「さすが」と思わせるランチの店、教えます。“かましランチ”in 渋谷 渋め編
90年代に「渋谷系」というカルチャーを生み出し、長く若者のまちとして賑わってきた渋谷。大人は近寄りづらい……そう思っていませんか? いやいや、そんなことはありません。100年に一度と言われる大規模な再開発が進み、サクラステージなどの商業施設がオープンする一方、100年以上続く老舗店や古き良き街並みが残っている渋谷は、酸いも甘いも経験してきた大人こそ楽しめるまち。そんな渋谷に勤務する『旅色』のスタッフに、一緒に行くと「こんなお店を知っているなんて、さすが!」と自分の印象さえも格上げしてくれるちょっといいお店、通称「かましランチ」ができるお店を教えてもらいました。
目次
エグゼクティブプロデューサーが推す「安定のクオリティが約束された本格中華」
渋谷に勤めて26年。もう、この辺一帯のこと語らせたら止まらないよ、というほど渋谷の歴史や思い出と共に歩んできた自負があるエグゼクティブプロデューサー・イノウエの“かましランチ”は、中国料理レストラン「南国酒家」旗艦店の原宿本店。原宿駅・明治神宮前駅より徒歩すぐの場所にあり、「日本(にっぽん)の、美味しい中国料理」をテーマに、広東料理をベースにした伝統的な味に司厨長の新しくクリエイティブな感性を加えた、オリジナリティ溢れる中華料理が味わえます。
かましポイント1 広東料理が広まるきっかけとなった中国料理店
南国酒家は1961年に渋谷区桜丘町で開業し、実は、当時めずらしかった広東料理が広まるきっかけとなった中国料理店。私の行きつけはもともと渋谷桜丘店のほうで、会社が近かったのもあり入社当時から、ちょっとしたご褒美だったり、イベントごとだったり、会食で利用したりと、たびたび利用させてもらっていました。まさに、私が勤務する会社の歴史と一緒に過ごしてきた店なんです。ここの逸話でいうと、酢豚にはじめてパイナップルを入れたのは「南国酒家」(ドヤ顔)。2011年に原宿店と統合したので、今は原宿店に食べに行っていて。思い出の店でもあるし、こんな風にドヤ顔で店に関してのネタも話せるし、「かましランチ」にうってつけです(笑)。
かましポイント2 リッチだけどリーズナブル
THE高級中華は言わずもがな、高級でおいしいところはたくさんあるけれど、「南国酒家」はまさに“リッチだけどリーズナブル”なんですよね。見た目はリッチ、入ったらまず豪華な店構えに少し背筋がシャンとしますが、レトロな雰囲気もあるので緊張しすぎない。メニューは全方位型でたくさんあるし、高くてもそこまで信じられないほど高いってわけではない。居心地のいい気分で、ちゃんとした中華を食べられる感じがいいんです。さらに、どのシーンでも使えるのがまたいい。部下とランチに来てサクッと1品食べるのもありですし、家族で好きなものをたくさん頼んでゆっくり過ごすのもあり、会食でコースにするのもありなので、どのシーンにもちょうど良いんです。
私のおすすめは、「担々麺(四川風辛味そば)」と「チャーシュー入り中華まん」。年に3~4回は行っているけれど、無性にこのメニューが食べたくなることがあります。「担々麺(四川風辛味そば)」はたっぷりと胡麻の入った濃厚なスープでコクがあり、麺にしっかりと絡んで本当においしい。「チャーシュー入り中華まん」は、南国酒家オリジナルのタレに一晩漬け込んで焼き上げたチャーシューがたっぷり入っていて、ほんのり甘く、ふかふかの生地にやみつきになります。
グルメなディレクターが推す「旨い!が絶対に引き出せる魅惑の油そば」
旅と食のグルメスタイルマガジン『タベサキ』の編集長も務めるコンテンツディレクター・アベは、グルメにはかなりのこだわりあり。いくつか「かましランチ」の候補があるものの、ひと癖あるほうがいっか……とポツリとつぶやきながら教えてくれたのは、渋谷駅南口から徒歩約2分の場所にある油そば専門店「辛味噌油そば 鬼に金棒」でした。
かましポイント1 辛さと痺れのレベルを5段階で選べる
特製ラー油と山椒が効いた刺激的な油そばが味わえる「辛味噌油そば 鬼に金棒」は、辛さ&痺れを5段階から選べます。「Level1 戦意喪失」「Level2 一歩前進」「Level3 油断大敵」「Level4 一心不乱」「Level5 灼熱地獄」と分けられていて、Level5をクリアした者のみが、その上の「ジョロキアX」「アフターDEATH」に挑戦できるんです。ちなみに僕はもう挑戦権、もってます(胸を張る)。辛い物好きといえど、ものすごく得意! というわけではないので、食べていると辛いは辛いんですが……入店と共にLevel5を注文して、辛さを微塵も感じさせずに食べ切るのが僕流のかましです。
かましポイント2 しっかりと旨い。辛いものにハマるきっかけになり得る
ここには、ただ辛さと痺れを求めに来ているわけではありません。味も文句ナシ。そこが「かましランチ」に選んだ理由でもあります。もっちりとした平麺がスパイシーで深みのある辛味噌のタレによく絡み、たまに顔を出す水菜の食感もいい。干しエビの風味がまたおもしろくて、最後まで飽きずに食べられます。ちなみに食べはじめはそこまで辛さを感じないのでどんどん食べ進められますが、気付いたら汗をかいていることに気付きます。食べ終わったあとの達成感も気持ちよくて、次はもう1段階辛いのを食べてみようかな、と思うくらい。辛いものが苦手な人も、辛い物がハマるきっかけになるくらい旨いのでぜひ一度足を運んでみてください(一緒に食べに行っていた編集部のホソブチは辛い物が苦手ですが、帰りしなに、もう一回行きたい!と言っていたほど)。
「かます」はすなわち、「もてなし」
接待とはいわないまでも、ちょっといいランチや食事にお誘いするときのお店選びは緊張しますが、今回ご紹介した渋いお店はきっと役立つはずです。いいお店にいざなった自分の株もあげつつ、そのお店にまつわるストーリーを話しながら「渋谷って、そうなんだ!」と、渋谷のランチをより思い出深いものに彩ってみせましょう。「かましランチ」にぴったりなお店は、まだまだ渋谷に潜んでいるはず。『月刊旅色2024年4月号』では、奥深い渋谷エリアを詳しく特集しているので、ぜひ参考にして訪れてみてください。