『キッドナップ・ツアー』
小学五年生の夏休み、娘のハルはしばらく前から別居状態だったお父さんに「ユウカイ」されます。あきらかに駄目な父とのぎこちない旅は、おんぼろ旅館、廃業した宿坊、テントなしのキャンプ地と、どんどん悲惨になっていきますが、普段の自分ならやらないことに踏み出す日々が少女を成長させていきます。最後にお父さんがどもりながら告げたことを、きっと彼女は一生忘れない……。ひと夏の物語。
539円/新潮文庫
『栗原心平の
とっておき「パパごはん」』
仕事で夜遅いとき、旅行で家を空けるとき、コンビニやファストフードに頼りがちな夫と子どもたちのご飯が気になる……。そんな時に、この1冊! 全工程写真付きなので料理に不慣れなパパでも安心。またメインの10品には「お子さんと一緒に作るならこの工程を任せては」という助言があり、父子の共同作業の充実感も出ます。SDGsの時代、「一皿の苦労、ありがたさ」を家族皆が知る機会にもなるでしょう。
1,430円/講談社
『沢村さん家のこんな毎日
久しぶりの旅行と日々ごはん篇』
アラ古希の両親と独身のアラフォー娘を描く人気漫画シリーズ。今回日常に風を吹き込むのは旅です。注目はお父さん! 夫婦水入らずの函館で、自慢のカメラを手に張り切る彼に妻が「撮って」と言ったものとは? ご近所から頂いた九州名菓を食べながら会社員時代を思い出し、笑顔になった理由は? 道端に転がっていた小さな木に寄せる思いとは? 一家を包むトボけた魅力と緩やかな愛情に、読み手もきっと癒やされます。
726円/文春文庫
『ファミリー・ツリー』
憧れのハワイが舞台ですが、どこに暮らせど人生悲喜こもごもは誰にだってあるんですよね。仕事人間だった男性が、事故で昏睡状態となった妻の意外な事実と向き合いながら、娘2人との絆を結びなおす感動映画です。全編ハワイで撮影されただけあって、深刻なテーマが登場しつつも大自然の景色がキレイで音楽もゆったり癒やし系。ハワイアンムードがしっかり五感に効き、心身への滋養効果を期待できますよ。手つかずの自然が残るカウアイ島の景勝地、キプ・ランチが印象的なシーンで登場しますが、神秘的で雄大な景色に思わず深呼吸したくなりますよ。
『ライフ・イズ・
ビューティフル』
涙腺決壊! 人生の価値観を変えるといっても過言ではない“完全なる愛の形”に触れられる、色褪せぬ名作です。第二次大戦下、ホロコーストから幼い息子を守ろうとする父親の奮闘をコメディ・テイストで描きます。生きていると欲深くなる瞬間もありますが、人生は「大切な人を愛で包み込むためにあるのだ」と人間の良心を掘り起こしてくれます。親子愛だけじゃなく一組の夫婦の物語としてもグッとくるのですが、主人公を演じた「イタリアのチャップリン」と呼ばれるロベルト・ベニーニとその妻を演じたニコレッタ・ブラスキは実生活でも夫婦なんです。ラストのウインクは、肉親の表情のように生涯忘れることができません。
『南極料理人』
南極で働く観測隊の料理人を主人公に、隊員たちの人間模様を描きます。おじさんたちのわちゃわちゃ感、想像以上に癒やし系で可愛い(笑) 笑えてほっこり。映画に登場する1品1品はとにかくどれもおいしそう! 正真正銘の飯テロ映画です。登場したメニューは、のちにレシピ本となり出版されました。皆で食べるご飯のおいしさと食卓を囲むあたたかさが画面からじんわり伝わり、大切な人に料理を振る舞いたいというハッピーな気持ちに。約1年半南極に暮らすお父さんと、帰りを待つ家族のムズキュンなやりとりも愛おしく、古今東西、親子はなかなか素直になれないですが日々の感謝を思い切って伝えたくなるはずです。