温泉だけじゃない。竹細工の聖地・別府市を巡る旅

大分県

2024.02.28

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温泉だけじゃない。竹細工の聖地・別府市を巡る旅

大分県別府市、と聞くと「温泉」が一番に思いつく方が多いと思いますが、実は、室町時代から続くとされる竹細工の聖地でもあるんです。そんな別府市内を旅色LIKESメンバー・そのさんが旅した様子を紹介します。

目次

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別府温泉と竹細工の関係性について

まずは「八幡朝見(はちまんあさみ)神社」へごあいさつ

竹細工を学びに「別府市竹細工伝統産業会館」と「竹工芸訓練センター」へ

昼食は大分の郷土料理「だんご汁」をいただきます

竹細工をもっと深掘り! ギャラリーめぐりへ

おわりに

◆この記事を書いたメンバー

別府温泉と竹細工の関係性について

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大分県は複数の有名温泉地があるだけでなく、竹細工の原料である「真竹」の生産量が日本一を誇るエリアです。特に、江戸時代に一大温泉地として栄えていた別府では、温泉客が使う日用品に竹細工が活用されていました。その質の良さからお客さんがお土産として持ち帰り、全国に広まりました。昭和に入ると県内には竹細工の加工技術を開発するための研究施設や、職人を育成する施設もできたことで技術が進化するとともに、優れた作家や職人さんたちも多く輩出したことで「別府竹細工」は高度な技術を集約した工芸品へと発展しました。昭和54(1979)年には、通産省(現経済産業省)大臣指定の伝統的工芸品に認定され、同県を代表する産業になっています。
そんな背景を持つ別府を訪ねてみると、町中には竹と温泉があちこちに。駅に降り立つと竹に囲まれた足湯がお出迎えしてくれました。

まずは「八幡朝見(はちまんあさみ)神社」へごあいさつ

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画角に収まりきらないほどの大きな楠の木

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楠の木に負けないくらい大きな夫婦杉

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最初に訪れたのは別府温泉の総鎮守・八幡朝見神社。別府駅から徒歩で20分ほど歩くと鳥居が見えてきます。建久7(1196)年に鎌倉の鶴岡八幡宮を※勧請して創建されたと伝えられている歴史ある神社。樹齢1000年余りの御神木の楠や夫婦杉はどちらも圧巻の迫力で魅了されます。毎年4月上旬には「竹の感謝祭」が執り行われ、竹細工を神社に奉納します。水飲み場に降りて行くと、イチョウの紅葉も見頃でかわいい落ち葉アートに癒されました。

※勧請する:離れた場所にいる神や仏に対して、こちらへ来てくれるように祈り願うこと。

◆八幡朝見神社
住所:大分県別府市朝見2-15-19
電話:0977-23-1408営業時間:9:30〜17:00
定休日:水曜日

八幡朝見神社 公式HP

竹細工を学びに「別府市竹細工伝統産業会館」と「竹工芸訓練センター」へ

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入り口には大きな竹細工が。細かい美しい網目が魅力的

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竹細工キットと竹のお箸を3種類自分用のお土産に購入

「別府市竹細工伝統産業会館」は、別府竹細工の魅力を伝える場所として、竹細工作品の展示やイベントやワークショップなどを開催している施設です。展示室は「歴史」「素材」「技法」「生活とくらし」「未来」等のコーナーがあり、人間と竹との関わりをについて解説しています。名工の技術を駆使した迫力ある美術品としての竹細工から、昔から生活の中で使われてきた竹製品などが数多く並んでいました。映像上映もあり、職人さんによる竹細工づくりも見ながら、竹細工の歴史や技術を学べます。職人さんが綺麗に竹を割ったり、竹籤(たけひご)で籠を編んでいったりする姿に思わず見入ってしまいました。
館内では竹細工の教室やワークショップも時々開催されています。なかには初心者でも挑戦できるカリキュラムも。さらに、併設のショップ&カフェでは、別府市内の職人さんたちが作ったかわいい竹細工商品があったので、たくさんお土産を買ってしまいました。カフェにはコーヒーやおやつがあるので小休憩もできます。

ここから少しバスに乗った先には「竹工芸訓練センター」もあります。施設内は撮影できないところが多かったので写真はありませんが、随時見学受付もしていたので、訪ねてみました。大分県での竹細工のこと、竹のこと、技術的なこと……などをとても丁寧に教えてもらい、勉強になったので興味がある方はぜひ。

◆別府市竹細工伝統産業会館
住所:大分県別府市東荘園8-3
電話:0977-23-1072
営業時間:8:30~17:00 ※ショップ&カフェは~16:30
定休日: 月曜日 ※祝日の場合は翌日休み、12月29日~1月3日
観覧料: 高校生以上390円

◆竹工芸訓練センター
住所:大分県別府市東荘園3-4-3
電話番号:0977-23-3609

別府市竹細工伝統産業会館 公式HP
竹工芸訓練センター 公式HP

昼食は大分の郷土料理「だんご汁」をいただきます

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だんご汁。「かぼすはお好みで」だそう。中からきしめん状のだんご!

