から7月上旬にかけて。一般的には三番茶も摘むことができますが、八女茶の農家では翌年の品質をよくするために二番茶までしか摘採しません。そうして作られるお茶は甘くてコクがあり、旨味の強いおいしいお茶になるのです。

八女茶ってどんなお茶?
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教えて!600年の歴史を誇る八女茶の魅力
おいしいお茶の条件とは?

おいしいお茶の条件とは?

まずひとつには八女市の土壌と気象条件があります。八女市は朝霧が出るほど寒暖差が大きく、年間を通して降水量も適度にあります。気温は暑すぎず寒すぎずちょうどいい温度。色々な条件がうまくかみ合って、良質なお茶の葉が育っています。もうひとつは、やはり生産者の八女茶に対する情熱。西部の筑後から東部の矢部村・星野村まで、広い範囲でお茶が栽培されており、土壌も赤土から結晶片までさまざまな種類がありますが、それぞれの農家が土壌に合った肥料を研究したり、栽培体系を工夫していることが、八女茶の品質を引き上げています。

おいしいお茶の条件とは?
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八女茶の最大の特徴、玉露

玉露は緑茶の中の最高峰のお茶。福岡以外での産地は限られており、希少な特産品です。茶畑の中に棚を作って、稲わらで編んだ覆いを被せて太陽の光を遮光するというのが八女伝統本玉露の栽培方法です。茶葉に含まれているタンニンという成分がアミノ酸に化学変化し、旨味の強い茶葉ができるのです。とても手間がかかりますが、生産者はプライドを持って品質の高い玉露作りに情熱を注いでいます。八女美緑園製茶では、若い世代にもお茶に親しんでもらえるようカフェを運営しています。玉露だけでなく、さまざまな味わいを楽しめる八女茶の魅力に触れてもらえたら嬉しいです。

[DATA]
八女美緑園製茶 八女茶カフェぶんぶく
住所/八女市大字豊福269-2
電話/0943-24-2000
時間/11:00~17:00(LO16:30)、ランチ12:00~14:00
定休日/水曜日

八女茶の最大の特徴、玉露
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「八女茶」の名は大正時代に誕生

「八女茶」の名は大正時代に誕生

矢部屋 許斐本家は江戸中期宝永年間(1704~1711年)にお茶をはじめとする八女地方の山産物を扱う問屋として創業しました。幕末に外国人商人が日本茶の買い付けをはじめたことで、八女でもお茶の需要が拡大し、当家は慶応元年(1865年)にお茶専門の問屋の商いを始めました。大正時代にはお茶の製法が「釜炒り」から「蒸し製」に変わったことで、当時茶業組合の理事長をしていた店主が「筑後茶」などと呼ばれていた名称を「八女茶」に変更して統一しました。現在営業している建物は、もとは江戸時代に作られ、明治時代の事業拡大に伴い増築されたものがほとんどそのままの姿で保存されています。

「八女茶」の名は大正時代に誕生
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八女茶の最大の特徴、玉露

戦後の混乱により、八女茶と当家の歴史的な関係性は途絶えつつあったのですが、私は14代目を継承する上で経営方針を考えるため、改めて当家の存在意義を考えなければなりませんでした。茶商を営業する傍ら、20年以上にわたり八女茶や当家の文献を紐解き、複数の大学の先生方と建物の修理や伝来物の考察を行いました。現在もそれは継続中で、自分の代でなんとか成し遂げることを目標としています。この建物とともに歩んできた八女茶の歴史を守りつつ、この場所を活用することで、世界中の人々にも八女茶をもっと知っていただくきっかけになればと考えています。

[DATA]
矢部屋 許斐本家
住所/八女市本町126
電話/0120-72-0201
時間/9:00~18:00
定休日/第1・3・5日曜日、そのほか臨時休業あり

八女茶の最大の特徴、玉露

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