「視覚トリップ展」で、注目アーティストのドローイングの世界を旅する

東京都

2022.04.18

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「視覚トリップ展」で、注目アーティストのドローイングの世界を旅する

こんにちは。すっかり春になり、桜が満開ですね。風も暖かく心地のいい日々です。少し前に、ワタリウム美術館で行われている 「アイ・ラブ・アート16 視覚トリップ展」に行ってきました。人気現代アーティスト15人のドローイング、ペインティングを中心とした展示で、視覚体験を楽しむといったテーマです。今回は中でも、私が注目している、Nam June Paik(ナムジュン・パイク)、Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)、Keith Haring(キース・へリング)の3名のアーティストの作品をご紹介します。

目次

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視覚トリップ展とは?

①ナムジュン・パイク

②アンディ・ウォーホル

③キース・へリング

みなさんも楽しい“視覚トリップ”を

視覚トリップ展とは?

「アーティストたちが描くドローイングの線は、私たちが見つめるとき、未知のヴィジョンへの補助線となる。
ドローイングとの出会いは、道を歩くようなこと。自分の歩幅で、自分のスピードで、未知の場所へと向う。
視覚トリップは、身体感覚をともなう。川の向うの花をジッーと目を細めてみつめる、目前の花の絵をパッと目をみひらき凝視する。そのとき、あなたの目は花のように美しい表情をもつ。」

展示場前のパネルにはこのように書かれています。普段の暮らしの中で視覚がもたらすものは大きく、私たちは見るものによってさまざまな感情を覚えますね。「視覚トリップ展」のアーティストたちは、どのような感動をくれるのでしょうか?

それではさっそく、アーティストたちが織りなすドローイングの世界へ旅しましょう。

①ナムジュン・パイク

ナムジュン・パイク/キャンドルTV/1968年/ろうそく、金属製テレビキャビネット

ナムジュン・パイク/キャンドルTV/1968年/ろうそく、金属製テレビキャビネット

Nam June Paik(ナムジュン・パイク/1932-2006)は、韓国生まれでドイツやアメリカ、日本でも活躍していた「メディア・アート」の第一人者です。TVやビデオなどのメディアを初めてアートに取り入れました。

この作品、TVの中に赤く灯る小さなロウソクのシルエットが儚く、立ち止まってしまいました。

ナムジュン・パイク/ニュー・キャンドル/1993年/ろうそく、ろうそく立て、カメラ1台、ビデオプロジェクター4台

ナムジュン・パイク/ニュー・キャンドル/1993年/ろうそく、ろうそく立て、カメラ1台、ビデオプロジェクター4台

こちらは1本のロウソクの灯りをプロジェクターに映し出している作品。真っ黒の部屋に浮かんだ小さな灯たちが宙を舞うように輝いていて、とても美しかったです。

②アンディ・ウォーホル

アンディ・ウォーホル/ブルー・バタフライ・デイ/1955年/紙に水彩、スタンプ

アンディ・ウォーホル/ブルー・バタフライ・デイ/1955年/紙に水彩、スタンプ

Andy Warhol(アンディ・ウォーホル/1928-1987)は1950年代、商業イラストを描く一方で、ポップアートの作品制作を試みました。以降、大衆文化のアイコンを題材にした作品で、圧倒的な支持を得ます。

アンディ・ウォーホル/フラワー/1965年/キャンバスにシルクスクリーン

アンディ・ウォーホル/フラワー/1965年/キャンバスにシルクスクリーン

上の作品「フラワー」(1965)のように、1960年以降はシルクスクリーンを多用した作品を制作しました。同じ版を利用して意図的にプリントをずらしたり、インクをあえてはみ出すことで、独自のイメージを生んだのだそう。「フラワー」は、私がイギリスで通っていた学校のエントランスにも飾られていたので、思い出が蘇る大好きな作品の一つです。

アンディ・ウォーホル/水彩画セットと絵筆/1982年/オフセットリトグラフ

アンディ・ウォーホル/水彩画セットと絵筆/1982年/オフセットリトグラフ

「水彩画セットと絵筆」(1982)は、ニューヨーク視覚障害者協会への募金のために制作された作品だそうです。カラフルで、ファッションやインテリアの一部のようにおしゃれですよね! 

③キース・へリング

キース・へリング/無題 (トルソ)/1983年/石膏にマーカー、蛍光塗料

キース・へリング/無題 (トルソ)/1983年/石膏にマーカー、蛍光塗料

Keith Hering(キース・へリング/1958-1990)は、1980年代初頭、ニューヨークのイーストヴィレッジから現れ、瞬く間に世界にその名が知れたグラフィティアーティスト。アートを画廊や美術館の外へと持ちだしたのです。

「コンピューターでも時間がかかる。それより、今すぐに僕が自分で描いた方がいい。待っている間にだって描きたいんだ」と言うキースは、1983年に来日した際、滞在期間の2週間のほとんどを作品製作に費やしました。大きなビニールシート、机など2階建ての建物丸ごとがドローイングで覆われ合計77点の巨大展示となったそう。さらにその合間の食事、買い物、夜のディスコなど訪れた先々に描きまくり、青山周辺がキースの絵でいっぱいになったそうですよ。

「僕の絵は何か特定のメッセージがあるわけでもなく、どんな年代、どんな国、どんな人種の人たちが見てもわかるよな、もっとダイレクトでしかもハッピーな何かだ。」とキースは言ったそう。彼の作品を見ていると確かに気持ちが楽しくなり、いいことがあった時のような舞い上がる感情が込み上げてくるような気がします。それは色なのか、模様なのか、彼の感情が伝わってくるのか……。はっきりと言葉で言えるものではないのですが、共感してくれる方が多いのではないかと感じます。

みなさんも楽しい“視覚トリップ”を

さて、視覚トリップできましたでしょうか? ワタリウム美術館の地下にはカフェと書店が隣接されていて、アートにまつわる作品もたくさん販売されています。1枚目の写真はアンディ・ウォーホルの本なのですが、置かれているだけでとっても可愛いですよね。海外の本屋さんのようで素敵でワクワクする空間です。青山とロケーションも都心で立ち寄りやすいと思うので、ぜひ立ち寄って見てみてくださいね!

◆アイ・ラブ・アート16 視覚トリップ展
主催/会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
電話:03-3402-3001
期間:~2022年5月15日(水) 
休館日:月曜日
開館時間:11:00~19:00
料金:大人1,200円、大人ペア2,000円、学生(25歳以下)1,000円
問い合わせ:official@watarium.co.jp

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大石絵理

1993年12月22日、東京都生まれ。高校2年生の時にモデルとしてデビュー。ロンドン留学時代、美術館に訪れたことがきっかけでアート鑑賞が趣味に。モデルとして活動し、アパレルブランド「KOL」をプロデュースしている。また、TV、雑誌、広告と多岐にわたって活動中。

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