【静岡】早春におすすめ! 伊東線・伊豆急行線で春を迎えに行く旅
静岡県在住、愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かけるLIKESライター・なおは、こよなく愛する鉄道を使って絶景巡りをしています。今回ご紹介するのは静岡県の例年2月上旬から開花し始める「カワヅザクラ」も有名な伊豆半島。半島東部を走るJR伊東線と伊豆急行線沿線の沿線から早春に訪ねるのにぴったりのスポットをご紹介します。
目次
春を探しに伊豆半島へ
こんにちは、旅色LIKESライター・鉄道担当なおです。今回、わたしは静岡県熱海市にやってきました。熱海は全国的にも有名な温泉地。東京から新幹線で45分ほどで来れる近さということもあって、連日多くの観光客で賑わっています。駅前の足湯も観光客で満員。鳩も足湯のこぼれ湯で温まっています。
今回は熱海駅から旅をスタート。伊豆半島を鉄道で巡る中で、早春におすすめの観光スポットをご紹介したいと思います。
JR伊東線・伊豆急行線のあらまし
2021年からE257系に車両統一された特急「踊り子」号
はじめにJR伊東線と伊豆急行線を簡単にご紹介。JR伊東線は熱海駅と伊豆半島東部の伊東駅を結び、伊豆急行線は伊東駅から南部の伊豆急下田駅を結びます。それぞれ別の鉄道会社ですが、特急「踊り子」号など多くの列車は両線を直通で結びますので伊東駅で運行会社が変わったという印象はあまりないかもしれません。ただ運賃は別計算で、青春18きっぷはJR線のみしか使えません。また、伊豆急行線内しか有効ではないフリーきっぷもあったりするので注意が必要です。
伊豆半島は観光スポットの宝庫ということもあって、ここを走る車両は各駅停車であっても観光用に工夫を凝らしたものがあります。上の写真は2022年にデビューした3000系アロハ車両。あれ、どっかでみたような? という方は目ざとい! かつて京浜東北線や房総地方を走っていた209系を転用したものです。
車体はウミガメ(ホヌ)などをあしらった南国ムード満点の絵柄。ハワイでは、ウミガメは神様の遣いとされていて、乗客や伊豆急行に幸せが訪れるようにと願いが込められています。
リゾート21「黒船電車」は1986(昭和61)年に初登場した歴史ある車両です。現在は普通列車として運行されていますが、一時は「リゾート踊り子」号の名で特急列車として運用されました。海側の座席はカウンターになっていて、ゆっくり伊豆の美しい海を眺めながら鉄道の旅を楽しむことができます。
来宮駅/日本一早咲きの梅を見に熱海梅園へ
それでは早春の伊豆の旅に出かけましょう。熱海駅からひとつ先の来宮(きのみや)駅で下車。歩いても熱海駅から20分ほどのところにある駅です。梅まつりが開かれている熱海梅園の最寄り駅で、シーズンには多くの観光客が訪れます。今年は3月3日(日)までです。
熱海梅園の歴史は古く、1886(明治19)年に開園しました。「温泉ばかりでなく、適度な運動をするのが健康に良い」という内務省の提唱をうけて、温泉地から少し離れた山がちのこの場所に造られたといいます。
梅は300種以上あるそうで、開花時期も1~5月まで幅があります。熱海梅園ではそのうち59種の梅が植えられているので、春の長い期間楽しめるのがいいですね。特にここでは早咲きの梅が多く植えられており、日本で一番早く梅の花を楽しめる場所といわれています。
◆熱海梅園
住所: 静岡県熱海市梅園町8-11
電話:0557-86-6218(維持管理室)
定休日:無休
入園料:無料 ※梅まつり期間中は一般 300円、市民・市内宿泊者・湯河原町民 100円、中学生以下 無料
梅まつり期間中の営業時間:8:30~16:00
アクセス:来宮駅より徒歩約10分
來宮神社の参拝も忘れずに
せっかく来宮に来たので、地名の由来となった「來宮(きのみや)神社」も参拝しましょう。熱海湾に漂着した木の欠片(神像の一部)をこの地に祀り、「木宮神社」と名乗ったことが始まりとされています。
神社、ご神木の大楠を参るだけでなく間近で写真をとるスポットやヒーリング体験など、かなり工夫を凝らしています。驚いたのは境内の中にカフェがいくつもあること。熱海ビールなんかも売っていて本殿を見ながらビールをいただけるユニークな神社でした。
◆來宮神社
所在地: 静岡県熱海市西山町43-1
電話:0557-82-2241
アクセス:来宮駅より徒歩約4分
富戸駅~城ヶ崎海岸駅/城ヶ崎ピクニカルコースをウォーキング
伊豆急行線の富戸(ふと)駅で下車しました。ここから少しウォーキングへとくりだしましょう。
富戸駅から徒歩12分ほどの宇根展望台から見た伊豆の海。
この時期の海はまだ冷たいイメージがあって楽しいのか、とお思いの方もいるでしょう。
むしろ少し寒い時期のほうが汗をかく量も熱中症の危険も少なくてウォーキングに向いていると思います。
