蒸留所「SAKURAO DISTILLERY」のクラフトジンで楽しむ広島の魅力

広島県

2023.11.30

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蒸留所「SAKURAO DISTILLERY」のクラフトジンで楽しむ広島の魅力

旅とお酒が大好きな旅色LIKEライター・あやっこです。ジントニックなどのカクテルのベースとしても知られる蒸留酒、ジン。最近では様々なこだわりを持って作られるクラフトジンが世界的なブームです。日本でもクラフトジンを作る蒸留所が各地で生まれています。広島にあるSAKURAO DISTILLERY(サクラオディスティラリー)もその一つ。こちらで作られるクラフトジンのこだわりについてはもちろん、ジンの製造方法など色々教えてもらえる蒸留所見学でクラフトジンの魅力を知ってみませんか?

目次

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広島発祥のクラフトジン「SAKURAO GIN」

100年の歴史を持つ酒造メーカーの挑戦

広島らしさを追求したSAKURAO GINに詰められた魅力

ウイスキーが眠る貯蔵庫で桜尾ウイスキーの秘密に触れる

蒸留所ならではの限定酒も楽しめる試飲タイム

広島市内で楽しむSAKURAO GIN&ウイスキー

クラフトジンでその土地の魅力に酔いしれよう

広島発祥のクラフトジン「SAKURAO GIN」

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私が桜尾ブルワリーを知ったのは、京都のバーでいただいたカクテルがきっかけでした。桜の季節のカクテルに使われたSAKURAO GIN(桜尾ジン)は、ピンク色のボトルが可愛らしく桜の香りがほんのりするクラフトジンです。クラフトジンとは、一般的に流通するジンと違い小規模の蒸留所で作られるものを指すことが多く、使用するボタニカル(植物)や製造方法などこだわりを持って作られています。日本でもクラフトジンを作るメーカーは増えていて、世界的に高い評判を得ているメーカーも。その一つが桜尾ジンです。

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100年の歴史を持つ酒造メーカーの挑戦

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大きな「SAKURAO」の文字が目立つ

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ショップや試飲スペースのあるビジターセンター

JR広島駅から電車で約10分の廿日市(はつかいち)駅。そこから徒歩で約10分の場所に、SAKURAO GINを作る「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」があります。蒸留所見学はホームページからの予約制。日曜日を除いて1日3回、各回定員10名で開催されています。3回のうち1回は英語での案内となっているため、海外からのお客様も安心して参加可能です。ショップや試飲スペースのあるビジターセンターで受付をした後、予約者が揃ったら見学ツアースタート。

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広々した敷地にスタイリッシュな黒の建屋がおしゃれ!

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この日のガイドはイギリス出身のキャーンさん

蒸留所は、ビジターセンターから歩いて数分の場所にあります。黒い建物にスタイリッシュなロゴがあしらわれ、おしゃれな雰囲気! 前身は1918年に創業した「中国酒類醸造合資会社」(中国醸造)という会社で、100年以上前からウイスキーやジンを作っていたそう。敷地内には50年前まで使っていたポットスチル(単式蒸留器)が飾られています。ここで中国醸造とサクラオディスティラリーの歴史について教えてもらいました。

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敷地内には広島を代表するダルマ焼酎の施設もある

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「International Wine & Spirit Competition」の受賞メダルとSAKURAO GIN

日本酒の添加などに使われる醸造用アルコールの製造・販売から始まった中国醸造。創業翌年には今でも製造されている「ダルマ焼酎」の製造をはじめ、さらに翌年の1920年には日本で二番目となるウイスキーの製造免許を取得し製造を開始します。しかし、1960年代にウイスキーの需要が落ちこむと製造を縮小し、代わりに日本酒「一代弥山」の製造を開始しました。また、広島産の日本酒として人気を博すだけでなく、今では一般的になった紙パックによる日本酒の発売を日本で初めて行ったんだそう。100年の歴史の中でさまざまなチャレンジをされてきたことに驚きます。

