【今月の旅写真】秋の彩りを探してマイクロツーリズム~練馬区光が丘~
縦に長い日本列島。標高の高い山間部から気温が下がり、徐々に紅葉の色が深まっていきます。気象の影響もあり、紅葉にはまだ早い都心部ではこれからが秋本番。秋の彩りを探していたところ、練馬区光が丘で素敵な場所を発見したので、足を運んでみることにしました。花や身近な風景を撮影するポイントとともにお伝えします。
Text&Photo:こばやしかをる
撮影機材: RICOH GRⅢx
目次
光が丘ってどんなところ?
光が丘は都内屈指のファミリー向けベッドタウン。都営大江戸線の始発駅で、通勤通学の人口も多く、公共施設やスーパー、飲食店などの複合施設も揃っています。幅が広く明るく整備されており、全体的にゴミゴミとした雑踏や騒がしさとは無縁で、穏やかな日常生活を送ることのできる場所です。そのため、週末は買い物目的で近隣からたくさんの人が集まります。
この日、私も光が丘へ。東京の秋はまだ始まったばかりで、秋バラを中心に彩り豊かな花がちょうど見頃を迎えていました。
花の美しさを感じる優雅な空間「四季の香ローズガーデン」
「四季の香ローズガーデン」は、練馬区が管理する公園施設です。光が丘駅からショッピングモールを抜けて徒歩5分程に位置します。住宅棟の合間に佇むこの庭園は、「香りのローズガーデン」、「色彩のローズガーデン」、「香りのハーブガーデン」と3つのエリアで構成される、小さいながらも優美な空間です。しかも、無料だということにも感激してしまいました。
園内に入ると、美しさに目も心も奪われて、すぐさまカメラを向けてしまいがちですが、ここで一呼吸。花の撮影ポイントをお伝えしますね。
撮影ポイント:花を撮影するとき、漠然と全体を捉えてしまいがちです。また、「これは花です」といった図鑑写真になってしまいがち。背景を選びながら、アングルを工夫をしましょう。また、快晴よりも薄曇りの日が撮影日和。特に、花の自然な色を捉えたいときは、薄曇りの日が最適です。
花の見せ方、角度の違いなど、写真をスライドさせて、撮影ポイントをさらにご覧ください。
背景選びとアングルの違いを見てみましょう。花はマクロモードが大活躍します。マクロモードで撮影することで、背景もボケやすくなるのでぜひ活用してくださいね。
最後に、クロップ撮影(デジタルズーム)とマクロモードの組み合わせでボケを表現してみました。花の向きに合わせて中心より少しずらした構図もポイントになります。
「香りのローズガーデン」では、バラの香りごとにコーナーを分けて配置してあり、花を手にしながら香りを楽しんでいた皆さんが印象的。私も撮影中に花に顔を近づけると、とても優雅な香りに包まれて、幸せなひと時を過ごせました。これってすごく贅沢。
この日ばかりは、写真で香りを届けられないことがもったいないと感じたほどです。秋の彩りを求めて出かけたのに、それだけでなく、芳醇な香りにも包まれて気持ちが癒されました。
園内はバラがメインではありますが、そのほかの植物たちもそこかしこに彩りを添えています。
撮影を楽しみに来ているカメラマンも、レクリエーションに訪れていた方々もじっくりと鑑賞されていて、微笑ましい光景です。こんな素敵な場所があるご近所の方が羨ましい! 今まで知らなかったことを少し後悔してしまいました。
そして、隣接する「四季の香公園」へと続くメタセコイア並木の高さは圧巻。ここは紅葉したら間違いなく美しい光景になりますよ。
撮影ポイント:しゃがみこんでローアングルで下からあおるように撮影します。人物がいることで木の高さを強調できます。画面が斜めにならないように水平垂直に気をつけて。
◆四季の香ローズガーデン
住所:東京都練⾺区光が丘5-2-6
開園時間:9:00~17:00
休園⽇:毎週⽕曜⽇ / ⽕曜⽇が祝休⽇にあたる場合は、その直後の祝休⽇でない⽇
電話:03-6904-2061(事務室)
入園料:無料
「都立光が丘公園」で秋の訪れを感じる
光が丘駅から真っ直ぐに抜けると、広大な敷地面積をもつ「都立光が丘公園」に到着。園内には、四季折々の花が楽しめるよう、広場ごとに、桜、ケヤキ、紅葉など、様々な樹々が植えられていますが、紅葉はまだまだこれから。それでも、園内では少しずつ迫る秋の気配を感じることができました。
撮影ポイント:メインの被写体が目立つ背景選び、そして縦と横の両方の構図で撮影しておくことで印象の異なる写真でバリエーションを持たせて。
背の高い木々は地面からのアングルで、縦構図で狙い高さを強調しました。
足元には、雨上がりの水面に写り込む青空と落ち葉のコンビネーション。彩りの季節を心待ちにしながら、季節の移り変わりをそこここに感じながらの公園散歩は、とても贅沢な時間でした。
撮影ポイント:被写体は足元にもあります。視点を変えることで、見過ごしてしまうような“自分だけの光景”も切り取ってみましょう。
◆都立光が丘公園
住所:東京都練馬区光が丘2・4丁目、旭町2丁目、板橋区赤塚新町3丁目
開園日:常時開園 / サービスセンター及び各施設は年末年始は休業となります
TEL:03-3977-7638 光が丘公園サービスセンター
入園料:無料(一部有料施設あり)
美術館隣接のそば処「桔梗庵」
最後に訪れたのは、光が丘駅から徒歩3分という立地にありながら、住宅地の一角に位置する昔ながらの屋敷森に囲まれた静かな佇まいの「光が丘美術館」。入口を一歩入ると、いきなり異空間へトリップしたかのような錯覚さえ抱きます。
敷地内の奥へ進むとそば処「桔梗庵」が現れます。家屋は、埼玉県小川町の養蚕農家の建物をそのまま移築した伝統的な建築様式で、広々とした空間のなか、窓から見える景色を眺めながら過ごすことができます。
桔梗庵では、毎日挽きたての自家製粉の手打ち蕎麦が味わえるということで、せっかくなのでいただくことにしました。
窓の外に見える風景が紅葉になると、また一層温かいおそばが身に沁みるのではないかと思う素敵なロケーションです。雪が降っても趣があるだろうなぁと想像してしまいました。日本家屋に相応しい和の心意気、情景とともにお蕎麦をいただいてみてくださいね。
◆そば処「桔梗庵」
住所:東京都練馬区田柄5-27-25 光が丘美術館敷地内
定休日:月曜日、第1・3火曜日
営業時間:11:00~15:00 / 16:00~18:00
電話:03-5241-9582
おわりに
初めての街で半日歩いてみただけなのに、とても充実感がありました。花の鮮やかな色も、木々の枯れる渋さも、一層彩りに深みを増す秋。今年の紅葉シーズンは、光が丘駅周辺でカメラ片手にゆったりとした時間を過ごしてみませんか? 「黄金色の並木道を早く見たい!」と、私自身も楽しみが一つ増えました。至るところに自然を感じられる光が丘の街並みは、心に潤いを与えてくれますよ。