【東京】さくらトラムで桜撮らん? 都電荒川線で桜巡りイベントレポート

愛読書は時刻表、旅色LIKESライターの鉄道旅担当なおです。3月30日(土)にコミュニティメンバーとして初めてリアルイベントを開催しました。唯一残る都電「荒川線」に乗って桜を巡ったイベントの様子をご紹介します。
目次
旅色LIKESライターなお、初の主催イベント開催!
こんにちは。旅色LIKES鉄道担当のなおです。旅色LIKESメンバーとなって2年半。茨城県水戸市で酒蔵のかたに梅漬け体験を教わったり、大阪府中之島で建築を巡るイベントに参加したり、オンラインではライティング講座を学んだり、さまざまなイベントに参加してきました。そんななか、自分にも何かイベントができないかと考え、今回初めてイベントを主催することに。
たった1両の車両がかわいい。
都電荒川線がさくらトラムという愛称を持つことにちなみ、都電荒川線に乗って花見の名所を巡ろうというツアーです。イベントは例年東京が桜の見頃をむかえる3月30日(土)。11:00~15:30、途中下車して昼食などをはさみながら鉄道の解説と桜の撮影会を実施、総勢13名が参加しました。
都電荒川線のあらまし

都電荒川線は新宿区早稲田から荒川区三ノ輪橋を結ぶ12.2キロメートルの路線で、東京23区の北部、豊島区や北区、荒川区を走ります。1926年に一部区間が開業してすべての区間が開業したのは1930年。100年近くの歴史がある路線です。昭和初期には40路線が走っていた都電ですがモータリゼーション※1 の波に押されて相次いで廃止され、主要路線は地下鉄にかわりました。唯一荒川線だけが現役で走り続けています。
※1 日常生活に自動車が普及すること
専用軌道
荒川線が残ったのは路線の大半が専用軌道を走っており、車の通行の障害にならなかったからです。また23区北部は地下鉄の建設が中心部に比べて遅れ、バス転換するとかえって渋滞に巻き込まれてしまうことも路線存続の味方となりました。
2017年には沿線に桜の名所が数多くあることから「東京さくらトラム」という愛称をつけられましたが、実は路線の東部はばらの名所が多くばらにちなんだネーミングの方がふさわしかったという意見もあったそう。今回は荒川線の愛称どおり「さくらトラム」に乗って桜を見に行くことにします。
桜……桜、どこ?
旅の始まりは、新宿区の面影(おもかげ)橋停留場前。参加者が集合して桜や都電荒川線の写真を撮りながら隣の学習院下停留場まで歩いていきます。ご覧のように天気は快晴。これで桜が満開、いや五分咲きでも咲いていたら最高だったんですが……。
今年は3月に入ってから寒の戻りが長引き桜の開花が遅れました。東京の桜の開花はイベント前日の3月29日。面影橋の桜もちらほら咲き始めたばかりでした。
神田川に咲き誇る満開の桜は取れませんでしたが、目を凝らせば咲き始めた桜を目にすることができます。待ちに待った桜の季節がやってきたことを喜びつつ早咲きの桜をカメラに収めました。
都電撮影に挑む
桜は少なかったですが、このイベントは鉄道イベントでもあります。急カーブは、電車が車や人が通るのを待つために停車するので絶好の撮影ポイントなのです。面影橋停留場から学習院下停留場のカーブで待機します。
参加者の様子
参加者も電車を追って写真を撮っています。普段電車を取り慣れている方もそうでない方も、鉄道写真を楽しそうに撮っていてました。
ちょっと寄り道・東京一の急坂「のぞき坂」見学
学習院下停留場まできましたが、少し寄り道します。一本東に入ったところにある「のぞき坂」は車が走れる道路としては東京一の急坂です。江戸時代、神田川の流れる低地の新宿区側と高台の豊島区側を往来するために造った道路で“上からはのぞかないと下に続く道が見えない”ことから名付けられました。映画「天気の子」のワンシーンでも登場するので聖地として訪ねる人も多いです。
徳川吉宗が築いた江戸の桜の新名所・飛鳥山公園
さて、みなさんと昼食を楽しんだ後、次の目的地に向かいます。この日の都電荒川線は、多くの乗客がいて混雑しておりダイヤが乱れていました。下り線で3台連続電車が来たと思ったら、今度は上り線に連続して3台……といった感じで次々やってきます。停留場は広くないので多くの方が所狭しと並んでいました。見たところ観光客よりも地元の方の利用が多く、都電荒川線が地元の方の足としてしっかり根付いているのがわかります。
飛鳥山停留場
飛鳥山停留場で下車して向かうのは飛鳥山公園。JR王子駅に隣接し、23区北部きっての桜の名所です。
電車は右手奥にある飛鳥山停留場から王寺駅前停留場までの間、一般車両と共用の併用軌道区間を走ります。専用軌道がほとんどの荒川線にあって、本当の路面電車の姿を見せるのはここだけ。道路に架かる歩道橋は絶好のフォトスポットです。本来であれば写真左手、飛鳥山公園側は満開の桜でピンクに彩られる時期だったのですが、残念ながらまだ開花の翌日で枝ばかりが目立っていました。それでも参加者の方は道路の上を走る電車や、線路の上を平気で走る車の姿が珍しかったようでカメラにその様子を収めていました。
飛鳥山公園内も桜はまだまだこれからでしたが、大勢の花見客が訪れ宴会を行っていました。飛鳥山は8代将軍、徳川吉宗が造成して桜の苗木を植える事業を行ったことで知られています。花見の時期に都心で風紀が乱れることを嫌った吉宗が御殿山や墨田川河岸とともに飛鳥山を整備し、吉宗自身もここで宴席を行ったそう。以来300年弱に渡り東京の桜の名所であり続けています。
公園の東側はJR線が走っています。ちょっと待っていれば京浜東北線や高崎線、東北・上越・北陸新幹線の姿を見ることができます。飛鳥山は都電、JRに挟まれ鉄道写真も多く撮れる鉄道ファンにも嬉しい撮影スポットなのです。

都電をバックに記念撮影。
イベントはこうして無事終了しました。拙い案内ではありましたが、参加者のほとんどが都電への乗車や沿線を訪ねることがはじめてで、新たな発見が得られる旅をお届けできたと思います。イベントを通じて都電荒川線と鉄道旅の魅力を知ってもらえたらこんなにうれしいことはありません。次回もおたのしみに。