三重県出身ライターイチオシ! 清少納言も認めた伊勢神宮ゆかりの榊原温泉へ
現在、大河ドラマに出演中(?)の清少納言が随筆『枕草子』で名泉と謳った3つの温泉地の一つ、三重県津市の榊原温泉に行ってきました。奈良時代には伊勢神宮参拝前に身を清める湯として利用されていた歴史ある温泉地です。現在は、活気ある温泉街や温泉グルメがあるわけではなく、残念ながら決して華やかな観光地とは言い難い場所です。しかし、一度入ったら何度でもリピートしたくなるほど、とても泉質のいいお湯はイチオシ。温泉周辺のパワースポットや近年オープンしたばかりのスポットもあわせて、歴史やものづくりに触れる旅が大好きな、三重県出身の旅色LIKESライター・長月あきがご紹介します。
目次
清少納言ゆかりの温泉地「榊原」とは
三重県の中部に位置する山間ののどかな町「榊原町」は、伊勢神宮にゆかりのある古い歴史をもつ温泉地です。奈良の都から伊勢神宮に向かう通過点にあり、奈良時代から伊勢神宮参拝前に「湯ごり」というお清めの儀式をする場所とされてきました。また「榊原」という地名は、この地に多く自生していた榊を伊勢神宮に献上し、使われるようになったことがそもそもの由来だそう。平安時代、清少納言が随筆『枕草子』で「湯は七栗※の湯、有馬の湯、玉造の湯」と謳ったことから、日本三大名泉の一つといわれています。
榊原温泉は特に秘境というわけではなく、津市の中心部から車で行きやすい場所です。公共交通機関だと最寄り駅の近鉄榊原温泉口駅からタクシーか、近鉄久居(ひさい)駅から路線バスでアクセスします。宿泊施設によっては榊原温泉口駅からの送迎バスもあるそう。
※七栗:現在の榊原のこと(諸説有)。
2022年にリニューアル! 榊原散策の前に「榊原温泉 湯の瀬 ラムちゃんパーク」へ
温泉に入る前に、少し町中を散策しようと市営の温泉施設「榊原温泉 湯の瀬 ラムちゃんパーク」へ。2022年8月28日にリニューアルしたこの施設は温泉だけでなく、高齢者や障がい者の方が安心して旅を楽しめる福祉旅館、ラム×地元食材をテーマにしたレストラン、バーベキュー場、キャンプサイトもあり、どんな人でも“ラム&ピース”になれる施設なのだとか。中には観光案内所があり、周辺の観光マップがもらえます。お土産店もあるので旅のはじめに、立ち寄ってみてはいかがでしょう。
◆榊原温泉 湯の瀬 ラムちゃんパーク
住所:三重県津市榊原町6103番地
電話番号:059-252-1313
営業時間:各施設により異なる
料金:各施設により異なる
縁結びのパワースポット「射山(いやま)神社」で恋愛祈願
「温泉の神」として古くから祀られている射山神社は大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)が祀られています。大己貴命は、縁結びの神さまで有名な出雲大社の大国主命(おおくにぬしのみこと)の別名で、大国主命が福袋と小槌をもって現れたのが大黒様です。境内には大黒様が打ち出の小槌を持った石像もあり、この小槌に手を触れながら願い事をすれば恋愛運がアップすると言われています。
また、神社の前には「長命水」という湧き水があります。かつて、都から伊勢神宮に遣わされた斎王(※)が、山一帯に茂る榊の枝をこの湧水に浸し、伊勢神宮に献上したとされています。
※斎王:天皇に代わって伊勢神宮の天照大神に仕えるために選ばれた、未婚の皇族女性のこと。
◆射山神社
住所:三重県津市榊原町5073
榊原温泉水を使用したナチュラルコスメショップ「美肌温泉コスメショップ - SAKURA -」
「榊原温泉 湯の瀬 ラムちゃんパーク」から車ですぐのところにある「美肌温泉コスメショップ - SAKURA -」。榊原温泉水をベースにした化粧品の製造工場の入り口にある直売所です。ネット販売もしているそうですが、こちらの店舗では工場直売価格で購入できるのでネットよりも安いんです。榊原温泉水に天然の植物エキスなどを加えて、よりナチュラルで肌に優しい商品づくりをしているのだとか。わたしは敏感肌で化粧水によっては肌に付けるとピリッとすることがあるのですが、サンプルを付けてみると特に問題なし。しっとりタイプの大きいボトルを購入し、いまも自宅で使っています。サンプルでいただいた石けんがしっとりして、いい感じです。