富戸駅周辺や城ヶ崎海岸は、かつて大室山が噴火した際に流れ出た溶岩でできていて、柱状節理※1 の断崖絶壁が見られます。
※1 溶岩が流れ出たあと冷えて収縮するときにきれいな多角形状になってできた柱上の岩石の集合体。
富戸駅から城ヶ崎ピクニカルコースの入り口までは徒歩30分ほどですが、海岸や港を眺めながら歩けば全然苦になりません。富戸漁港はダイビングスポットとしても有名で夏はダイバーで賑わいます。
城ヶ崎ピクニカルコースに入ります。魚見小屋や砲台などの遺構を見て歴史を学びつつ道を進むと、このコース一の観光スポットが現れます。
それが「門脇(かどわき)吊橋」。吊橋は定員100名の頑丈なものですが、風の強い日などは少し恐怖を感じるでしょう。勇気を出して渡り、地上7階相当の高さから眺めた伊豆の海岸は壮観のひとことです。
コースの終点からは伊豆高原駅までのバスが出ていますが、1時間に1本しかないので乗り遅れないようにしましょう。わたしは30分ほど歩いて城ヶ崎海岸駅へ。名物の足湯に入りに来たんですが、残念ながら駅が無人化したときに利用休止となっていたようです。今は、待合所に自由に読める本が並んでいます。こちらを読みながら列車を待ちましょう。
◆城ヶ崎ピクニカルコース
所要時間:ピクニカルコース 約90分 ※ゆっくり観光しながら歩いた場合
スタート地点アクセス:富戸駅から城ケ崎ピクニカルコース入口まで徒歩約30分
ゴール地点アクセス:伊豆高原駅から東海バス「海洋公園」下車徒歩約2分
伊豆高原駅/温泉&名物海鮮丼に舌鼓
伊豆高原駅は伊豆急行線内最大の途中駅。伊豆の各観光地に向かうバスの多くがここから発着する、一大観光拠点です。駅には飲食店やお土産物店も並びます。
伊豆高原駅から徒歩約5分の「うまいもん処」。ここでピクニカルコースを歩いて消費したカロリーを補いましょう。
どーん! と現れたインパクト満載の丼「漁師の漬けどんぶり」(2,500円)は、まぐろとサーモンの漬けをこれでもかと山盛りに盛った漬け丼。「刺身を飽きるほど食べたいなぁ」と思ってる方の期待を裏切らない一品です。お供の伊豆高原ビールがまたうまい。ウォーキングで仕上げた体にしみこんでいきます。
◆うまいもん処
住所: 静岡県伊東市八幡野1180
電話:0557-54-5300
営業時間:11:30~20:30(LO 20:00、最終入店 19:30)
定休日:第1・3木曜日 ※繁忙期は営業
アクセス:伊豆高原駅より徒歩約5分

「うまいもん処」の隣には、日帰り温泉施設「立ち寄り温泉 伊豆高原の湯」があります。食後に温泉に即行できてしまう何とも便利な施設。海を望むことはできませんが、露天風呂もあって最高の癒しのひとときに。
◆立ち寄り温泉 伊豆高原の湯
所在地: 静岡県伊東市八幡野1180
電話:0557-54-5200
営業時間:10:00~24:00(最終入館 23:00)
定休日:第1・3木曜日(繁忙期は営業)
入館料金:大人(中学生以上)1,000円、子ども(4歳以上)500円
アクセス:伊豆高原駅より徒歩約5分
河津駅/早咲き桜の代名詞・河津桜で春の訪れを感じる
川端康成著『伊豆の踊子』の銅像がお出迎え。
伊豆急行でさらに伊豆半島を南下します。最後の目的地は河津駅。早咲きで有名なカワヅザクラを見に行きます。
カワヅザクラは河津町で1955年に偶然見つかった原木をはじまりに、日本各地で栽培されるようになった桜の品種です。2月上旬に開花して3月上旬まで咲き続け、花が長く楽しめることも特徴です。川沿いの道路には菜の花を植えているところもあって、黄色とピンクが同時に楽しめるところもあります。私が訪ねた2月10日はまだ三分咲きのほどの木もありました。2月いっぱい開かれる河津桜まつりの時期にはこの並木道が満開の桜で彩られ、多くの観光客でにぎわいます。
鳥たちもカワヅザクラの開花を待っていました。スズメやメジロが集まって競うように蜜を吸っていました。よく注意してみていると鳥たちが集まる木が見つかりますよ!
駐車場は広く取られているものの、河津桜まつりシーズンは車が大変混みあいます。伊豆高原駅で駐車して河津駅まで電車に乗ってアクセスすることがすすめられており、伊豆急行でも伊豆高原駅から伊豆急下田駅の各駅に下車できる「河津桜 パーク&トレインフリーきっぷ」が用意されています。
◆河津桜まつり
開催場所:河津町市街の河津川河川敷一帯
開催期間:2024年2月1日~2024年2月29日
アクセス:河津駅より徒歩約4分
◆河津桜 パーク&トレインフリーきっぷ
発売期間:2024年2月1日~2024年3月10日
有効期間:当日限り
料金:大人1,800円、子ども900円
フリー区間:伊豆急行線伊豆高原駅~伊豆急下田駅間
おわりに
まだ寒い日も続きますが、菜の花や梅、早咲きの桜も咲き始め春の訪れを感じさせてくれるようになりました。春を待つばかりでなく、春を迎えに行く旅も楽しいものです。JR伊東線・伊豆急行線で春を見つけるたびに出かけてみませんか?