星野リゾートの温泉旅館「界 出雲」で絶品のズワイガニと雪景色が広がる温泉で冬満喫の1日を旅色編集部が体験!
ズワイガニの漁期は、毎年11月6日~3月20日と決められています。島根県・出雲ひのみさき温泉にある星野リゾートの温泉旅館「界 出雲」では、漁が解禁された翌日の11月7日~2024年3月10日までズワイガニを満喫できるフルコースが登場。ご当地楽「石見神楽 国譲り」、絶景の夕焼けを眺められる「大浴場」など大満喫の宿泊内容を旅色編集部の女性2人組でご紹介します。また出雲大社(いずもおおやしろ)や日御碕(ひのみさき)神社など出雲旅行の参考にしてみてください。
目次
2022年11月、絶景が続く島根半島最西端の岬・日御碕エリアにオープン
界 出雲は、島根県の出雲ひのみさき温泉に2022年11月16日に開業。東京から飛行機と車で2時間ほどと、意外と近いんだ! という驚きがありました。島根県玉造温泉にある「界 玉造」も併せて、泉質の異なる温泉と歴史・文化を活かしたおもてなしで島根の旅を満喫できます。
1シーズン分のカニを食べつくし!? 贅沢カニ会席料理
日本海の冬の代表食材といえば「ズワイガニ」。界 出雲では、「八雲立つ蟹会席(タグ付き活松葉ガニ※1)」で味わいます。神話に登場するスサノオノミコトが、出雲の雲が立ちのぼる様子を「八雲立つ」と表現しました。この「八雲」になぞらえた8品が机に並びます。昨年とはメニューが一新され、「お客様の手を汚すことなく楽しんでいただけるように」と身は全て食べやすい状態で提供。蟹は身を上手に取り出せなかったり、手がべたべたになってしまったり、と食べるのに苦手意識があったので、ありがたいサービスです。
※1 オスのズワイガニ
タグの裏にはこの蟹を獲った船の名前が記されています。
どれもおいしいですが、特に1品目の「松葉ガニの灯台盛り」は圧巻。タグ付きの松葉ガニの甲羅にほぐされたカニの身が日御碕灯台のように高く盛られています。付け合わせに蟹味噌、キャビア、ウニまでついていてお皿の上がとても豪華に。日本酒と梅干を煮詰めたものなどを合わせた「煎り酒」やさっぱり味わえる「橙(だいだい)酢」も用意され、食べ方は5通りもあります。ちなみに、タグ付きのカニはセリの際に高品質と認められた証! おいしさに感動してタグを記念に持って帰る人も多いのだとか。お料理に使われているカニは2杯以上分にもなっているそう! 私も記念にタグを持ち帰りました。
東西で異なる景色とイメージの客室
各地の特色を取り入れた「ご当地部屋」は、“界”の特徴のひとつ。界 出雲には日没から夜明けの色の変化が豊かな海をモチーフとした“彩海(さいかい)の間”があります。お部屋は日本旅館をイメージして作られた和洋室。西と東で異なる色合いのお部屋は予約時に指定可能です。どちらの部屋も備え付けの冷蔵庫には、ご当地日本酒「うさぎぐも」、甘酒、ビールが用意されています(有料)。
西側では、日御碕灯台と日本海に沈む夕日を楽しめます。部屋の一部は壁と床の色をネイビーにすることで光の反射を抑え、まぶしさを感じることなく夕日を眺められます。ゆっくりと沈んでいく様子をソファーに座りながらぼーっと眺めているとあっという間に時間が過ぎていきます。
東側は日の出をイメージしたピンク色。やわらかいピンク色で統一されているので、部屋全体がかわいらしく女性人気が高そうです。窓際のみ、グレー色でひんやり素材になっています。海に向かうようにワークデスクが置いてあるので、テレワークにも最適。疲れを感じたときにふと外の日本海を見ると心が落ち着きます。
部屋札は瓦で作られています。本来瓦の制作過程で瓦は丸まる力が強いのですが、時間をかけてまっ直ぐになるように施され、職人さんの技が光っています。よく見ると1室ずつ数字の大きさが違うところに遊び心が。
入浴中だけでなく、入浴前後も楽しめる温泉
出雲ひのみさき温泉の泉質は強塩(きょうえん)温泉。保湿効果があり、血行促進や筋肉の疲労回復が期待されます。お湯につかると海に入っているようにぷかぷかと浮くのも特徴です。“禊(みそぎ)風呂”とも呼ばれ、その昔、神様が海に入って穢れを落としたという神話を模しています。出雲大社で神様にお会いする前に訪れるのがおすすめです。内湯は、36℃の「ぬる湯」と42℃の「熱湯」を交互に入ることで体に無理なく入浴できます。
露天風呂は日御碕海岸にある景勝地「出雲松島」と日本海の絶景が広がります。女湯は柵が無く、景色を遮るものがありません。波の音を聞きながら、温泉にぷかぷかと浮いていると体から疲れがどんどんと抜けていく感覚がありました。寝湯もあり、天気がいいと満天の星空を眺める最高の時間を過ごせます。私が訪れた日は雪が降っていて、冬ならではの雪見風呂で、非日常を味わえる旅ならではの体験でした。
女性にうれしいポイントは脱衣所にも多くあります。洗面所には充実のアメニティ。どれも星野リゾートオリジナルだそうです。そして、ドライヤーは女性の憧れ、ダイソン!
