スカイツリーが見える銭湯

朝風呂が好きです。朝の澄んだ空気の中で入る露天風呂が本当に最高なんですよね。

まず一軒目にやってきたのは、押上駅の近くにある「大黒湯」。1949年創業で、なんだか懐かしい雰囲気が漂います。富士山の銭湯絵は見ものですよ。

のれんをくぐって、券売機で入浴券を購入して中へ。昼の15時から翌朝10時まで営業しているので、朝風呂にぴったりなんです。日本で初めてオールナイト営業を始めたところなんだそう。

ジェットバスや日替わりの薬湯などいくつか湯がありますが、私の好きな過ごし方は、まずぬるめの炭酸湯にじっくりと浸かること。そのあと少し熱めの薬湯に入り、露天風呂に行って、心地よい風にあたりながらゆったり過ごします。これがほんと最高なんですよね～。しかも日本庭園のような大露天風呂からは、なんとスカイツリーを眺めることも出来るんです！ 大露天風呂は奇数日・偶数日で男女が入れ替わるので、訪れる前に事前にチェックしてみてください。

フロントの冷蔵庫にビールが冷えているので、早速一杯……といきたいところですが、湯上がりにはやっぱりこれもいいですよね。

瓶の牛乳！ いかにも銭湯って感じで好きだなぁ。ポカポカに温まった体で腰に手を当て、足を軽く開いてキューっと飲み干します。うーん、うまいっ！ ここではビールを飲みたい気持ちをぐっと抑えて、まずは喉慣らし。我慢をするのもビールのための準備運動なんです。

お土産に、可愛いステッカーをいただきました。限定のグッズを集めるのも楽しいです。

◆大黒湯
住所：東京都墨田区横川3-12-14
電話番号：03-3622-6698
営業時間：15:00～翌10:00、土曜日14:00～翌10:00、日・祝日13:00～翌10:00
定休日：火曜日※祝日の場合は営業、翌水曜日が休み

姉妹店へはしごがお決まりコース

2軒目へ“はしご銭湯”をするのが、私のお決まり。大黒湯から徒歩約5分の「黄金湯」へ移動します。黄金湯は大黒湯の姉妹店で、1932年から続く老舗。2020年にフルリニューアルしました。

コンクリート打ちっぱなしの店構えがシンプルでかっこいい。一番のリニューアルポイントは、なんといってもビアバーの設置！

ガラス戸をガラガラと引くと、すぐにビアバー併設の番台が顔を覗かせます。あぁー、早く飲みたいーーーー！ 心を落ち着かせて、まずはお風呂、お風呂。

黄金湯での楽しみは、こだわりのサウナ。心地よいアロマの香りに包まれながらしっかりと汗を流します。しばらくサウナでゆっくりしていると手足の指先、唇、耳、体の末端が温まってじんじんとしてきました。タオルを被って顔をガードしていても、吐く息まで熱い。熱気で頭がぼーっとしてきます……もう限界！ と、火照った体を冷やすために水風呂へ。入る瞬間はいつも緊張してしまいますが、躊躇せずに一気に肩まで浸かるのが大事。ドキドキ、ザプン。くぅー、冷たい！！ 我慢してじっと耐えていると体の表面に一枚の膜が張ったような状態になるんです。こうなればもう大丈夫。冷たさに慣れ、じんわりと温かさを感じて無の境地へ。もうここから動きたくない、とさえ思います。

水風呂から上がったら、椅子に座ってしばし休憩を。静かに目を閉じて呼吸を整え、再びサウナへ。サウナ→水風呂→休憩を3回ほど繰り返すと、熱さと冷たさにも慣れて頭がスッキリとしてくるのがわかりますよ。あぁ、気持ちいい。

…………完全に、ととのいました。

体が心地よくととのったところで、お楽しみのビールターーーイム♪

銭湯の時間は、すべてがこの瞬間のためだといっても過言ではありません。ビールってこんなに輝いていたっけ？ 神々しい……。生唾をごくりと飲み込み、いよいよ待ちに待った銭湯上がりのビールです。乾杯！

ゴクッゴクッゴクッ、ぷっはぁーーー

くぅー、生き返る～。黄金色に光り輝くビールは黄金湯のオリジナルビールで、定番のペールエールです。フルーティーな香りと味わいですっきりと飲みやすく、湯上りにぴったり。冷たい液体が体中を一気に駆け巡っていく感覚がたまりません。おつまみには、パリポリと歯触りのいいきゅうり漬けを選びました。館内ではレコードからBGMが流れていて、湯上りビールタイムをより素敵な時間へと演出してくれます。

◆黄金湯
住所：東京都墨田区太平4丁目14−6 金澤マンション1F
電話番号：03-3622-5009
営業時間：10:00～24:30、土曜日15:00～24:30
定休日：第2、4月曜日
※水曜日のみ男女入れ替え日

