見頃を迎えるひたち海浜公園のコキア、海鮮、地酒を堪能! 列車に乗って想像越える茨城県へ
静岡県在住、愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かけるLIKESライター・なおは、こよなく愛する鉄道を使って絶景巡りをしています。今回訪ねたのは2023年12月31日まで「茨城デスティネーションキャンペーン」で活気に湧く茨城県。あいにくの天気になりましたが鉄道やバスを使って茨城県各地の観光スポットを巡ってみました。
目次
コキアを見に臨時列車で勝田駅へ
こんにちは、なおです。今回は、茨城県ひたちなか市にある国営ひたち海浜公園で見頃を迎えたコキアを見るため、神奈川県の平塚駅に来ています。「紹介するのは茨城県のはずなのになぜ神奈川県? 」と、疑問に思う方も多いでしょう。
その理由は、臨時特急「海浜公園コキア平塚号」が神奈川県の平塚駅から発車するからです。観光客で賑わうことが予想されるため、JRでは臨時特急を用意。今年は平塚駅からのほかにも、大宮駅、君津駅、高尾駅から勝田駅まで直通運転をします。
車両は常磐線の特急「ひたち」「ときわ」で使用されるE657系です。常磐線では珍しくない車両ですが、東海道本線の平塚駅に来ることは通常はなく鉄道ファンが写真を撮っていました。
冒頭に少し触れましたが、2023年12月31日まで茨城県はデスティネーションキャンペーンの真っ最中。「デスティネーションキャンペーン」とは、国とJRが共同して行う旅行キャンペーンです。期間中は臨時列車を出したり観光イベントを積極的に展開したり、観光客の誘致活動が行われます。JRの各駅でポスターが貼られ、目にした方も多いのではないでしょうか。
「海浜公園コキア平塚号」の停車駅は大船駅、横浜駅そして水戸駅のみ。間の品川駅、東京駅は、定期特急が品番に出ているので素通りします。東京駅を通過する列車はかなりレア。鉄道マニアにはたまりません。
「茨城MaaS」でお得チケットをゲット!
今回はお得なチケットを活用しました。
「ひたちのくに紀行」です。茨城県の観光情報収集や電子チケットの購入・利用に役立つサービスで、列車内でもPRされていました。
●国営ひたち海浜公園の入園券と路線バスのフリーきっぷ
通常1,080円→特別価格680円
●ひたちなか海浜鉄道のフリーきっぷ
通常950円→特別価格550円
非常にお得なので使わない手はありません。勝田駅に着くまでにアプリをインストールして購入を済ませました。
8:10に平塚駅を発車した列車は10:29に終点の勝田駅に到着。春はネモフィラが丘一面に咲き誇る国営ひたち海浜公園の写真が観光客を出迎えます。
勝田駅ではJR東日本の職員の皆さんにお出迎えいただきました。JRの観光列車への力の入れ方がよくわかります。猫のキャラクターは「ムコナ」。常磐線の特急の系統がE657系のキャラクターです。数字の語呂から「ムコナ」と名付けられました。
鮨を目指して~ひたちなか海浜鉄道で那珂湊へ
当初、国営ひたち海浜公園へバスで行く予定でしたが、お昼は大雨の予報。先に電車で別の場所に行くことにしました。勝田駅から私鉄「ひたちなか海浜鉄道」へ乗り換え。かつては茨城交通が事業者でしたが、2008年からひたちなか市と茨城交通が出資する第三セクターによって運行されています。
駅名標は各地域の特色を生かした絵を文字の中に組み入れています。なかなかユニークです。
ひたちなか海浜鉄道は勝田駅と阿字ヶ浦(あじがうら)駅までを結びます。途中の那珂湊(なかみなと)駅は最も大きな駅で多くの乗客が下車する駅です。わたしも一旦ここで下車。
かつて、那珂湊駅には「おさむ」という猫が住み着いていました。マスコット的存在になったんですが2019年にお亡くなりに……。今は「ミニさむ」という、別の猫が時折駅を訪ね、新たなマスコットになっています。駅名標の猫は彼らだったんですね。
那珂湊駅で降りた理由は、駅から徒歩15分ほどで着く「那珂湊おさかな市場」に来たかったから。降りしきる雨の中でも市場は活気にあふれていて、威勢のいい声が飛び交っていました。
雨の中を歩き、テンションが落ちかけていたのでお寿司を食べて気持ちをあげることに。市場には新鮮な海鮮を食べられる店が多くあって、観光客で賑わっています。結構な雨でしたが、市場に向かう道路は車で大渋滞。みなさんお魚好きなんですねぇ……。
◆海鮮すし 海花亭
所在地:ひたちなか市湊本町19-8
電話:029-263-0025
営業時間:平日 11時00分~17時00分(ラストオーダー)
