愛媛県の人気観光列車「伊予灘ものがたり」で瀬戸の海を望む極上の鉄道旅を

愛媛県

2022.10.20

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愛媛県の人気観光列車「伊予灘ものがたり」で瀬戸の海を望む極上の鉄道旅を

愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かける私は、こよなく愛する鉄道を使い、温泉や絶景巡りをしています。鉄道旅を通して見つけた魅力をお伝えします。今回は愛媛県で人気の観光列車「伊予灘ものがたり」に乗りワンランク上の鉄道の旅を楽しんできました。

目次

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伊予路を走る人気観光列車

1号車:伊予灘を染めてゆく夕焼け空をイメージした「茜の章」

それでは列車をご案内しましょう。

2号車:太陽と愛媛のみかんをイメージした「黄金の章」

3号車:特別なプライベート空間が広がる「陽華(はるか)の章」

伊予灘を眺めながら豪華な食事を愉しむ

日本一海に近い絶景の駅「下灘駅」

「伊予灘ものがたり」はどこでも大歓迎!

終点「伊予大洲駅」に向けてラストスパート

伊予路を走る人気観光列車

四国一周の旅に出かけた私は愛媛県の松山にやってきました。あいにくの曇り空ですが雨は降らず何とか持ちこたえています。

三角屋根の松山駅。高架化工事が進められています。

三角屋根の松山駅。高架化工事が進められています。

今回、松山を訪ねたのはこの4月にデビューした観光列車「伊予灘ものがたり」に乗車するためです。日によってはかなり競争倍率の高い人気列車で、1ヵ月前に駅で残り少ない座席のゲットになんとか成功。この日が来るのを楽しみにしていました。

LED表示にエンブレムも表示。特別感が感じられます。

LED表示にエンブレムも表示。特別感が感じられます。

「伊予灘ものがたり」は2014年に運転を開始しました。愛媛県の松山駅と西部の伊予大洲(いよおおず)駅、八幡浜(やわたはま)駅を風光明媚な伊予灘沿いを経由して結んでいます。初代は普通列車でしたが、現在の2代目がデビューとともに特急列車に格上げ、全車グリーン車の豪華な旅を楽しめる列車に生まれ変わりました。

今回私が乗るのは松山駅から伊予大洲駅を結ぶ「大洲編」。他に反対方向に走る「双海(ふたみ)編」、松山駅~八幡浜駅を結ぶ「八幡浜編」、その反対方向に走る「道後編」と1日に4つの「旅(ものがたり)」がそれぞれ違った旅を演出してくれます。

松山のアマチュアシンガーソングライターcaor:n(かおりん)さんが歌う軽快な「伊予灘ものがたりの歌」が流れる中、いよいよ本日の主役「伊予灘ものがたり」の登場です。夕日をイメージした赤が鮮やかで特別感を与えます。列車は3両編成で1号車はこのような赤色ですが、2号車は赤と黄色のツートンカラー、3号車は黄色になっています。

1号車:伊予灘を染めてゆく夕焼け空をイメージした「茜の章」

それでは列車をご案内しましょう。

レトロモダンな雰囲気の漂う大人の空間。

きのこやハロウィンの小物が季節を演出してくれます。

1人掛席から4人掛席までバリエーション豊富でニーズに合った席を選べます。ワイドビューな窓で伊予灘を存分に楽しめます。

2号車:太陽と愛媛のみかんをイメージした「黄金の章」

サンセットを模したエンブレムが大きく描かれています。

オーシャンビューを存分に楽しめるカウンター型のシート。

愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」も海を眺めています。

四国を代表する焼き物、砥部焼の洗面台も用意されています。

1人掛、2人掛の座席で構成されていて静かに落ち着いた旅が楽しめます。インテリアの配色が茜の章よりやや明るいです。

3号車:特別なプライベート空間が広がる「陽華(はるか)の章」

2~8人まで楽しめる完全プライベート空間。通常の乗車券・特急券・グリーン券のほかに28,000円の室料で利用できます。親しい人との思い出作りに最高です。この車両は予約した乗客以外立ち入ることはできません。ぜひチケットをゲットして極上の空間を確かめてみてください。

伊予灘を眺めながら豪華な食事を愉しむ

8:26 松山駅の駅員やスタッフのみなさんに見送られ列車は伊予灘に向けて出発します。私はこの「大洲編」でしか食べることのできない朝食を予約していました。「伊予灘ものがたり」ではそれぞれに異なる趣向を凝らした食事が提供されます。メニューは一定期間で変わり、9~10月は松山にあるヨーヨーキッチン! の「朝のひとときを味わう旬彩モーニング」を楽しめます。豪華な朝食は1人3,000円です。事前に食事予約券を購入する必要があります。購入の際は瀬戸内旅行アプリ「setowa」での予約が便利です。

とても上品なお弁当が木のお盆で提供されます。

どれもこれもおいしそうで思わず接写してしまいます。

伊予いも豚も柔らかくて口の中で溶けるよう!