ビール豆知識「クレオパトラが愛したビール風呂」

ビール風呂に入ったことはありますか？ ドイツやチェコでは一般的で、なんとあのクレオパトラも愛用していた入浴法だそうです。ビールにはビタミンやミネラルが多く含まれていることから、髪や爪のツヤ、肌のハリなど美容効果が期待されているのだとか。これは、試さない手はありませんね。ビールをお風呂に入れるのはもったいない気もしますが、試しに賞味期限切れや飲み残しのビールを入れてみるのはいいかもしれません。また、ビールの温泉に入れる宿もあるみたいですよ。ビールを全身で味わい尽くせるなんて、ビールをまるごと愛している私にとっては至福……☆ ぜひ入ってみたいです！

銭湯より狭くて自分ちより広い、隠れ家おフロ

ちょっとひと休みして酔いを醒まし、3軒目へ。やってきたのは代々木上原の銭湯「BathHaus（バスハウス）」です。

代々木公園の近くにあるので、ランニング前に寄って荷物を預け、走ったあとに汗を流しにくる人も多いみたいです。近所にあったら通いたくなっちゃいますね。

ビルの一角にあります。一見銭湯とは気が付かずに通り過ぎてしまいそうです。実際に私も、美容院だと思って素通りしてしまいました（笑）。

入口にどどん！ と掛けられている温泉ののれんを目印に行ってみてください。

中は、ぱっと見お洒落なビアバー。メインにビアバーがあって、奥に銭湯がある造りになっています。のれんの先にはロッカー6台に、洗い場は3箇所という小さめの銭湯が。旅館の貸切風呂くらいの規模感です。入浴しながら好きな音楽が聴けたり、好みの照明に変えられたり、シャンプーなどのアメニティが充実していたりと嬉しいサービスがたくさん。お風呂とビアバーの間の小さな休憩スペースには漫画コーナーもありました。どの空間も居心地がよくて、のんびりと時間が流れていきます。

今日のオンタップはこちら。オンタップとは樽に繋がっているビール、つまり今飲める樽生ビールのことです。5種類の樽生に加え、瓶や缶のビールも多数取り揃えてあります。銭湯とは思えないラインナップ！

4番の「Slow Motion」を頼みました。CBDのビールは、大麻から採れるカンナジビオールという成分を使ったビール。リラックス効果があり、近年世界で注目されているんだそうです。もちろん、合法ですよ。柑橘系のさわやかな香りに軽い飲み口。苦みが心地よくてスイスイいける飲みやすいビールです。お風呂とCBDでリラックス効果も抜群。

ぐぅ～きゅるるる。おなかの虫が鳴き出したので、おつまみも頼むことに。カレーにガパオライスにローストポークに……フードメニューも充実していて迷っちゃうなぁ。

バインミーを注文しました。香ばしく焼き上げられたパンに挟まれているチキンは、肉厚でプリプリ。

かぶりつくと、ジューシーな肉汁が口の中にあふれ出します。シャキッと歯ごたえのいいピクルスの酸味がアクセントになって、さわやかで飽きない。 ボリューミーなのにいくらでも食べられちゃいそうです。すかさずビールを流し込めば、口の中で見事なマリアージュの完成！ チキンの甘辛いタレとビールの苦みが絶妙にマッチしています。

くぅ～。たまらん……

くぅ～。たまらん……

お風呂上がりのおいしいものとビール、日頃の疲れが一気に吹き飛んでいきました。

◆BathHaus
住所：東京都渋谷区西原1丁目50-8 グランドストーリー代々木上原1F
電話番号：080-6694-6529
営業時間：15:00～21:00、土・日・祝日9:00～21:00
定休日：不定休

クラフトビール×銭湯＝究極のリラックス

銭湯だけでも十分に楽しめますが、そこにクラフトビールとサウナを掛け合わせたらこの上ないリラックスタイムを手に入れることができました。いやぁ、銭湯をこんなに満喫できるって日本ならではの贅沢ですよね（しみじみ）。

そうそう、日本らしいといえば黄金湯でこんなことがありました。“あつ湯”という高温の湯に入ろうとしたのですが、熱すぎてつま先だけ入れてひるんでしまいました。すると先に浸かっていたご年配のおねえさまが、「大丈夫、ひと思いに肩まで浸かっちゃえば慣れてくるから」と、ひと言。言われたとおりにやってみましたが、1分ももたずにすぐに逃げ出してしまいました。そんな姿を見てケラケラと笑うご婦人。私もまだまだですね。そんなやりとりもまた、銭湯の好きなところです。知らない人とお湯の中で触れ合い、お風呂上がりにはすっかり意気投合して乾杯。改めて日本の文化っていいな、と思う旅になりました。

それではまた次のビール旅でお会いしましょう！ 今度はどんな出会いがあるかなぁ～