からだの半分は赤だしでできている。愛知県岡崎市の名物「八丁味噌」を求めて

愛知県

2024.04.04

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からだの半分は赤だしでできている。愛知県岡崎市の名物「八丁味噌」を求めて

旅色LIKESライター・なおです。静岡県在住ですが、出身は愛知県。仕事の関係で北海道、東京、三重など転々とするなかで、地域によって変わる味噌の味を経験してきました。私のお気に入りは何といっても通算で40年ほど住んだ地元愛知の「八丁味噌」。今回は、八丁味噌の蔵見学に行った旅をご紹介します。

目次

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愛知県の味噌といえば「豆味噌」

我が家の定番「カクキュー八丁味噌」へ

貴重な資料と分かりやすいガイドで学ぶ見学ツアー

「まるや八丁味噌」でも蔵見学を実施中

さいごに

愛知県の味噌といえば「豆味噌」

豆味噌

※イメージ

東日本の「米味噌」、西日本の「白味噌」、主に九州で生産される「麦味噌」が世を席巻する中で、愛知県を中心とする東海三県(愛知・岐阜・三重)では豆と塩で作った「豆味噌」が主流です。色が黒に近い赤色で「赤味噌」に分類されています。ちなみに「赤だし味噌」は豆味噌と米味噌などをブレンドしたものです。

わたしは小さいころから赤だし味噌で育ち、味噌といえばこれや! と思い込んでいました。しかし大学時代過ごした北海道に赤だし味噌などほとんどなく、白い味噌汁を飲んだとき、なんだこの甘いのは! と驚愕した記憶があります。味噌煮込みうどんは白味噌ではいただけません。以後、実家の親から赤だし味噌を送ってもらうようになりました。
そんなわたしの血を作ったといっても過言ではない赤だし味噌。その主原料となる豆味噌の代表的存在が「八丁味噌」で、今も岡崎市八帖町(はっちょうちょう)に味噌蔵があり見学ができます。今回は、わたしのからだを作っている味噌蔵を見学してきました。

我が家の定番「カクキュー八丁味噌」へ

カクキュー八丁味噌

目を引くカクキュー本社屋

今回見学へ訪ねたのは、わたしの家の味噌汁に使っていた「カクキュー」。江戸時代からこの地で八丁味噌を作っている老舗です。「八丁」とは当時この地が八丁村(現:八丁町)だったからで、岡崎城から八丁(900メートルほど)のところの位置していることからついたそう。八丁村の西には西三河最大の川である矢作(やはぎ)川が流れています。これが原料の豆や塩を運ぶのに適しており、川の伏流水が得られ、気温も味噌作りに適していたことから味噌作りが発展。

貴重な資料と分かりやすいガイドで学ぶ見学ツアー

カクキュー八丁味噌

明治40年に建てられた元味噌蔵

大正末期~昭和初期に建てられた社屋は当時の流行を取り入れたモダンな建物で、平成8年に愛知県で初の国の登録有形文化財に登録されました。かつての味噌蔵は史料館になっていて、味噌作りの工程を人形をまじえて紹介したり、味噌作りの道具などの紹介もされています。

カクキュー八丁味噌

昔の八丁味噌づくりの様子。

カクキュー八丁味噌

豆と塩だけで作る八丁味噌はとても固い味噌です。そのため、人が味噌の入った樽に入って作業をしても沈みません。確かに我が家で味噌を溶くときもなかなか溶けないことも……。

カクキュー八丁味噌

宮内省御用達の資料など

皇族の方に東海地方出身の方はいないのでは? と思うのですが、こちらの八丁味噌は立派な宮内庁御用達。八丁味噌を好んだ皇族の方がいらっしゃるのでしょうね。当時かけられていた看板も大切に保管されています。

カクキュー八丁味噌

樽の中で熟成中の八丁味噌。

カクキュー八丁味噌

中には6トンもの味噌が入っている

史料館を出て、甲子園ができた大正13年(甲子(きのえね))に造られたことから「甲子蔵」と呼ばれる味噌蔵へ。中に入り息を吸い込むとわずかに味噌の香りを感じました。レプリカのように見える樽はどれも本物で、二夏二冬以上熟成している味噌が眠っています。樽の上にある重しの石は熟練の職人が1つ1つ積んできれいな三角になっていて、大地震でも崩れたことがないそう。

カクキュー八丁味噌

お土産の「八丁味噌のパウダー」。

史料館や工場内をガイド付きで周る約50分のツアーは、参加無料でお土産に「八丁味噌のパウダー」をもらえます。まだ試していませんが、チーズトーストや納豆にかけるとおいしいそうです。発酵食品同士相性がいいみたいですよ。屋外では味噌ソフトクリームの販売もありましたが、訪れた1月は最高気温5℃とまだ寒く手がかじかんでいる状態でしたので断念しました……。

カクキュー八丁味噌

味噌キャラメル 360円(税込)

見学ツアーが充実していたのに、無料なんて……と思い、入場料がわりに売店で、ガイドさんがすすめていた味噌キャラメルを買いました。味噌の風味が鼻腔をくすぐります。赤味噌は苦手という方もこちらならいけると思いますよ!

◆カクキュー八丁味噌
住所:愛知県岡崎市八帖町字往還通69番地
電話:0564-21-1355
営業時間:9:00~17:00、売店 9:00~17:00
定休日:年末年始
アクセス:名鉄名古屋本線岡崎公園前駅・愛知環状鉄道中岡崎駅より徒歩約5分

●工場見学
営業時間:10:00~16:00 ※平日は1時間ごと、土日祝日は30分ごとに見学スタート ※12:30は休回
所要時間:約50分
定員:各回50名
見学コース:受付→史料館→熟成蔵→試食コーナー→売店

「カクキュー八丁味噌」公式HPはこちら

「まるや八丁味噌」でも蔵見学を実施中

まるや八丁味噌

同じく八丁味噌を作っている老舗2社のうちのひとつ「まるや」も。こちらでも八丁味噌の販売もあり蔵の見学もすることができます。見学では味噌田楽の試食もできるそう。歴史を感じさせる建物は平成32年に放送されたNHK連続テレビ小説「純情きらり」のロケ地にもなりました。

●まるやの蔵見学
受付時間:9:00~16:20 ※毎時00分、30分のスタート(12:00~13:00は休回、最終案内16:20)
所要時間:約20分
予約電話番号:0564-22-0678

まるや八丁味噌

愛知県岡崎市八丁町52

まるや八丁味噌

さいごに

地域によって変わる味噌。「八丁味噌」の味比べなんかをするのも楽しそうですね! また大河ドラマ「どうする家康」でご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、岡崎市は家康誕生の地。カクキュー八丁味噌から「八丁」ほどのところに岡崎城跡がありますので、一緒に訪れてみてください。

◆岡崎城跡
住所:愛知県岡崎市康生町561-1

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#体験 #旅色LIKES #愛知県 #八丁味噌 #蔵見学 #岡崎市

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なお

とにかく旅好きで暇さえあればリュックひとつでどこかに出かけています。鉄道をこよなく愛し、時刻表はわたしの愛読書。温泉も大好きなので鉄道を使って温泉巡りする、そんな記事が多いかもしれません。最近は絶景めぐりも旅のポイントにしています。みなさんオススメの絶景情報求む!

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