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だんご汁定食(1,100円)。田楽や豆乳ごまどうふなど、季節のお野菜も使った手作りのお惣菜もそれぞれおいしい

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趣のある玄関

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廊下の格子戸からの木漏れ日もすてき

古民家カフェ「茶房 信濃屋」は、明治時代の有名建築「鹿鳴館」をイメージした店内で、レトロな雰囲気が漂うお店です。ゆったりとした空間の中で、コーヒーを飲みながら本を読んで過ごしている人も。提供している料理は“カラダに優しい”をコンセプトにしていて、全て自家製だそうです。
メニューには大分の郷土料理の「やせうま」や「だんご汁」などがあります。だんご汁とは、小麦粉をこねて薄く帯状に引きのばしただんごを、具材とともに味噌仕立ての汁に入れたもの。こちらのだんごは平べったいきし麺状で、毎朝一本ずつ手延べしているそう。スイーツにも惹かれつつも、わたしは「だんご汁定食」を注文。だんご汁にはかぼすがのっていてさわやか風味が味わえます。また、なすや芋などお野菜もたっぷりでおいしく、あったまりました。付け合わせに手作りお惣菜の小鉢もついていますよ。

◆茶房 信濃屋
住所:大分県別府市西野口町6-32
電話番号:0977-25-8728
営業時間:9:00〜21:00 ※火・水曜日は〜18:00
定休日:無休

竹細工をもっと深掘り! ギャラリーめぐりへ

もっといろんな竹細工に触れたくなり、竹細工を取り扱っているギャラリーをいくつか訪ねたので紹介します。

生活を彩るアイテムが勢ぞろい「愉しい食卓 はなやももLinks」

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素敵なガラス戸が目印

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周辺には、温泉の蒸気を利用した蒸し料理や温泉卵のお店がある

別府駅からバスで10分ほどの場所にある明治32(1899)年にできた建物内にあるショップ兼ギャラリーです。近くには別府名物「地獄めぐり」があり、道のあちこちから温泉の煙が上がっています。店内には県内外の作家による陶器や竹細工など、オーナーがセレクトした生活を愉しくする素敵な商品が並んでいます。また、地元産の果物を低温蒸ししてつくったオリジナルコンフィチュールも絶品で、思わずたくさん買ってしまいました。

◆愉しい食卓 はなやももLinks
住所:大分県別府市鉄輪上1組
電話番号:0977-66-3251

公式HP

愉しい食卓 はなやももショップ

大分県別府市鉄輪上1組

愉しい食卓 はなやももショップ

オーナーの心遣いを感じられる「別府竹細工cotake」

こちらは若手工芸家の作品を中心に、別府竹細工の展示・販売をしています。かわいいアクセサリーや籠など、魅力的な作品がたくさんありました。また、職人でもあるオーナーが製作している様子も見られ、「わからないことがあったらなんでも聞いてくださいね」と、細かい作業で大変そうな時でもとても親切にしてくれましたよ。

◆別府竹細工cotake
住所:大分県別府市弓ケ浜町2-28
電話番号:0977-51-4396

公式HP

“まちのミュージアムショップ”がコンセプトの「SELECT BEPPU」

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かわいい猫ちゃんがお出迎え

築100年以上の長屋をリフォームしてできたセレクトショップで、別府の町をひとつの美術館としてとらえ、それに関する商品や情報が集まるミュージアムショップを目指しているそう。店内には竹細工はもちろん、別府をモチーフにしたクラフト商品や工芸品など、手仕事で作られたものが色々並んでいます。商品だけでなく、2階の襖に描かれたエキゾチックな花の絵も見どころのひとつなのでぜひチェックしてみて。

◆SELECT BEPPU
住所:大分県別府市中央町9-34
電話番号:0977-80-7226

公式HP

おわりに

別府の町は昔ながらの風情ある建物も残りつつ、それらをリノベーションしたギャラリーやスポットなど、歩くだけでもいろんな発見のある楽しい所でした。そして、別府駅から歩いて回れる距離で見るところ、食べるところもたくさんあり、バスも使えばまた違った雰囲気を味わえます。
また、今回のメインであった竹細工については、その歴史・技術・革新に触れて、ますます興味関心が深まったので、再訪したいと思います。

◆この記事を書いたメンバー

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そのさん(3期生)
神戸出身。北海道→京都→兵庫→大阪→茨城→現在、東京在住。旅ナカではおいしいものを探したり、ものをつくる人訪ねたり、その土地ならではの自然に触れるのが好き。カメラも練習中。

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#旅色LIKES #大分県 #別府温泉 #別府市 #竹細工 #クラフト旅 #温泉旅 #ギャラリー巡り

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