鳥羽の日(10月8日)に南鳥羽・志摩の絶景をめぐる日帰りロングライド
こんにちは! トラベルライターの土庄です。行楽シーズンに入りました。清々しい秋の季節、すでにロングライドの計画を立てている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、伊勢から志摩までぐるりと周り、松坂にゴールする1日の大冒険を満喫した秋のロングライドコースをご紹介します。
目次
出発は伊勢。緑の山間風景から真っ青な鳥羽へ
旅のスタートは、JR伊勢市駅。名古屋駅から在来線で約1時間30分、運賃2,000円ほどと日帰り旅にうってつけです。早朝から輪行(自転車を専用の袋に入れて、公共交通機関で運ぶこと)する時間でさえ非日常。少し眠い目をこすりながら、電車に揺られてました。
伊勢市駅で輪行を解除したら、いざ出発です。最初に目指したのは、伊勢神宮の門前にある「おかげ横丁」。日中はかなり混み合いますが、朝はとても静かで趣があるのでおすすめです。
◆おかげ横丁
住所:三重県伊勢市宇治中之切町52
サクッと散策して、鳥羽を目指します。海沿いもいいですが、伊勢神宮の裏山である朝熊山(あさまやま、標高555メートル)の山麓を走る県道37号線がとても走りやすいです。信号が全くなく、舗装状態のいいストレスフリーな道。緩やかなアップダウンがリズムを作りやすくて本当に楽しいです。道中、五十鈴川(いすずがわ)のきれいさに心奪われ、北海道を思わせる直線道路にも出会えました。
約1時間ほどで鳥羽に到着すると、一面真っ青な伊勢湾が広がります。山からの海の劇的な景色変化を全身で体感できるのは、自転車旅ならではです。港の近くにはちょうど無料の足湯があるので、シービューを楽しみながら、疲れた足を癒しました。
◆鳥羽足湯処 とまり湯
住所:三重県鳥羽市鳥羽1丁目 (佐田浜公園内)
電話:0599-25-3019(鳥羽市温泉振興会)
営業時間:9:00~18:00
定休日:年中無休 ※荒天候時は休みの場合があります。
偶然にも10月8日。「パールロード」と初食の牡蠣を味わう
本日のハイライトとなる「パールロード」へ。鳥羽市と志摩市をつなぐ全長約23.8キロメートルのシーサイドロードです。地形の起伏が凄まじいため、小刻みなアップダウンが連続する“シーサイドスカイライン”の様相を呈しています。ポイントは、バラエティーに富んだ風景変化! 10月は牡蠣の水揚げが行われる季節で、「麻生の浦大橋(おうのうらおおはし)」周辺では、船と牡蠣筏(かきいかだ)が連なる漁村風景を眺めました。
◆パールロード
住所:三重県鳥羽市浦村〜志摩郡阿児町鵜方
途中、「鳥羽市立海の博物館」に立ち寄ったのですが、偶然にも、訪れた日が10月8日で鳥羽市の記念日「とばのひ」という幸運も。博物館の入場料が安くなり、牡蠣の初食イベントにも参加することができました。こうした偶然は、より旅を思い出深いものにしてくれますね!
私は磯の香りたっぷりの焼牡蠣と、牡蠣の旨味が染みたご飯をいただきました。一杯無料の牡蠣の味噌汁もとても美味しかったです。お昼休憩がてら博物館も見学。鳥羽地方ならではの海人(あま)関連資料や、全国の船の収蔵庫などが目を引きます。
◆鳥羽市立海の博物館
住所:三重県鳥羽市浦村町大吉1731-68
電話:0599-32-6006
営業時間:9:00〜16:30
休館日:毎週月曜日、年末年始、その他休館日あり
パールロード前半は緩やかなアップダウンが続きますが、後半になるにつれ道は山岳道路の雰囲気に変わっていきます。斜度10%を超える区間もあって、中々キツいですが、壮大な地形と伊勢湾がコラボレーションする絶景に感動の連続! 「鳥羽展望台」に到着すれば、志摩方面の英虞湾(あごわん)へ向かい、山肌を縫うように道が続いているダイナミックな風景を満喫しました。「今からあの向こうへ行くのか!」そう思うと冒険心がかき立てられます。
◆鳥羽展望台
住所:三重県鳥羽市国崎町大岳3-3
電話:0599-33-6201
営業時間:9:00~17:00(時期により変動あり)
休館日:無休
志摩まで自力で来た。景色と世界を変える「大王崎」
