【長野・小川村】おやきの故郷、「小川の庄おやき村」で縄文おやき作り体験をしよう!

長野県を旅していると、あちこちで見かける「おやき」の誘惑に負けてしまいます。おやきは、長野を代表する郷土料理で、小麦粉と水で作った生地に、野菜やあんこなどの具材をたっぷり包み込んで焼き上げた、おまんじゅうのような食べ物。一口かじると、口いっぱいに広がる、ほっくりとした食感が心を満たしてくれます。今回は、長野県在住のLIKESライター/トラベルコンシェルジュであるみっちゃんが、おやきの故郷として知られる小川村を訪れ、「小川の庄 おやき村」で伝統的な「縄文おやき作り」に挑戦しました。長野県ならではの素敵な思い出作りにぴったりな体験です。ぜひ、長野のおいしいおやきと伝統の味に触れてみてください。
目次
長野の郷土料理「おやき」って、どんな食べ物?
長野県は、美しい山々が育む独自の食文化が息づいています。その代表格が「おやき」。小麦や雑穀の粉を水で練り、調理済みの野菜やあんこなどを包んで焼き上げた、見た目はおまんじゅうに似た食べ物です。

現在も家庭で作ることもあり、県内全域のいたるところで販売されています。
具材は、定番の野沢菜、きりぼし大根、かぼちゃ、粒あん。季節の移ろいとともに、春にはふきの味噌やこごみなどの山菜、夏にはジューシーなナスやトマトが登場。秋には香り高い栗あん、冬には肉厚の舞茸など、旬の食材を楽しめるのも魅力のひとつです。

ハレ食でもあり、日常食としても食べられています。
おやきの歴史は古く、さかのぼること縄文時代中期。長野市の西側に位置する小川村の筏ヶ原遺跡(いかだがはらいせき)から、雑穀の粉を練って焼いた跡が発見されました。これがおやきのルーツと考えられています。
この地域は、急な斜面と寒冷な気候が特徴で、米作りには不向きでした。代わりに栽培された小麦を利用して、おやきが生まれ、発展したのだそう。

「ふるさと信州風景100選」に選定されている小川村の里山風景。
その後、観光資源として価値が高まるにつれて県内全域に広まり、県を代表する郷土料理として広く親しまれています。現在では、「蒸す」「焼く」「焼いて蒸す」「蒸して焼く」などの調理方法が用いられ、バリエーションは様々です。
山里にひっそりと佇む「小川の庄 おやき村」へ
今回訪れたのは、「小川の庄(おがわのしょう)おやき村」。県道36号線から案内看板を頼りに村道へ入り、くねくねと山道を進みます。車のすれ違いがやっとできるほどの細い道を抜けると、眼下に農村の景色が広がる隠れ家のような「おやき村」が見えてきました。
食事処やお土産売り場のほかに、「囲炉裏の館」と呼ばれる竪穴式住居を模した建物があります。歴史を感じる古代に思いを馳せて作られた空間で体験できるのが「おやき作り」。

囲炉裏で焼いたおやきを提供しています。具材は日替わりで3種類。
建物内の中心には、部屋全体を暖かく照らす大きな囲炉裏があり、力強い存在感が人々を魅了します。炎がゆらめく囲炉裏の周りでは、昔ながらの方法でおやきを作る一連の流れの見学が可能です。こんがりと焼きあがったおやきの表面、熱気とともに漂うその芳ばしい香りが全体に広がり、訪れた人々に温もりとともに懐かしさを感じさせるでしょう。
具材の風味をぎゅっと! 手作りの温もりを感じる、おやき作り体験
おやき作りに挑戦する時間がやってきました! 具材は、定番の野沢菜とあずきを1個ずつ。おやき村で長年経験を積んだ職人さんや地域のお母さんが教えてくれるので、初めての方でも安心して楽しめます。

