【長野・諏訪湖】わかさぎ釣りを手ぶらで満喫!秋冬の秘密兵器「ドーム船」でぬくぬく楽しむ
秋・冬の風物詩「諏訪湖わかさぎ釣り」。例年10月上旬に解禁し、3月下旬まで体験することができます。「わかさぎ釣り」というと、極寒の氷上で分厚い氷に穴を開けてブルブル震えながら、ひたすら待つ釣り……とイメージする人も多いのではないでしょうか? 寒さが苦手な人には、ハードルが高いですよね。実は、あったか空間で、わかさぎ釣りを体験できる方法があるってご存知ですか? それは、「ドーム船」を使ったわかさぎ釣り。しかも、仕掛けなども不要で手ぶらで参加可能なんです。今回は、長野県諏訪在住のLIKESライター/トラベルコンシェルジュのみっちゃんがわかさぎ釣りに挑戦。その様子や、釣りのコツ、おすすめの時期などを紹介します。
目次
諏訪湖は、ドーム船発祥の地
四方を山々に囲まれた諏訪盆地に広がる諏訪湖。諏訪市、岡谷市、下諏訪町にまたがる周囲約16キロメートルの長野県で一番大きな湖です。わかさぎ釣果(ちょうか)は全国トップクラスを誇ります。
最深部が約7メートルほどの浅い湖で、冬の時期には山からの厳しい冷気により湖面が凍結。氷が風によって裂ける壮観な光景は「御神渡(おみわたり)」と称され、地元の諏訪大社での重要な神事として祀られています。
昔の冬の諏訪湖では、氷上の穴釣りが盛んに行われていましたが、近年は氷が張らない年が多くなりました。遠ざかった釣り客を呼び戻すために誕生したのが、わかさぎ釣りの「ドーム船」なんです。
快適にわかさぎ釣りを楽しめるドーム船の全貌を公開
「ドーム船」って、どのような船だと想像しますか?
筏(いかだ)のような巨大な船に、畑で見かけるビニールハウスが設置されています。その大きさから、揺れが少なく非常に安定しています。一隻に約20人から30人が乗船でき、グループや家族連れも利用できます。平日に訪問しましたが、他の釣り客はいなかったため、貸切状態でした。平日は狙い目かもしれません。
船内は温室のようにぽかぽかと暖かく、広々としています。私が訪問した10月下旬は、晴れていて汗ばむくらいの暑さで、Tシャツで過ごせました。船の平底には、釣り糸を垂らす溝状の四角い穴が開けられており、穴釣りの雰囲気を満喫できます。
天気のいい日には、爽やかな風と共に船外での釣りがおすすめ! 小さな椅子も用意されているので、お好きな場所でのんびりと釣りを楽しめます。ドーム船には暖房やトイレも完備されていて、子ども連れでも安心。
出発前の準備! 諏訪湖観光汽船で受付を済ませよう
諏訪湖には、わかさぎ釣りを体験できる店舗が複数あります。今回、お世話になったのは「諏訪湖観光汽船」。上諏訪温泉街から一番近く、わかさぎ釣りはもちろん、諏訪湖を一周する遊覧船が人気です。
諏訪湖観光汽船といえば、私の以前の記事でも取り上げた、売店で購入できる「バッタソフト」も有名です。郷土食「イナゴの甘露煮」が突き刺さった見た目は、衝撃的ですが、ぜひわかさぎ釣りと一緒に体験してみて下さい。
受付で、釣船乗船届の記入と料金支払いを済ませ、釣り道具一式とライフジャケットを受け取ります。「お得な2時間体験セット料金」には、乗船料、竿、仕掛け(1枚)、餌、遊漁料が含まれています。そのほか、わかさぎを入れるザルや餌入れ、小さな椅子も用意されていますので、手ぶらで参加が可能です。ただし、ドーム船内では、飲み物や食べ物が購入できませんので、必要な場合は事前に用意しておくとよいでしょう。
受付を済ませ、ライフジャケットを装着したら出発です。
シーズン中のドーム船は、沖のポイントに停泊していますので、桟橋から小型のボートで送迎してもらいます。ドーム船内は暑くなりますが、移動するボートは寒いため、重ね着できる服装だと安心です。
ドーム船に到着! わかさぎ釣りに挑戦
到着後、釣り場所を選び、竿と仕掛けを準備します。糸と釣り針、オモリは巻かれている状態なので、絡まないようにゆっくりとほどいていきます。係の方が簡単にレクチャーしてくれるので安心です。
次は餌を付けます。わかさぎ釣りの定番の餌は「サシ虫」という小さな幼虫。頭のすぐ下(黒い部分)に、ちょん掛けという方法で刺します。餌付け自体は簡単なのですが、虫が苦手な人もいるかもしれません。「サシ虫」はわかさぎ釣り用に養殖されている幼虫なので、衛生面は安心です。どうしても難しいと感じる方は、スタッフの方にお願いしてみましょう。
仕掛けの全ての針に餌を付けたら、いよいよ穴に糸を垂らします。時々、竿を上下に揺すって、わかさぎを誘ってあげるといいそうです。
①仕掛けを底まで落とす
底についたら、糸を約10cmほど巻き上げます。
②わかさぎを誘う
竿を10cmほど上下に動かしながら誘っていきます。3回くらい繰り返して、餌が漂うようにします。誘い方は日によっても変わるので、いろいろ試して、自分なりのパターンを見つけましょう。
③竿先に注目!動いたらアワセよう
アタリの取り方は、竿先を見て判別します。「ピクピク、ググッ」となるのが合図。群れが多かったり活性が高いときは仕掛けを落としている最中に急に引きこまれることも。違和感があれば、竿先を上げてアワセましょう。
④巻き上げる際の注意点
かかったら、慌てずに一定のスピードで巻き上げていきましょう。スピードが不安定だったり、一時停止すると、「バラシ(外れる)」の原因となります。
待ちに待った「わかさぎちゃん」がついにお目見え!