◆美肌温泉コスメショップ - SAKURA -
住所:三重県津市榊原町字的場5903-5
電話番号:059-261-6277
営業時間:月~金曜日9:00~17:30、土・日・祝日9:00~17:00 ※臨時休業有(公式Instagramを要確認)
温泉水で作るドリンクが飲めるおしゃれなカフェ「call me cafe」
榊原温泉の温泉水を使ったカフェメニューが揃うお店「call me cafe」。2022年6月18日にオープンしたおしゃれなインテリアのカフェです。温泉水で淹れたコーヒーや紅茶、榊原温泉水ソーダなどのドリンクメニューがいただけます。また、焼き肉バーガーやホットドッグ、スイーツなどのフードメニューも。店内は全7席とコンパクトながら、カウンター席やテーブル席のほか居心地のよさそうなソファー席までバリエーション豊かです。わたしは一人だったので、外の見えるカウンターで榊原温泉水ソーダとシュークリームをいただきました。温泉水ソーダといっても、全く癖のない飲みやすいソーダ水でしたよ。シュークリームが予想以上においしく、他のドリンクメニューも気になったので再訪したいカフェです。
◆call me cafe
住所:三重県津市榊原町5927
電話番号: 070-8526-8287
営業時間:8:00~17:00
定休日:火曜日
源泉かけ流しの日帰り温泉「湯元榊原舘 湯の庄」
「湯元榊原舘 湯の庄」は旅館・湯元榊原舘の別館で、日帰り温泉施設です。榊原温泉内で唯一、館内と敷地内に自家源泉を持っていて、清少納言が『枕草子』で謳った湯を思う存分楽しめます。2003年には「源泉かけ流しの宿」として日本温泉遺産を守る会にも認定されました。露天風呂付きの大浴場が2つあり、男女日替わりで利用できます。大浴場には源泉かけ流し風呂と源泉を加熱したお風呂、露天風呂の3種類が。源泉の温度が31.2度と、入ると冷たく感じるほどのぬるめのお湯のため、3つのお風呂を交互に入っていても、のぼせることなくゆっくり入れるのが嬉しいところ。
お湯に入ってすぐ実感できるほどとろとろでまろやかなお湯は、まるで化粧水や美容液に入っているかのよう! 刺激の少ない優しいお湯です。モニター調査の結果、榊原温泉には頬の水分量を増やすアンチエイジング効果、しわ等を防ぐ皮膚の還元作用、活性酸素の減少効果などがあるとわかっています。温泉街や温泉グルメがなくても、このとろんとした泉質を求めて、榊原にいきたくなります。
◆湯元榊原舘 湯の庄
住所:三重県津市榊原町5970
電話番号:059-252-0206
営業時間:9:00~20:00 ※最終受付19:00、滞在利用時間は2時間まで
定休日:不定休
料金:大人1,000円、小人500円 ※大浴場のみ、その他料金有
華やかさはないけれど、何度でも訪れたくなる温泉です!
冒頭に書いたように、榊原温泉には温泉グルメや街歩きを楽しめるような温泉街はありません。近年、コスメショップやカフェができているとはいえ、周辺散策すると、のどかな里山の中に廃業した宿泊施設の建物が目につきますし、「寂れた温泉地」という印象を持たれるかもしれません。しかし、温泉の泉質の良さは知れわたっており、週末になれば日帰り温泉の駐車場は近隣の方はもちろん、遠方からの温泉ファンで結構混みあっています。わたしも近ければアンチエイジングのために毎週入りたい! と思うくらいです。今年は野外テントサウナ施設もできたようで、サウナ好きな方なら温泉と併せて楽しめそうです。大河ドラマに登場する清少納言ゆかりの地を聖地巡礼する方は、ぜひ三重県にも足を延ばして、清少納言が推す榊原温泉のお湯の良さを、楽しんでみてくださいね。