【今月の旅写真】秋の定番! 癒される“いも・くり・なんきん”スイーツを探して

乾いた空気を感じ、身体が休まると体調も整い、おいしいものが食べたくなる「食欲の秋」の到来です。撮影に出かける時も、おいしさに出会えることは喜びの一つ。旅先で出会った秋の味覚、モンブランをはじめとした定番スイーツ、手土産にピッタリなスイーツを撮影テクと合わせてご紹介いたします。
Text&Photo:こばやしかをる
撮影機材:RICOH GRⅢ&RICOH GRⅢx
目次
安心、安定の定番こそおいしい“いも・くり・なんきん”スイーツ
スイーツというと、どうしても見た目のかわいさに惹かれ“映え”を求めてしまいがち。でも、どこに行っても食べられる、安心できる食材、癒される見た目、安定のおいしさってありませんか? ほっこりした食感と優しい甘さは、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで万人に愛されています。
気温が落ち着き旅に出やすくなって、なかなか再訪できなかった名古屋・鎌倉・横浜に行き、季節を感じて味わえる旬の味覚“いも・くり・なんきん”スイーツを探してみました。
喫茶文化の名古屋で味わうモンブラン
名古屋といえば、食材の独特な食べ合わせと、喫茶店文化でよく知られていますね。度々訪れたことがあるものの、撮影ばかりしていてなかなかゆっくりすることがなかったので、旅の合間にくつろげる喫茶店がないかと探したところ、地元で愛される老舗の名店「喫茶ボンボン」に出会いました。
お店に着いて驚いたのは、レトロアメリカンを彷彿させる建物と看板デザイン! かっこよすぎます。
名古屋駅から地下鉄に乗り高岳駅へ。駅から6分程の立地です。
洋菓子の店頭販売と喫茶店、二つの入口があり、喫茶店では常時30種類以上のケーキを販売中。アントースト、クリームトーストといった名古屋ならではのメニューやサンドウィッチ、パフェなどが勢ぞろい。落ち着いた室内照明も家具も、レトロそのものでまさに純喫茶。
喫茶店好きにはたまらない環境の中で味わう小ぶりのケーキは、食後にピッタリのサイズ。着いてすぐ二つは軽く食べられそうなサイズの渋皮モンブランは、アーモンドの粒を感じるメレンゲをベースに、フランス産の栗をふんだんに使った贅沢な味です。
ボンボンさんでは、マロン系ケーキが豊富。大人も子どもも味わえるマロン系のケーキがたくさんそろっていました。
撮影ポイント:大きさを見せたい時は近くにカップを配置することでサイズが対比でき、実際のサイズを想像しやすくなります。
◆洋菓子・喫茶ボンボン
住所:愛知県名古屋市東区泉2-1-22
営業時間:洋菓子店8:00~21:00、純喫茶8:00~21:00(LO20:45)
定休日:年中無休
変貌を遂げた久屋大通公園&名古屋駅周辺
「観光名所がない」といわれる名古屋ですが、以前と大きく見違えたのは久屋大通公園です。視界を遮るものがない開放的な空間には、最新の人気ショップやカフェが立ち並び、テレビ塔は「THE TOWER HOTEL NAGOYA」としてホテルを併設するなど大きく変貌を遂げていました。
隣接する「水の宇宙船」をイメージした立体型公園オアシス21では多くの人が屋外でくつろいでいて、この2年半の間に休日の過ごし方が変化していることを感じます。
名古屋テレビ塔「MIRAI TOWER」 と「オアシス21」
名古屋駅周辺も商業施設の中に開放的な展望施設や動物や魚のシルエットが、壁・天井・床面に施された、近代的なアート空間もあり、駅前だけでもいろいろと撮影が楽しめました。
