【佐賀・有田】旅と伝統が結ぶ未来。有田焼のトレジャーハンティング
旅色LIKESメンバーの美娜さんが、有田焼で有名な佐賀県有田市へ「トレジャーハンティング」を体験。有田焼をたくさん手に入れようという思いで参加した美娜さんは、トレジャーハンティングを通して伝統と新たな価値に触れたようです。
目次
◆この記事を書いたメンバー
美娜さん
福岡市在住です。 写真、寺社仏閣、自然、世界遺産が好きです。 鉄道旅も好きで、青春18切符で日本一周に出かけたことも。 目指せ47都道府県制覇、目指せ世界一周! コロナ禍の今は本屋に行って、雑誌を見ながら妄想旅行してます。
佐賀県有田市に受け継がれる「有田焼」
有田焼で有名な佐賀県有田市。1616年、朝鮮人陶工・李参平に陶磁器の原料である陶石が有田で発見され、日本で初めての磁器が誕生しました。それから400年以上「やきものの里」として、伝統と技術が脈々と受け継がれています。その歴史ある町で、お得に有田焼が手に入るという話を聞きつけたので体験しに行ってきました。
トレジャーハンティングとは?
トレジャーハンティングとは、倉庫にある器を制限時間90分でかごいっぱいに詰め込むことができる、佐賀県有田市にある幸楽窯でもっとも人気のあるサービスです。幸楽窯はJR有田駅から車で約5分、博多から有田まで特急電車で1時間半ほどの場所にあります。
1865年、初代徳永虎助さんが登り窯を築いて150年余り。初期は火鉢の生産や家庭用食器、戦時中は軍用食器を生産し、現在は「家庭に幸いを、食卓に楽しさを」をモットーに家庭用や割烹用、贈答品など幅広く生産されています。
まずはコースを選択します。5,500円(税込)コースは、仕掛品といった製作途中のものや、いつの窯元かわからないような年代物が中心です。11,000円(税込)コースは、5,500円コースにエリアがプラス。色付きものなど、見た目に華やかなものが多いです。
かごの数は一人で一つ、二人で一つなど、組み合わせは自由です。かごのサイズは買い物かごよりひと回り小さいサイズ。あふれた場合は高さで料金が加算されるので、買取りか戻すシステムです。
今回は二人で5,500円(税込)コースをチョイス。かごと軍手を渡されたら、いよいよトレジャーハンティングに出発です。
レッツ・トレジャーハンティング!
倉庫の中に入ると、どこを見ても器だらけ。どこから探そうか迷ってしまうほどの大量の箱が、所狭しと積み上げられています。
この中にどんな器があるのか、どれだけハンティングできるのか。運動会のリレーをスタートするようなドキドキ感がして、胸が高鳴ってきました。箱は何段にも重なっていてるので動かして大丈夫ですが、全部見て回るにはとても時間が足りそうにありません。
ひとつ手にとってはどんな料理を作ろうか、どう使おうか、いくつあるといいか。器と器がぶつかり合う音をBGMに、家に連れて帰った時のことを想像しながら、深い倉庫の中に潜り込んでいきます。
一輪挿しや醤油挿し、湯のみ、平皿、深皿。皿には重厚感があります。自分が探し出しただけなのに特別なものに見えてくるから不思議です。白磁に藍色の模様が有田焼の陶磁器らしくて素敵だと思いました。
こちらは11,000円コースのプラスエリア。5,500円コースを選択しましたが、途中で変えてもよいとのことで、どんなものがあるか覗いてみることに。模様や色が華やかなものが多く、花の形やひし形、台座が高いものなど器の形もバラエティーに富んだラインナップです。
ハンティングの結果は?
1時間ほどで物色を終え、かごからはみ出さないように詰め直したら終了です。あっという間の90分でした。
最終的には5,500円コースのままハンティングし、お会計に。少しはみ出したので500円プラスでお買取りしました。合計はなんと30点! 大満足のトレジャーハンティングでした。
トレジャーハンティングとSDGs
トレジャーハンティングを企画したのは幸楽窯で働いているブラジル人、ピメンタ・セバスチアオさん。有田焼に魅了された一人です。「もったいない」という思いから、作りすぎ、小さなごみが器にある、廃棄予定といった理由で倉庫に眠っているB級品をトレジャーハンティングに出品しています。
SDGsの目標として掲げている「働きがいも経済成長も」、「人や国の不平等をなくそう」、「つくる責任つかう責任」のもと、女性や外国人の積極的雇用、環境の配慮、社会福祉・地域支援に取り組んでいるそうです。幸楽窯さんのギャラリーを見学をしていると、従業員の方とお話することができました。
トレジャーハンティングの商品はB級品といわれるものです。器にごみがあったり、転写がずれているものもあります。しかし、家庭で使って問題があるものではありません。食洗器もレンジもほとんどがOKです。
廃棄されるものが商品として、訪れた人の体験・思い出として生まれ変わります。
旅する器、「肥前トラベリングタンブラー」
有田在住のカナダ人陶芸家、ジェレミーパレジュリアンさんによる旅する器、「肥前トラベリングタンブラー」も幸楽窯で取り扱っています。アーティスト支援の一環である“Artist’s Edition”として、タンブラーの売り上げから報酬が支払われる取り組みです。佐賀県と長崎県にまたがる肥前窯業圏として日本文化遺産に登録されていることから、「唐津・武雄」「有田」「伊万里」「平戸・三川内」「波佐見・吉田」の5つをデザインされています。
「トラベルリングタンブラー」という名前は、旅色メンバーにとってたまらなく魅力的なネーミング。旅好きならやはり目に留まりますし、デザインも各エリアの特色があって一緒に旅がしたくなりますね。
伝統ある有田焼は、外国人によって新しい価値を生み出しました
どれだけお得に有田焼を手に入れようかと、欲まみれだったトレジャーハンティング。実は、有田焼に魅せられた外国の方々によるアイディアでした。そこにはSDGsをはじめ地域を巻き込み、私たちの生活と有田焼を融合させ、新しい価値を生み出していました。
物質的な形のあるものから、一人ひとりの思い出に変化したトレジャーハンティング。見事に伝統と思い出を融合させる素晴らしい体験となりました。