大リニューアルした渋谷の楽しみ方とは!? 観光協会に聞きました

2023年12月、渋谷に新しい商業施設「サクラステージ」が竣工しました。本格的な開業は夏頃ですが、これで渋谷の再開発もひと段落……と思っていたら、今後も新しい商業施設の開業が続きそう。行く度に変わっていく渋谷をどう楽しめばいいのか。渋谷の街を一番案内しているであろう渋谷区観光協会で、PRマネージャーの西さんに伺いました。渋谷はこれからどうなるんでしょうか?
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前職はプロバスケットボールチームの広報。「サンロッカーズ渋谷」に携わった際に、渋谷に魅了されて、現職へ。渋谷駅周辺の観光案内の難しさは、「今日と次来た時では道(動線)や建物が変わっていることがあります」。渋谷を楽しむゴールデンモデルコースを無数に繰り出してくれます。
渋谷の開発は今後も続く
――ついにサクラステージが竣工しました。これで渋谷の再開発は一旦完了でしょうか?
渋谷駅の西口側と東口側を繋ぐという意味で大きな再開発でしたが、「完了」というよりは「通過点」という感じだと思います。ただ大きな転換期ではありました。今までは、マークシティや渋谷フクラスのある西口側と、宮益坂やスクランブルスクエアがある東口側の往来が、回り道をしなくてはいけないなど不便だったんです。サクラステージが渋谷ストリームと繋がったことで利便性は格段に上がり、これから店舗がオープンすれば賑わいが増して、ますます渋谷を歩く楽しみも増えると思います。

サクラステージの本格開業は夏頃
――渋谷の再開発はまだ続くんですね!
例えば、4月17日(水)には原宿・神宮前の交差点に「ハラカド」が、4月25日(木)にはスクランブル交差点の正面にあるQFRONTに「SHIBUYA TSUTAYA」、5月には渋谷駅から見てヒカリエの奥に「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」ができます。渋谷区観光協会が拠点を置くマークシティの周辺も工事中で、今まさに大開発の最中。まだ10年以上はこの変化が続くんじゃないでしょうか。
――そんなに……! いまの渋谷で一番人気の場所はどこですか?
スクランブルスクエアの展望施設「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」のチケットは、今や入手困難なほど人気です。忠犬ハチ公像のところに観光案内所があり、私は常にそこにいるわけではないですが、観光案内所を訪れるとほぼ毎回スタッフがSHIBUYA SKYのことが聞かれています(笑)。ただ、ほかにもいろいろあります。なにより渋谷は、歩くことが楽しい街なんです。
外国人観光客が訪れた街ナンバー1は渋谷。満足度も高い
東京都産業労働局が行なった外国人旅行者向けの調査(※1)で、渋谷の満足度が高いことがわかりました。その理由を考えてみると、渋谷区にはいわゆる“カワイイ(kawaii)”や“奥渋”などの最新カルチャーや流行がある一方、少し歩けば明治神宮など神社やお寺など伝統的な文化も感じられます。また緑も豊かで、のんびりお散歩もできますし、ハイブランドの買い物もできる。今どきのおしゃれなカフェの隣には、老舗のお茶屋さんが並んでいることもあります。つまり日本の魅力をぎゅっと凝縮したような街だと思うんです。またそれが常にアップデートされているのも、渋谷のすごいところ。だからこそ、駅前の忠犬ハチ公像を見て、スクランブル交差点で写真を撮って終わりではなく、もう一歩踏み込んでほしいです。
※1 「令和4年国・地域別外国人旅行者行動特性調査」(東京都産業労働局)
注目の渋谷新名所は“公共トイレ”!?
――それでは今後渋谷でおすすめの場所はどこですか?
「THE TOKYO TOILET(ザ・トウキョウ・トイレット)」です。渋谷区内17ヵ所に、16人のクリエイターが手掛けた公衆トイレ・公園トイレがあります。日本のトイレのきれいさは世界一だと言われていますよね。誰もが安心して利用できること、清潔さ、なによりトイレをきれいに使う気遣いは日本が世界に誇るべきものということから、渋谷区は公共トイレを日本のおもてなしの心を象徴するものとして、この取り組みをスタートさせました。17ヵ所の公共トイレを、世界で活躍するクリエイターにデザインしてもらい、2023年に完成。アカデミー賞にノミネートされた映画『PERFECT DAYS』の舞台になったことから、注目が集まっています。
――笹塚にもありますよね! 偶然見かけて、公共トイレだと知って驚きました。
「七号通り公園トイレ」ですね。あそこはとても革新的ですよね。約60%の人がトイレの洗浄レバーを足で踏んで流すなどできるだけ触りたくない人が多いという調査結果を受け、ドアを開けるところから水を流すところまで、すべて音声で行えるんです。ほかにも、原宿警察署のそばにある「神宮前公衆トイレ」はファッションデザイナーのNIGO®さんがデザインしたもので、外観の写真を撮ってらっしゃる人が多くいます。清掃員の制服もNIGO®さんが手掛けたんですよ。渋谷区観光協会では「THE TOKYO TOILET」を巡るオフィシャルツアーも始めました。
◆THE TOKYO TOILETプロジェクト
多様性を受け入れる社会の実現を目的に実施する公共トイレプロジェクト。渋谷区全面協力の下、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できる公共トイレを区内17カ所に設置する。趣旨に賛同する16人のクリエイターが参画し、デザイン・クリエイティブの力で、新しい社会のあり方を提案する。
ひと言で表すのがもったいない街「渋谷」
――トイレが観光名所に!
というのも、渋谷って名産品やお城などの歴史的建造物など、わかりやすい観光スポットが少ないんですよね。場所というよりは、カルチャーなど無形のものが、渋谷を象徴するものだからなのかもしれません。なので、「歩くのが楽しい街」なんです。意外かもしれませんが、渋谷には商店街や昔ながらのお店がたくさんあります。もちろん、日本初上陸のお店も。おいしいごはん屋さんも、リフレッシュできる公園もありますし、洋服も電化製品もなんでも買えます。神社もあるので、初詣だって行けます。渋谷で働いていると実感しますが、渋谷にはすべて揃っているので出られなくなるんです(笑)。
――その魅力に観光で触れるためにはどうしたらいいでしょうか?
ひと駅ふた駅は歩けるのが渋谷のよさだと思うので、メインストリートから一本横道や脇道に入ってもらいたいですね。街自体の歴史もあるので、意外な名店や新しい発見があります。オフィスビルも増えましたし、日中は危ない場所はありません(笑)。また、渋谷区のなかでも代々木や恵比寿、原宿、千駄ヶ谷などに足をのばしてみると、それぞれにまったく違う雰囲気だと感じると思います。渋谷は、ひと言で表現するのはもったいないくらいいろんな顔を持つ街なので、ぜひ歩いてそれを感じてください。また、変化を楽しんでほしいですね。これからも新しい商業施設ができて、新しいカルチャーも生まれると思います。そんな変化を体験できる街はなかなかないので、“今しかない”渋谷を歩いてほしいです。
「旅色」で渋谷エリアを大特集
100年に一度ともいわれる再開発の真っ只中にある渋谷は訪れるたびに新たな発見があります。「旅色」でも、矢田亜希子さんが新旧の渋谷を巡る『月刊旅色』をはじめ渋谷を特集しています。旅色のファンコミュニティ「旅色LIKES 」でも、渋谷のアートトイレを巡るイベントを開催します。ぜひ今だけの渋谷を訪れてください。