初夏の九州! 阿蘇とくじゅう連山を目指す4泊5日の自転車旅(前半)

熊本県

2023.04.05

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初夏の九州! 阿蘇とくじゅう連山を目指す4泊5日の自転車旅(前半)

こんにちは! トラベルライターの土庄です。本格的に自転車シーズンが到来! これまで自転車旅のノウハウをお伝えしてきましたが、今回より実際に私が行ってきた旅を連載形式でご紹介していきます。第1回は、初夏の九州旅です。阿蘇くまもと空港スタートでダイナミックな阿蘇の地形を走り抜け、九州屈指の山岳道路・やまなみハイウェイへ。牧ノ戸峠から自転車を降りて百名山「久住山(くじゅうさん、標高1786m)」へ登頂したあと、日田からメイプル耶馬溪サイクリングロードで中津に抜ける約330kmの旅を楽しみました。

目次

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<1日目>飛行機輪行で阿蘇へ! 雨の1日でも楽しむ

<2日目>濃霧の阿蘇パノラマラインから南阿蘇グリーンロード

<2日目>肥後大津で友人と合流。絶景のミルクロード

<2日目>リベンジ阿蘇パノラマラインからゲリラ豪雨

<3日目>幻想的な鍋ヶ滝から瀬の本高原へ

<3日目>牧ノ戸峠から憧れのくじゅう連山縦走

<1日目>飛行機輪行で阿蘇へ! 雨の1日でも楽しむ

サイクリストにとって阿蘇は憧れの場所です。まるでRPGのようにダイナミックな地形と牧歌的な風景が広がり、どこを走っても気持ちいいとの呼び声が高い、まさに山岳絶景サイクリング王国。そんな阿蘇を走ってみたいと思って計画を立てました。GWの自転車旅の参考にいかがでしょうか。

飛行機輪行で旅の可能性もぐんと広がります。

飛行機輪行で旅の可能性もぐんと広がります。

阿蘇くまもと空港には全国の主要都市から飛行機が就航しています。私は伊丹〜阿蘇くまもとを利用しました。最初はハードルが高い飛行機輪行ですが、慣れてしまえばお手の物。飛行機に自転車を積載する際に、ギア側が下にならないように天地を指定します。

雨ならそのまま輪行で目的地までワープするのが吉。

いちご農園で出会ったご主人は人生の師匠です。

教えてもらった温泉施設へ行ったモン!

順調に阿蘇くまもと空港には着きましたが、現地はあいにくの雨。輪行を解除せず、阿蘇市街に向かうバスへ乗り換えました。自転車旅には雨はつきものということで、いつも天気予報をみながら代替プランを用意しています。この日はプランを変更してシーズン終盤ではありましたが、いちご狩りを楽しみました。

<2日目>濃霧の阿蘇パノラマラインから南阿蘇グリーンロード

何のために登ってきたんだ! という感じですが、振り返ればなぜか楽しかった思い出に。

濃霧に包まれる米塚はどこか幻想的。

束の間、覗く青空に期待したい……。

1日目に楽しめなかった阿蘇サイクリングを挽回すべく、早朝から行動! 阿蘇山上まで続くパノラマラインを駆け上がります。まだ雲は取れず、濃霧の中。季節は5月ですが肌寒く、山の世界の厳しさも感じながら、阿蘇らしい山岳世界を走り抜けました。

回復する天気の中、ダイナミックな山岳道路を上る。

回復する天気の中、ダイナミックな山岳道路を上る。

名古屋からやってくる友人と昼前に肥後大津で合流するため、もう一つの山越えを行います。阿蘇は二重カルデラとよばれる地形。中央の阿蘇五岳(あそごがく)を囲うように外輪山が発達し、いくつもの山岳道路が伸びています。選択したのはグリーンロード南阿蘇(通称:ケニーロード)。

斜度10%が来た瞬間、心が折れそうになります(笑)。

峠を上り終えると、見えてきた熊本方面!