そして創業100周年を迎えるにあたり、記念事業としてウイスキーの製造を再開しサクラオディスティラリーを設立。ウイスキー製造にあたり海外視察を重ねる中で、クラフトジンが世界的に流行り出していることを知り、クラフトジンの製造も始めました。「伝統と革新で、広島から世界へ」をテーマに始まったサクラオディスティラリー。時代にあわせチャレンジを続ける中国醸造ならではの事業なんですね。

2018年にはSAKURAO GINがイギリスの世界的な酒類品評会で金賞を受賞するなど、世界的にも注目されています。そして2021年ウイスキーの発売を機に、会社名も中国醸造からサクラオブルワリーアンドディスティラリーとなりました。

広島らしさを追求したSAKURAO GINに詰められた魅力

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サクラオディスティラリーの歩みを知り、作るお酒に俄然興味が湧いたところでいよいよ蒸留施設の見学です。見学スペースの奥は実際の蒸留施設になっており、ジンを蒸留するハイブリット蒸留器やモルトウイスキーの蒸留器が実際に稼働している様子が見られます。こちらではジンやウイスキーの製造方法をわかりやすく説明いただき、それぞれの原料についても実際に見て、香りを嗅いだりもしました。

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牡蠣の殻が使われているとは……広島らしさ全開!

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桜尾ジンに使われているボタニカルを、銘柄ごとに丁寧に説明してくれる

一般的にジンは、ペーススピリッツ(大麦などを原料とした蒸留酒)にジェニパーベリーという植物をはじめ、複数のボタニカル(スパイスやハーブ、フルーツなど)を漬け込んで作られます。ジェニパーベリーさえ使用していれば、後はどんなボタニカルを使用しても自由なため、クラフトジンの蒸留所ではさまざまな特色のある素材を使用して個性を出しています。こちらの蒸留所では、海と山がある広島の土地柄を活かし、レモンなどの柑橘類や牡蠣の殻といった原料が使われています。
当初、ジンに必要不可欠なジェニパーベリーは広島で調達できないと思われていましたが、わずかながら山奥で自生しているものが見つかったそう。希少な県産ジェニパーベリーは、ピンクのボトルのSAKURAO GIN LIMITEDに使われています。他にも、広島を代表する世界遺産・宮島にだけ自生するハマゴウという植物を使った限定クラフトジン(SAKURAO GIN hamagou)も。丁寧な説明のおかげで、桜尾ジンには広島の様々な自然が詰まっているんだ、と改めて感動してしまいました。

ウイスキーが眠る貯蔵庫で桜尾ウイスキーの秘密に触れる

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ウイスキーのいい香りが漂う貯蔵庫

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広い倉庫を使ったプロジェクションマッピングは必見

次に見学したのは、写真撮影NGのグレーンウイスキー(主にトウモロコシを原料にしたウイスキー)の醸造施設。間近で見る発酵タンクの大きさに驚きました。こちらでは醸造施設のほか、グレーンウイスキーの醸造過程のサンプルを嗅がせていただきました。
そして最後は、樽詰めされたウイスキーの貯蔵庫へ。少しひんやりとした薄暗い貯蔵庫の中は、ウイスキーのいい匂いが漂っていて、香りだけでほろ酔いしそうな気持ちの良い空間です。頭上高くまで並んでいる樽に驚いていると、貯蔵庫のスペースを活用したプロジェクションマッピングがはじまりました。ウイスキーの熟成の様子が光と音で表現されていてうっとり。そして映像の最後には、桜尾ウイスキーが熟成していく中で現れる秘密が……ウイスキーの香りが漂う中で見る幻想的なプロジェクションマッピングでした。

蒸留所ならではの限定酒も楽しめる試飲タイム

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盛りだくさんな見学ツアーの最後は、お待ちかねの試飲タイム。ビジターセンターに戻り、試飲カウンターに並べられたお酒から3種類試飲できます。定番のアイテムのほか、蒸留所限定で発売されているウイスキーや期間限定のSAKURAO GIN hamagouもありました。ミネラルウォーターや炭酸水も用意されているのでそのまま飲むだけでなく、ガイドの方の案内でおいしい飲み方を試せます。