手にくっつかないよう粉をつけながら広げます。
まずは、中力粉と水、塩、少しの砂糖をこねた生地を丸く広げます。生地は事前に用意されており、手につかないように適量の粉を振りながら広げるのがコツです。
具材の野沢菜は細かく刻んで炒められ、さらに味噌で絶妙に味付けされています。広げた生地の上に、たっぷりとのせて包んでいきます。

口の部分が薄くならないように注意しましょう。
次に、生地を指でつまみながら口を閉じていきます。具があふれないように、生地が破れないように、丁寧に包んでいくのがポイントです。

完成です!
最後に両手でやさしく丸めて、形を整えます。一連の包む工程は、手作りの温もりと楽しさを実感できる特別な瞬間です。
囲炉裏で焼くと香ばしい! 焼き方とその秘密
ふっくらと具を包んだおやきは、まだ柔らかい生地の状態です。まず、囲炉裏に吊るされた「ほうろく」という平たい鍋で表面を焼き固めます。このステップがおやきの形を保ち、おいしさを閉じ込める鍵となります。
熱々のほうろくの上で熟練の職人さんによって慎重に約10分間焼かれます。何度かひっくり返しながら均等に焼き色をつけていきました。おやきの外側はカリッと仕上がり、中はまだ柔らかく保たれます。

次に、おやきを「渡し」と呼ばれる台に移し、更に10分間、熾火(おきび)の熱でじっくり内部まで火を通します。この時間が、おやきの風味を引き出すための重要な工程です。
体験開始から焼き上がりまでは、約30〜40分。その間、お味噌汁やお新香をいただきながら、休憩することができます。おやきを通じて、地元の人とおしゃべりする時間も旅の素敵な思い出となります。

商品並みのクオリティに仕上がりました。
ついに、香ばしくてふっくらとしたおやきが完成。焼きたてのその一口は、きっと待ち遠しいものになるでしょう。

開放感あるテラス席もオススメです
おやき作り体験は、「事前予約制」となります。電話で必ず予約をして下さい。
◆おやき村(長野県小川村)
住所:長野県上水内郡小川村高府6937
電話:026-269-3767
営業時間:9:00~17:00、囲炉裏10:00~15:00、おやき作り体験10:30~14:00
定休日:月曜日(祝日は営業、翌日休み)
駐車場:あり ※店舗前のスペースにも駐車可能
料金:おやき体験 1,200円(野沢菜・あずき各1個ずつ)

善光寺近くの「おやき村 大門店」でも体験ができます
どうしても小川村まで足を延ばせないという場合は、長野市・善光寺大門の「おやき村 大門店」でもおやき作り体験ができます!
◆おやき村 大門店(長野市)
住所:長野県上水内郡小川村高府6937
電話:026-232-5786
営業時間:9:00~17:00、囲炉裏10:00~15:00、おやき作り体験10:30~14:00
定休日:水曜日(祝日は営業、翌日休み)
駐車場:あり ※表参道もんぜん駐車場
料金:おやき体験 1,200円(野沢菜・あずき各1個ずつ)
郷土料理「おやき」を知れば、長野がもっと楽しくなる!
「プロ並みの仕上がりですね」と店員さんのひとこと。はじめは、お世辞かなと思っていましたが、名人のおやきと比べてみると、見分けがつかないほど。ひょっとしたら、私にはおやき作りの才能があるかもしれません(笑)。

自分で作ったおやきの味は格別です
焼きたての生地がパリッと香ばしく、その味わいを楽しめるのは、おやき作り体験ならではです。私自身、子供の頃から慣れ親しんできたおやきですが、自分で作るとまた違った楽しさがありました。長野県ではいろいろなおやきを味わうことができますが、「小川の庄 おやき村」での体験は一味違います。地元の食文化にふれることで、おやきの深い味わいだけでなく、その作り手の情熱も感じることができるでしょう。長野旅行の素敵な思い出作りに、おやきのストーリーを加えてみてはいかがでしょうか?
多くの旅が実現しますように!