ロングストレートを駆け抜ける爽快感がたまらない。

世界的レーシングライダーの名前から名付けられた高負荷な道は走り応え抜群! 10%を超える斜度の坂をじりじりと上りながら、幾つものカーブを抜けていきます。天気も徐々に回復し、南阿蘇のパノラマが素晴らしかったです。峠越えした後のストレートも爽快でした。

<2日目>肥後大津で友人と合流。絶景のミルクロード

名古屋から5時間電車で移動してきた友人と合流!

大学時代から友人とのご飯はいつも麺(笑)。

なんとか予定通り、肥後大津につきましたが、まだ1日の前半とは思えないほどの充実感に浸っていました。合流したのは学生時代から何度もともに旅をした親友。社会人になると会う頻度は減りますが、こうやってまた長期休暇を一緒に旅できるのは幸せです。まずはこれからの旅に備えゆっくりランチへ。

樹林帯を抜けると気持ちの良い青空がひろがります。

気持ちの良い草原の道で思わず笑顔に。

ふと自転車を止めて周囲の絶景を楽しむひととき。

2日目後半スタート。前半は黙々と1人で登りましたが、友人と一緒にいると心なしかペダルが軽くなります。天気も完全に回復し、最高に清々しいです。県道23号との分岐を過ぎ、本格的にミルクロードに入ると別世界に突入しました。

これぞ阿蘇!というミルクロードの道を疾走。

草原の先には阿蘇五岳。雄大さに心躍る時間。

崩落した道は自然の荒々しさを垣間見える。

草原の中を雄大に走る道。右手にはダイナミックな阿蘇のカルデラ地形のパノラマ。心に羽が生えたように無我夢中でペダルを漕いでいきます。途中、地震で崩落してしまったラピュタの道へ。美しさの裏に荒々しさも備えた阿蘇の自然。思わず立ち止まって、畏怖の念を抱きました。

<2日目>リベンジ阿蘇パノラマラインからゲリラ豪雨

なんと阿蘇パノラマライン開通という運のよさ。

なんと阿蘇パノラマライン開通という運のよさ。

体力的には結構消耗していますが、せっかくなら阿蘇の絶景を楽しみ尽くしたい! ということで、外輪山を下り、阿蘇パノラマラインへ入ります。なんと地震の被害により長らく通行止めだった下野線が復旧したばかりとのこと。話を聞いて早速走りにいきました。

新しいコンクリートの道は阿蘇復興のシンボルのよう。

PRGの世界を走っているような世界観の道。

阿蘇の草原と外輪山を眺める爽快なダウンヒル。

迫力抜群の山塊と青空に向かっていく道は、どこの区間を走っていても絶景で、特に下りは二重カルデラの大地にダイブするような臨場感があります。「これぞ阿蘇だ! 」という道を走る時間は、疲れを忘れるほどアドレナリンがたぎる最高のひと時です。

天気が崩れ、終盤はゲリラ豪雨に。

温泉に加えてお宿の自家製パスタも最高。

1日目のゴールは南小国にある宿。本日3回目の外輪山を上り切り、あとは下りという状況でゲリラ豪雨に襲われたのも今ではいい思い出です。ウェットな路面に効きにくくなるブレーキ。宿にたどり着き、近くの温泉に入った時は天国かと思いました。

<3日目>幻想的な鍋ヶ滝から瀬の本高原へ

カーテンのように流れ落ちる優美な滝。

滝の裏側に回って記念撮影!