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左側がニューポット、透明な液色はウイスキーとは思えない

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試飲グラスはお土産にいただける

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ショップではここでしか買えないウイスキーも

珍しいものでは、ニューポット(まだ熟成や調整を施す前の、蒸溜したてのウイスキーの原液)の試飲もありました。アルコール度数50度を超え味わいもかなり荒々しいそうですが、ウイスキーのまさに原点の味が楽しめるんだとか。お酒が強い方は試してみるのも一興です。私はSAKURAO GINを3種類試飲したのですが、飲み比べるとそれぞれに使われるボタニカルの香りの違いを明確に感じられました。見学ツアーで材料や製法に触れたからこそ気づけたSAKURAO GINの魅力にすっかりハマり、限定アイテムも含めたっぷりお土産を買ってツアー終了です。

◆SAKURAO DISTILLERY VISITOR CENTER
住所:広島県廿日市市桜尾一丁目12番1号
電話: 0829-32-9122
営業時間:10:00〜17:00
定休日:日曜日・お盆・年末年始
【蒸留所有料見学】
実施日:月~土曜日(お盆・年末年始・臨時休業日除く)
開催時間:日本語10:30~、15:00~、英語14:00
料金:一人2,000円(税込)
※公式HPで要事前予約

SAKURAO DISTILLERY VISITOR CENTER 公式HP

広島市内で楽しむSAKURAO GIN&ウイスキー

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巷ではあまり出回っていないレアなウイスキーも揃っていた

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ゆったりとしたバーはお一人様でも利用しやすい

広島を代表するクラフトジンであるSAKURAO GINは、市内のバーなどでも楽しむめます。私が訪れた時は、宿泊したANAクラウンプラザ広島のバー「ザ・ラウンジ」でちょうど桜尾フェアが行われていました。クラフトジンはもちろん、ウイスキーもほぼ全銘柄揃っていて、さすがご当地のホテルバー。

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訪れた時にちょうど発売されていた、蒸留所設立5周年を記念して作られたSAKURAO GIN WHITE HERBSを使ったカクテルをいただきました。ラベルに描かれたホワイトローズやエルダーフラワー、バニラなど花束をイメージしたボタニカルが使われたジンは、とても華やかな香りが特徴的。ほんのり甘さを感じるジンに乳酸飲料の爽やかな酸味を合わせたカクテルは、気持ちが華やかになる味わいでした。桜尾フェアの時期でなくてもSAKURAO GIN使ったカクテルは季節ごとに作られるそうなので、蒸留所見学の際に立ち寄ってみるのもおすすめです。

◆ザ・ラウンジ
住所:広島県広島市中区中町7-20 ANAクラウンプラザホテル広島 1F
電話:082-241-1114
営業時間:10:30〜22:30
定休日:無休

ANAクラウンプラザホテル広島 ザ・ラウンジ 公式HP

クラフトジンでその土地の魅力に酔いしれよう

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歴史ある酒造メーカーが作った広島の魅力が詰まったクラフトジン。蒸留所見学を通して製法などの知識も深まり、ますます興味が深まりました。今回紹介した広島のSAKURAO DISTILLERYの他にも、日本には魅力的なクラフトジンの蒸留所がいくつもあります。それぞれの土地の個性が活かされた味わいを探しに旅に出るのもおもしろいかもしれませんね。

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#広島 #ワイン #お酒 #旅色LIKES #飲み旅 #お酒旅 #クラフトジン #蒸留所見学 #SAKURAO DISTILLERY

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お酒旅 あやっこ

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旅とグルメとお酒をこよなく愛する東京在住の会社員です。休みの日は旅に出て、旅先でおいしいお酒を楽しむ時間が一番幸せ! お酒好きはもちろん、お酒が飲めない人もいきたくなるような旅のあれこれをご紹介します。

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