受付の方から「今日は、ユスリカ(餌となる虫)が多いから期待できるよ! 」との朗報を受け、胸を弾ませて緊張の一投目。投げたとたんに、ツンツンという反応がありました。オモリが着底したときの反応かと半信半疑になりながらも巻き上げ、恐る恐る糸を手繰りで寄せると、わかさぎが1匹釣れていました!
1匹目が釣れるとチャンス到来。わかさぎは群れで行動するため、1匹目が釣れた時点で、群れが近くにいる可能性が高いです。また、水温が下がると食いが活発になります。群れが来ているときは、どんどん釣って、アタリがなくなったら餌交換をしましょう。約30分~40分ごとが目安です。
10月~12月がゴールデンタイム
諏訪湖のドーム船でよく釣れる時期は、「10月中旬~11月上旬、11月中旬~12月上旬」なんだとか。2~3月はわかさぎが卵を持つ時期で、餌への食いつきが悪くなるんです。釣れないことはありませんが、釣果が安定しないそう。氷上での穴釣りのイメージが強いので、てっきり冬場がベストシーズンかと思っていました。
時間帯は、朝がおすすめです。今回は9:00に釣りを始めましたが、お昼が近づくにつれてアタリが少なくなっていきました。もちろん、日によって異なりますので、一日中入れ食い状態の日もあります。また、意外だったのが天気。少し風が吹いていたり、雨が降っていて天候が荒れていた方が波があって釣れやすいそうです。晴れていたので絶好の釣り日和かと思っていましたが違っていました。ただ、極端に悪天候の場合は中止となる可能性があるので、事前に確認をして下さい。
わかさぎを最高に楽しむのは、天ぷらが一番
想像以上に釣れて、興奮してしまい、正確な釣果を確認するのを忘れてしまいました。3名で体験して、肌感覚だと100匹前後。
諏訪湖観光汽船では、釣れたわかさぎは基本的に持ち帰りとなり、氷をサービスしてもらえます。どうしてもすぐに食べたい場合は、提携しているお店を紹介していただけるそうです。お店で食事することが条件になりますが、実費で調理していただけます。詳細は釣り終了後に、受付に確認してみて下さい。
私は自宅に持ち帰り、天ぷらにしていただきました。1匹1匹調理するのが面倒だったので、複数匹の贅沢バージョン。新鮮なわかさぎは、臭みがなく周りはサクサク、中はふっくらしています。釣りたて、揚げたてでしか楽しめない味わいです。母いわく、揚げる前に、塩で揉んで2回洗うとおいしくなるんだとか。塩、胡椒、しょうゆ、一味唐辛子など味変も楽しめます。
たくさん釣れたら、天ぷら以外にも生姜たっぷりの甘露煮がおすすめです。日持ちもしますし、鱗や骨もおいしくいただけます。わかさぎは、内臓や頭を処理することなく丸ごと簡単に調理できるのもうれしいポイントです。
※訪問する前に必読
諏訪湖観光汽船での「わかさぎ釣り体験」は、「事前予約制」となっています。電話で必ず予約をして下さい。
◆諏訪湖観光汽船
住所:長野県諏訪市湖岸通り3-1-27
電話:0266-52-0739
営業時間:9:00~15:00
定休日:なし
料金:お得な2時間体験セット料金(大人 3,900円、小中学生 2,000円、幼児 600円)
駐車場:周辺に市営駐車場(無料)があります
諏訪湖わかさぎ釣りドーム船で絆を深める
私が小学生だった約30数年前、父と弟と一緒に、諏訪湖で氷上の穴釣りを経験したことがあります。氷に穴を開け糸を垂らすというシンプルな作業が、寒さで何倍も大変に感じました。実際にわかさぎが釣れたのか、覚えていません。
時は流れ、再び諏訪湖のわかさぎ釣りに挑戦することに。今回は氷上ではなく、ドーム船の上。あのときと同じく、父も一緒です。外の冷たい風を感じることなく、ゆったりと釣りを楽しむことができました。お互いに「あれから随分と年を取ったな」と笑いながら、当時の話を思い出し、新しい思い出を作ることができました。
諏訪湖わかさぎ釣りドーム船は、初心者から経験者まで、誰でも気軽に楽しむことができます。寒さを気にせず、心地よい空間で釣りを堪能できるのは、ドーム船ならでは。そして、大切な人たちとの時間を過ごすことで、絆をより深めることができます。ぜひ、一人ではなく、気を許せる仲間や家族と一緒に、この特別な体験をしてみてはいかがでしょうか。新しい思い出を刻み、絆をより深くする絶好の機会となること間違いなしです。
多くの旅が実現しますように!