阿蘇の噴火活動がもたらした滝というバックグラウンド。

ぐっすり眠れば、昨日の疲労も何のその。心機一転3日目のスタートです。最初は日本の滝百選にも選ばれている「鍋ヶ滝」へ立ち寄りました。岩盤からカーテンのように流れ落ちる優美な滝。この滝も阿蘇の噴火活動によりできたと聞くと、阿蘇の世界を自転車で繋いでいるこの旅のルートに壮大なロマンを感じられます。

◆鍋ヶ滝
住所:熊本県阿蘇郡小国町黒渕
電話:0967-46-2113
観覧時間:9:00~17:00
料金:高校生以上 300円、小中学生 150円、小学生未満 無料

のんびりと田舎道を走る時間も自転車旅の主役。

日中暖かい初夏には、ふとお蕎麦が食べたくなります。

秘湯感溢れる「旅館 山河」。

再訪時の懐かしさと新しさも旅の最高のスパイス。

鍋ヶ滝のあとは南小国の山間部や黒川温泉を抜けて、くじゅう連山山麓の瀬の本高原を目指します。この時、黒川温泉を素通りしてしまったので、また数年後訪れることに。時間の関係で全部取りこぼしなく巡るのが難しい自転車だからこそ、再訪の楽しみもあります。

新緑の木々を見ていると心も軽やかに。

さぁいよいよ九州屈指の山岳道路へ。

少しずつ景色が開けてくると、瀬の本高原が近いという証拠。季節はまだ5月初旬で、高原地帯は新緑の季節。淡く色づく木々が美しく、爽やかな高原の風景に癒されました。瀬の本レストハウスで休憩したら、いよいよ3日目ハイライトのやまなみハイウェイへ入ります。

<3日目>牧ノ戸峠から憧れのくじゅう連山縦走

青空と新緑の気持ちの良いコラボレーション。

青空と新緑の気持ちの良いコラボレーション。

やまなみハイウェイは九州屈指の山岳道路。昨日の阿蘇とは全く違って木々が生い茂っており、特に景色が開けているわけではないのですが、季節特有の色濃い新緑が見事でした。辛い坂のはずなのに、ペダルをこげば漕ぐほど元気が出てくるから不思議です。

自転車で九州最高所の峠へ来たぞ!

峠でいただくソフトクリームは格別。

今日のゴールはあの山の向こう。

芽吹く稜線には、ところどころミヤマキリシマの紫色も。

そして牧ノ戸峠(まきのととうげ)に到着! 標高1,330mの自転車で来れる最高地点です。ここからフェンスに自転車をロックして登山へ。本日のゴールは、くじゅう連山の山腹にある法華院温泉山荘です。登山口から約20分、沓掛山まで登ると、九州が誇る雄大な稜線が広がります。新緑が芽吹き、ところどころミヤマキリシマの花が咲いてきれいでした。

山塊の向こうに阿蘇の高原と山並み。

山塊の向こうに阿蘇の高原と山並み。

沓掛山(くつかけやま)からは基本的に緩やかな稜線を進む道。距離はありますが、ハイキング感覚で登山を楽しむことができます。開けたパノラマの向こうに、遠くに浮かび上がるのが阿蘇五岳。つい1日前までは、あの山の中腹を自転車で走っていたと思うと、「ここまでよく身体一つで来たなぁ〜」と、ちょっと優越感に浸ってしまいます。

日が暮れないうちに山荘を目指そう。

何とか夕暮れ前に到着! 感無量のゴールに。

山の上でおでんや豚しゃぶがいただける嬉しい。

お昼すぎに入山したため、法華院温泉山荘に到着したのは日没間際。ラスト、西日によって黄金色に輝く西千里ヶ浜が美しかったです。山荘には九州で最高標高の温泉もあり、夕食も豪華! 個室の空間で快適に宿泊することができました。翌日からは旅の折り返し! くじゅう連山の峰々への登頂以降の内容は次回お伝えします。

◆法華院温泉山荘
住所:大分県竹田市久住町大字有氏1778
電話:090-4980-2810

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Author

自転車旅 土庄雄平

Ambassador

自転車旅自転車旅

土庄雄平

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤務しながら、自然・暮らしに一歩踏み込んだ情報発信に精を出す。学生時代から、ライフワークにしている登山と自転車旅をかけ合わせ、四季に身を投じる旅スタイルで日本各地を巡っている。好きな被写体は、道や雪山の風景。最近は秘湯めぐりにハマっている。

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