パールロードでもっとも標高の高い「鳥羽展望台」ですが、それを越えても志摩に抜けるまでまだまだアップダウンが続きます。重いギアで下りを加速したかと思えば、急な上り返しで軽いギアでペダルを回すという、まさにトレーニングのような道です。素晴らしい景色の変化に富んだ道と走りごたえのある道に心が満たされます。我慢して上った分だけ、下りの爽快感がたまらないのです。的矢湾大橋を通過すると、いよいよ志摩のメインエリアに入ってきます。
目指したのは志摩の東端にあたる大王崎(だいおうざき)。30分ほどのどかな道を走ると、待っていたのは、またもや素晴らしい風景でした。こじんまりとした港、最果ての街、白い灯台と渦潮、見渡す限り青い海と空、地形美と反射する海面。自転車は自分の行動範囲と視野を広げてくれる旅の最高な相棒だと再確認しました。
◆大王崎灯台
住所:三重県志摩市大王町波切54
電話:0599-72-1899(公益社団法人燈光会 大王埼支所)
営業時間:3月~10月平日 9:00~16:00、土日祝日 9:00~16:30、11月~2月 9:00~16:00
定休日:年中無休
大王崎を後にし、少し遅めのお昼ご飯。お店の名前は忘れてしまったのですが、讃岐うどん屋さんに立ち寄りました。気持ちのいい秋晴れですが、日差しの強い1日には、さっぱりとしたうどんが最高です。体力を使う自転車旅では、たくさん食べても罪悪感がありません。
英虞湾の絶景広がる「横山展望台」と懸命の峠越え
お腹を満たしたら、志摩を代表する絶景スポット「横山展望台」へヒルクライム。上り続きの旅ですが、後半になって調子が上がってくるのは自転車旅あるある。自転車と身体の一体感が感じられます。
横山展望台は、ミシュラン・グリーンガイドで一つ星を獲得している景勝地。標高約140メートルにある天空のテラスからは、英虞湾(あごわん)が作り出す60もの小さな島が浮かぶ、地形美が広がります。
遮るものはなく、ひたすらに展開する風光明媚な湾景。行き交う船も絵になり、点在するリゾートホテルが、どこかヨーロピアンな雰囲気を演出しています。ただのんびりと、いつまでも眺めていたい穏やかな風景がそこには広がっていました。
◆横山展望台
住所:三重県志摩市阿児町鵜方875-20
電話:0599-44-0567
営業時間:24時間
定休日:年中無休
横山展望台から伊勢へと戻ります。伊勢から志摩に行く道は3つほどしかありません。そのうち1つは沿岸沿いのパールロードですが、残り2つは内陸の峠越え。必然的に、帰りでも上りをお代わりすることになります。今回は伊勢街道を選択! 伊勢街道はつづら折りが連続する地味にキツい道で、終盤は脚が売り切れ寸前でしたが、途中のダム湖の区間は、東京の秘境・奥多摩のような雰囲気があって好きでした。何とか峠を上り切り、伊勢市街への下りに入りました。
まんぷくのからあげ丼を食べて夕焼け松坂ラストラン
伊勢市街へ戻ってくると、すごい充実感に満たされます。アップダウンが連続する沿岸を走り、幾つもの展望台をつなぎ、始まりの町へ戻ってきた。まさにポケットモンスターの主人公サトシが、マサラタウンに戻ってきた感覚に近いかもしれません(笑)。
少し早いですが夕食を、ということで「まんぷく食堂」さんへ。有名な自転車旅ブロガーさんがイチオシのグルメとしてからあげ丼を紹介しており、いつか食べてみたいと思っていたのです。分かりやすい見た目ですが、シンプルイズベストなおいしさ。タレは濃くなく、からあげ本来の下味を感じるように味付けされていて、ふわふわの卵が濃厚に絡んでくれる唯一無二の一杯でした。店主いはく、たくさんのサイクリストが食べに来るとのこと。チャリダーノートなるものがあり、私も一筆書いてきました。お店の方々はみんな気さくで、店内は家族のような和やかな雰囲気です。
◆横山展望台
住所:三重県伊勢市岩渕2丁目2-18
電話:0596-24-7976
営業時間:11:00~20:30
定休日:火曜日
店を出る頃には、日が沈んでいく途中。伊勢から輪行で帰宅してもよかったのですが、体力的に余力があったので、もう少し走ることに。松阪までの20キロメートルほどは、夕焼けに見とれながら、マイペースでペダルを漕ぎました。真っ暗になった頃に、松阪駅へ到着。総距離約130キロメートル、獲得標高約1,900メートルほどになりました。改めて感じたのは、日帰りでもこれほどにアドベンチャーな旅をこなせる自転車の素晴らしさ。ぜひ、この秋自転車で日帰りの冒険に出かけてみてください。