また、入浴前に毎日16:00からロビーで行われる「温泉いろは」を聞くのがおすすめです。出雲ひのみさき温泉の歴史、入用法、入浴前後のストレッチ方法を紙芝居で学びます。入浴前後のストレッチも教えてもらえるので、入浴効果がさらにアップ。おかげで入浴後も温かさが続きました。
「温泉いろは」参加者には「温浴証明書」が。御朱印帳のような冊子に、ご当地柄と泉質などが書かれたスタンプを押してもらいます。全国22箇所(2024年1月現在)ある“界”すべてで押印可能です。すでに全国の界を巡り、1冊集めきった強者1名がいるのだとか!
お風呂あがりには「湯上りアイス」を。山陰地方在住の方お馴染みの「大山(だいせん)乳業」が作っています。味は「大山こだわりミルク」「白バラコーヒー」「抹茶」の3種類。私のお気に入りは「抹茶」。濃厚な抹茶が練りこまれており、冷たさを感じにくい不思議なアイスです。知覚過敏の私もかじって食べられました。宿泊中、いつでもいただけるので、ロビーで食べてもお部屋に持って帰って食べてもOKでほとんどの方が宿泊中に3つの味を制覇しちゃうそう。湯上りドリンクも星野リゾートオリジナルなので要チェックです。
熱演に感動する「石見神楽」を観劇
その土地の伝統的な芸能や工芸を堪能できる“ご当地楽”も“界”ならでは。界 出雲では「石見神楽」を毎日21:30~ロビーで観劇できます。「石見神楽」とは、島根県西部の石見地方に伝わる「神々に捧げる舞」のことで、神話を謡曲にのせ民衆の娯楽として親しまれてきました。現在も9~11月の秋祭りの夜になるとさまざまな町の神社で神楽囃子が聞こえてきます。
見られるのは、30以上ある演目のなかの「国譲り」。出雲の国を治めていた大国主命(オオクニヌシノミコト)からの世代交代を誰にするかの争いのお話です。5kgある衣装を身にまとった演者が縦3メートル×横5.6メートルの舞台を颯爽と舞います。舞台袖ぎりぎりの観客席では、演者の息遣いや風も感じられ、臨場感に圧倒されます。演じているのは、星野リゾートのスタッフ。いつもはお部屋やお食事の案内をしてくださる方が、地元の方に学び練習し披露しているそう! お風呂上りに立ち寄るのもOKで、部屋着で見ている方が多数。席が埋まってしまうこともあるため、早めに行くのがおすすめです。
神様のお食事を食べて朝から整う
ちょっと早起きして行きたいのが「かわたれテラス」。島根に関連のある書籍が置かれたトラベルライブラリーとコーヒーが用意されています。テラス席からは、日本海と出雲松島の景観を一望できます。季節によって出てくる場所が若干ずれますが、冬は山の上に日の出を見られます。波の音を聞きながら、だんだんと明るくなる空の様子をぼーっと見ている時間が非常に癒されます。チェックイン後すぐに訪れて、コーヒー片手に読書タイムをするのもいいですね。
ここに置いてあるコーヒーは24時間いつでも利用可能で、部屋への持ち込みもOKなので、テイクアウト用のカップも用意されています。
朝食は、開運をイメージした器でいただく「神饌(しんせん)朝食」。人が生きるために最も重んじられてきた「米・塩・水」のほか、川魚・海魚、野菜・海草、水鳥・野鳥といった神饌の要素も忠実に再現されています。神様と同じものをいただくことで朝から心も体も整います。神饌朝食はプラン予約限定です。
通常の朝食はこちら。島根名物の「赤てん」のほか、ご飯のお供になるものがたくさん並びます。
あらめ磯鍋
わかめと「あらめ」とよばれる肉厚わかめが甘く煮込まれた鍋が絶品でした。すき焼きの味に近く、上にはアナゴも乗っています。神饌朝食を予約した方はどちらもいただけるので朝からボリューム満点ですが、どれもおいしいのでぺろりと平らげられるはずです。
周辺観光を3スポット紹介
出雲大社
縁結びの神様・大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀り、八百万の神々が集まる場所としても知られる出雲大社。正式な参拝作法は一般的な「二礼二拍手一礼」ではなく、「二礼四拍手一礼」とされているのも特徴です。境内には神話「因幡の素兎(白兎とも)」のモチーフとなったウサギの御像が66体いらっしゃるので、探してみてください。
◆出雲大社
住所:島根県出雲市大社町杵築東195
電話:0853-53-3100
日御碕神社
夕日にちなんだ「日沉宮(ひのしずみのみや)」が祀られた、朱塗りの社殿が美しい神社です。「日の本の昼を守る」伊勢神宮に対して、「日の本の夜を守る」神社とされ、厄除けや縁結びにご利益があるといわれています。
◆日御碕神社
住所:島根県出雲市大社町日御碕455
電話:0853-54-5261
そば庄たまき ご縁横丁店
出雲の名物「出雲そば」は、冷たい「割子そば」と温かい「釜揚げそば」に大分されますが、ここでは3段重ねの丸型漆器で提供される割子(わりご)そばが味わえます。1段ごとの量は3口ほどですが、麺にしっかりとコシがあるので満足感も。

さいごに
界 出雲では、宿泊しながら出雲の神話を学び、古から伝わる習わしを体験することで心と体を整えられます。カニ好きのみならず、カニ初心者の方もハマってしまう蟹会席を味わえるのは3月10日まで。メニューは毎年変わってしまうので、お見逃しなく。
◆界 出雲
住所:島根県出雲市大社町日御碕604
電話:050-3134-8092
料金:1泊1名 25,000円~