土曜:10時30分~18時15分(ラストオーダー)
日祝:10時30分~18時15分(ラストオーダー)
ずっと見たかった、丘が真っ赤に染まるあの景色へ
那珂湊で寿司を堪能したあとは、再び駅に戻りひたちなか海浜鉄道に乗車。終点の阿字ヶ浦駅を目指します。コキアが見頃に合わせて無料シャトルバスが運行されます。
バスに乗って10分ほどで国営ひたち浜海浜公園に到着。メインスポットのコキアの丘まで約10分ほど歩きます。天気予報を見て時間をずらしたのですが残念ながらかなりの雨でした。
それでも目の前に現れる見たこともないような大規模なコキアの丘には、感動を覚えます。真っ赤に染まったコキアが見晴らしの丘を染めています。雨にもかかわらず大勢の観光客が丘を登り、景色を堪能していました。
風で傘をおちょこにされながら撮った写真の数々。真っ赤に燃える炎のようなコキアは本当に美しいです。晴れた日にはもっと美しい写真になっただろうにと思うと残念……。次は晴れた日に来たいものですね。これだけの規模のコキアが植えられているのも他では見ることができません。
秋はコキア、春はネモフィラがメインスポットになりますが、ほかにもそばの花など季節によってさまざまな花を楽しむことができます。花好きにはたまらない公園だと思いました。
水戸駅の立ち飲みバーで一杯
コキアの丘を堪能したあとはバスで勝田駅に戻り、さらに電車に乗って水戸駅へ。雨に濡れながら写真を撮り、肌寒く感じましたので体の中から温まりたくなりました。
やってきたのは水戸駅構内にあるいばらき地酒バー。茨城県内各地の地酒を味わうことができるお店です。
甘口だったり辛口だったり、好みに応じて様々なお酒が用意されています。これだけたくさんあるとどれがいいのか迷っちゃいますね。
わたしは、利き酒セットは3種を注文。お酒は自由に選ぶことができ、つまみもついて1000円とお得なセットです。県内各地の醸造所の紹介ビデオが流されるなか、ゆっくりとお酒を堪能することができました。
◆いばらき地酒バー水戸
所在地:JR水戸駅みどりの窓口隣
電話:029-297-7179
営業時間:10:00~22:00(フードL.O. 21:30)
定休日:駅商業施設「水戸エクセル」の休業日に準ずる
日本三大名瀑と謳われる袋田の滝へ
翌日は雨もすっかりあがって、いい天気になりました。青空のまぶしい水戸駅から水郡(すいぐん)線に乗って県北部の袋田の滝を目指します。
水郡線は水戸駅から福島県の郡山駅までを結ぶローカル線です。途中にある袋田駅で降りバスで約10分ほどの「滝本」バス停で降り、約10分ほど歩くと袋田の滝に到着。
袋田の滝は和歌山県の“那智(なち)滝”、栃木県の“華厳(けごん)の滝”とともに日本三大名瀑(めいばく)と謳われる滝です。ほかの2つは一気に滝つぼに落ちるダイナミックさが見る者を魅了するのに対して、袋田の滝はレースのカーテンのように水の流れが横に広がり流れ落ちる美しさがポイント。“四度の滝”といわれ、4回に分かれて流れ落ちていく特徴を持っています。
第一観瀑台からは、真正面に滝を望むことができます。大きな滝でこれほど間近に見ることができる滝は少ないのではないかと思います。ミスト化した水しぶきも浴びることができて爽快です。エレベーターで登ると第二観瀑台に到着、上段から滝を望むことができます。
袋田の滝が「四度の滝」と呼ばれるいわれはもう一つあります。かつてここを訪れた西行(さいぎょう)が「この滝の美しさを知るには四季に一度ずつ来なければならない」といったという説です。秋は紅葉、冬は氷瀑が見られるなど四季折々違った姿を楽しむことができます。たしかに四季の姿を見るために年4回足を運ぶ必要がありそうです。
◆袋田の滝
所在地: 茨城県久慈郡大子町袋田3-19
電話:0295-72-4036
観覧可能時間:5月~10月は8:00~18:00、11月は8:00~17:00、12月~4月は9:00~17:00
休業日:無休
アクセス:JR水郡線「袋田駅」よりバス約10分「滝本」下車徒歩約10分、JR水郡線「常陸大子駅」よりバス約15分「滝本」下車徒歩約10分、JR水郡線「袋田駅」より徒歩約40分 ※行きは上り坂
おわりに
海の幸あり、コキアあり、うまい地酒あり、そして名瀑と謳われる滝あり。魅力がないといわれがちな茨城県は、魅力あふれる場所でした。
駅からこんな素晴らしい景色を眺められる茨城県。デスティネーションキャンペーンは12月末まで実施中です。この機会にぜひ鉄道で茨城県を訪ねてみてはいかがでしょうか。