なんと、駅前にあった有名な美しいモニュメント「飛翔」は、このタイミングで撤去作業が行われていました。普段気にしないものや、いつもあると思っているものこそ、気づかぬ間になくなってしまったりします。
写真って、気になった時は必ず撮る! が大事なんですよね。
名古屋駅前 モニュメント「飛翔」。2020年2月の撮影
名古屋でサツマイモのお土産?! 生芋けんぴ
お土産には、名古屋でしか買えないサツマイモの銘菓覚王山「吉芋」さんの生芋けんぴ「花火」をチョイス。つまようじ程の細さの芋けんぴは、一本一本職人さんによる包丁切りなんだそう。パリッと揚げられたサツマイモに自家製蜜を絡められ、まるで大学芋のよう。
帰りの新幹線の中で空けてしまうと、とっても危険。おうちに帰るころにはなくなってしまうこと間違いなしです。
撮影ポイント:小皿に取り分けて、なるべく山型に盛り付けます。レースのカーテン越しの柔らかい光の下でつやつやとしたシズル感を出しましょう。
◆覚王山 吉芋(本店)
住所:愛知県名古屋市千種区日進通5丁目2−4
※お土産購入の際は、名古屋駅隣接のジェイアール名古屋タカシマヤ店を利用されることをおすすめします。
鎌倉で“脱・いつもの写真”を撮るなら
源頼朝が幕府を開いてから800年余りの歴史があり、大河ドラマにもたびたび登場する舞台・鎌倉。海、山、お寺や神社仏閣などのスポットから定番観光施設まで、日本を代表する観光都市として有名です。南側は海に面し、そのほか三方は山に囲まれた立地。季節によって移り代わる桜・アジサイ・紅葉などが美しいことでも知られており、被写体を求めて撮影に出かける機会の多い場所です。
個人的には海が好きで、訪れた日は日差しの眩しさを感じる写真を撮りたいと思い、鎌倉駅から江ノ電に乗り長谷駅で下車。由比ヶ浜へ向かいスナップしながら歩きました。
江ノ電の長谷駅
観光名所を歩いて“決め”の被写体を狙うよりも、ゆっくりと散歩しながらリラックスできる環境を選ぶことも“いつもの写真”を抜け出すコツ。「こんな場所あったんだ。」という発見は、新鮮な気持ちでシャッターを押すきっかけになります。
快晴の由比ガ浜。空はすっかり秋ですね
撮影ポイント:たまにはカメラの色設定を変えてみると思いがけないイメージが生まれたりするので型にはめずに設定を変えて楽しむことが大切です。RICOH GRIIIxのイメージコントロール「クロスプロセス」で、マットで色あせた雰囲気に合わせて被写体を探してみました。
鎌倉の名店で小腹を満たす定番のおいしさを
市内を巡り、小腹が空いたら立ち寄りたいのが「いも吉館」さん。鎌倉の地で約30年、サツマイモ菓子店を営業されています。関東では無名の存在だった紫いもをお菓子にして提供した結果、メジャーとなったことで知られています。
紫のれんが目印。若宮大路を鶴岡八幡宮へ向かう手前に位置します
店内で提供されているソフトクリーム「あじさい」をはじめ、手土産にも人気の安納芋を使用したリーフ型スイートポテト「リーフぽてと」、甘いものだけでなく小腹にも嬉しい「紫いもコロッケ」など、メニューがたくさん!
みんなが大好きな安定のおいしさ。定番故に食べたくなるし、ホッとしますよね。イートインスペースではホクホクとしたお客様の笑顔が印象的でした。
撮影ポイント:食べ物を引き立てるためには背景選びが大切。ごちゃごちゃしない場所を選んで撮影します。RICOH GRIIIとGRIIIxではマクロモードを使うことで近接撮影が可能、背景もボケるのでより食べ物が引き立ちます。
◆株式会社いも吉館
住所:鎌倉市雪ノ下1-9-21
営業時間:10:00~18:00(無休)
和菓子なのにモンブラン?!