朝からこんな贅沢していいのだろうか……。そんな罪悪感さえ感じながらも一口一口味わい尽くします。鮭や栗、パンプキンポタージュなど秋の味覚をふんだんに使っていて季節の味わいも豊かです。

朝食だけでも十分満足なのですが、せっかくの機会なので伊予灘サンセットティー(800円)を追加オーダー。伊予灘に沈む真っ赤な夕陽をイメージしたフルーツティーは、フローズンフルーツが口の中でとろける逸品。

伊予市駅を過ぎると列車は海沿い「伊予灘」の間近を走ります。伊予市駅から伊予大洲駅の間は「愛ある伊予灘線」という愛称があります。その名の通り、青く輝く伊予灘を望むことができる全国屈指の絶景区間です。そんな美しい海に沿うように列車は走り、この沿線のハイライト下灘(しもなだ)駅に停車します。

日本一海に近い絶景の駅「下灘駅」

曇っていても海をバックに無人駅に停まっている赤い列車はとても映えます。

曇っていても海をバックに無人駅に停まっている赤い列車はとても映えます。

下灘駅では10分停車。国道を挟んで向こうがすぐ伊予灘。日本で一番海に近い駅として有名です。このベンチとその上に懸かる屋根が旅情を誘うことから青春18きっぷのポスターに何度も起用され有名に。車でこの駅を訪ねる人も多く、とても賑やかです。

アテンダントが記念写真を撮ってくれます。掛け声は「はい、チーズ」ではなく「はい、い~よ!」。何だかほほえましく、いい笑顔が撮れそうです。

昨年4月に訪問した際撮影した下灘駅です。

駅を抜けると青い海!

シルエットになった下灘駅もまたGood。

曇っていても心に残るいい景色なのですが、晴れた日に行くとよりきれいです。私もあまりの美しさに思わずこの景色をアイコンとして使っています。

ここから見る夕日は鉄道風景の中でも屈指の絶景。「道後編」なら17時ごろ下灘駅に到着するため、ちょうどここで夕陽が沈む様子を楽しむことができます。次は、日の入り時刻に合わせたタイミングに来てみたいですね。

ちなみに下灘駅や当駅のある伊予市については、旅色FOCALでもご紹介しています。

旅色FO-CAL伊予市

車内に戻るとコップにラップがかけてありました。風景を見に行くために飲みかけのまま下車する人が多いのですが、戻るまでにホコリがかぶらないようアテンダントがラップをかけてくれていたのです。こういった小さな心遣いがうれしいです。

「伊予灘ものがたり」はどこでも大歓迎!

下灘駅を発車。駅や沿線では多くの地元の方が手を振ったり旗を振ってくれたりそれぞれのおもてなしで見送ってくれます。

一般の市民の方がこの歓迎! 「だんだん」は「ありがとう」の意味です。

吾郎駅では名物「たぬき駅長」がお出迎え。

これまでいろんな観光列車に乗りましたがここまでの歓迎を受けたのは初めてです。それだけ地元の方がこの列車を愛し、沿線を活気づかせてくれている証なのでしょう。

終点「伊予大洲駅」に向けてラストスパート

伊予長浜駅を過ぎると列車は内陸に進路を変えます。この地域を流れる大きな肱川(ひじかわ)は白い霧を伴った「肱川あらし」という強風が吹くことで有名です。この川に沿って走っていけば終点伊予大洲駅はすぐ。

3号車側から見える顔は黄色。

3号車側から見える顔は黄色。

10:18 伊予大洲駅に到着で2時間の列車の旅は幕を下ろしました。

下車後、大洲城のもと栄えた城下町を散策しに出かける人も多くいました。

下車後、大洲城のもと栄えた城下町を散策しに出かける人も多くいました。

豪華な内装につつまれた極上の空間で青い海を見ながら食事をしてゆったりと過ごす列車の旅。いつまでも乗り続けたくなります。ご友人やご家族との思い出に、ぜひ一度「伊予灘ものがたり」の旅に出てみてはいかがでしょうか。

◆観光列車 「伊予灘ものがたり」
大洲編:松山駅~伊予大洲駅
双海編:伊予大洲駅~松山駅
八幡浜編:松山駅~八幡浜駅
道後編:八幡浜駅~松山駅
運行日:毎週土日祝日 ※時期によっては金曜日も運転。詳しくは公式ホームページをご確認ください。
※全車グリーン車で乗車券、特急券のほかにグリーン券が必要です。

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#鉄道旅 #愛媛県 #旅色LIKES #観光列車 #瀬戸内

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鉄道旅 なお

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なお

とにかく旅好きで暇さえあればリュックひとつでどこかに出かけています。鉄道をこよなく愛し、時刻表はわたしの愛読書。温泉も大好きなので鉄道を使って温泉巡りする、そんな記事が多いかもしれません。最近は絶景めぐりも旅のポイントにしています。みなさんオススメの絶景情報求む!

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