鎌倉小町通りを抜け、駅へ戻る途中には鎌倉銘菓で有名な「鎌倉五郎」さんがあります。ゴーフレットのような半月型の薄焼き菓子が有名です。
なんと、ここではモンブランに遭遇! 和菓子屋のモンブラン「小波」は、ベースにお芋と栗のきんとん、間には蜜漬け渋皮栗の刻んだクリーム、さらに上には栗ペーストを重ねた、まさに栗を味わうための生和菓子。迷わずお土産に購入し、急いで帰宅することにしました。
撮影ポイント:ここでもサイズ対比にお皿とスプーンを添えてみました。また、中身の様子が分かるように取り分けた様子で断面を見せています。
どこから食べても濃厚な満足度の高い栗の味。緑茶や紅茶との相性もピッタリです。お茶の時間に秋の味覚をじっくりと堪能するのも嬉しいですね。
◆鎌倉五郎本店(鎌倉小町通り本店)
住所:神奈川県鎌倉市小町2丁目9−2
営業時間:10:00~18:00
横浜で異国情緒を楽しみながら
港町横浜も久しぶりに訪問。横浜山手洋館一帯は、しばらくの間入館の規制などもあり、足が遠のいていましたが、外を歩くにも良い気温となり、今の季節が訪れるのにとても適しています。
港の見える丘公園からベイブリッジを臨む
撮影ポイント:RICOH GRIIIxのクロップ機能(デジタルズーム)なら望遠レンズのように遠くの被写体を大きく引き寄せて撮影することができます。手前に緑を入れたことで遠近感の圧縮効果が伝わります。
素敵な洋館が立ち並ぶ横浜山手地区は、横浜開港当時、外国人の居留地として発展してきた地域で、ゆったりとした敷地とその建物から外国人達が優雅に暮らしていた古きよき時代を感じることができます。
山手に点在する各洋館の中では、季節ごとのテーブルデコレーションの装飾が施され、室内の美しさを引き立てています。これを楽しみに訪れる方も多く被写体としても魅力的です。
菊とカボチャ、ススキなどのアレンジメント
どの洋館も窓から差し込む光や、室内の調度品なども美しく、訪れるだけで気持ちが潤います。
撮影ポイント:室内全体の様子に目を奪われがちですが、一つ一つの美しさを切り取ってみましょう。被写体を一定の距離で撮影するだけでなく、思い切り寄ったり、引いたり、一部分を切り取ったりと、カメラはフレームワークが大切です。
高台に佇む喫茶店のパンプキンプリン
山手に来たらぜひ訪れたいのが、高台に佇む喫茶「エレーナ」さん。オープンしたのは1975年、以来47年間この地で愛されてきた喫茶店です。
三角屋根の見た目もかわいい喫茶「エレーナ」さん
季節で味の変化を楽しめるシーズンティーと手作りのお菓子、魅力的な季節のスイーツもたくさんあり、中でも定番のパンプキンプリンはカボチャをすりつぶしたようなとても濃厚な味。コクのあるカラメルソースがカボチャの味を引き立ててくれます。
撮影ポイント:できるだけ窓辺の席を選んで座るのがベスト。優しく柔らかい光で撮影することができます。テーブルの様子やプリンの断面もマクロモードでしっかりと捉えましょう。
横浜の景色を眺められる窓辺でゆっくり休憩し、静かな空間にしっとりと落ち着くことができる喫茶店。有名店が立ち並ぶ場所から足を延ばせば優雅な時間を過ごすことができますよ。
◆喫茶エレーナ
住所:神奈川県横浜市中区山手町24
営業時間:9:00〜18:00(LO17:30)
定休日:水曜、第一火曜
おわりに
年間を通して味わえるようになった“いも・くり・なんきん”スイーツですが、やはり食べたくなるのはこの季節。そして、安定のおいしさを提供してくださるそれぞれのお店の人気の高さにも驚きでした。
食べることが目的でもOK! 皆さんも旬の味覚を取り入れて元気に散策に出かけてみませんか?