「空に一番近い」鉄路を走るリゾートトレイン

こんにちは、なおです。今回は、長野県小諸（こもろ）駅に来ています。駅名標が星空をイメージされていてきれいです。

小諸駅と山梨県の小淵沢（こぶちざわ）駅を結ぶJR小海（こうみ）線は日本で最も高い場所を走る鉄道路線です。空に一番高い場所を走るうえ、野辺山（のべやま）宇宙電波観測所などの天体観測所もあることから「天空の旅」をテーマに沿線の活性化をしています。

小海線の旅をさらに楽しいものにしてくれるのが、今回乗車する列車、HIGH RAIL1375です。高い場所を走るから「HIGH RAIL」。1375は日本の鉄道最高地点、野辺山駅付近の標高1,375ｍから命名されています。

今回わたしが乗るのは14:33発の「HIGH RAIL1375 2号」です。

八ヶ岳の上に広がる星空を模したエンブレムが爽やかです。

ボディも星空で彩られています。

星空に誘われるように車内へ

それでは車内をご紹介しましょう。車両は2両編成。乗車すると惑星の描かれたウェルカムボードが出迎えてくれます。

1号車は長閑な車窓をゆったりと眺められるカウンター席と2人で談笑しながら車窓を眺められるペアシートの2種類あります。

ボトルワインとピンバッジを購入しました。

1号車の前方部は売店になっていて、列車のオリジナルグッズやソフトドリンク、お酒などが販売されています。

夜空の星がちりばめられた模様のモケット。

2号車はペアシート主体。惑星や人工衛星などの描かれた壁紙がこれから始まる宇宙への旅（実際は陸上の旅ですが）への期待を感じさせてくれます。

星空を楽しめるHIGH RAILギャラリー

列車最大の特徴は2号車最後部、HIGH RAILギャラリーにあります。ギャラリーの中には、星にまつわる本が並べられており、車中で読むことが可能なのです。

はくちょう座、ヘルクレス座、かんむり座。

ペガサス座、やぎ座。

へびつかい座、さそり座。子供のころに覚えた記憶がよみがえります。

半球形ドームの天井には、星空の映像が投影されていて、プラネタリウムのよう。実はわたしは小学生のころ、天文ファンでしたので、昔を思い出しわくわくした気持ちになりました。

歓迎を受けながら高原の中を走る

列車は小淵沢駅に向けて走り出しました。小諸駅を出るとしばらくして佐久平駅に到着します。北陸新幹線との接続駅で、東京や金沢方面から来る方はここからの乗車が便利です。

中込駅でしばらく停車。

中込駅の名標も星空をイメージ。

お見送り。なんか動物がいる！

中込（なかごみ）駅ではJR職員さんの熱烈歓迎を受けました。しばらく停車しているので、一緒に団扇をもって記念撮影をすることもできます。ちなみに、写真を撮るときのアテンダントさんの掛け声は「はい、レール！ 」です。

羽黒下（はぐろした）駅は運転停車※1。近所の子供が電車を観にやってきます。「ぼく、大きくなったらあの電車運転するんだ！ 」と語っているのが聞こえてきそうです。

※1 駅についても乗客の乗り降りはない停車のこと

小海線の中心駅「小海駅」を通過すると高原らしい風景が見られるようになります。

小海駅のある小海町は緑豊かな高原の町。今回は通過してしまいましたが、旅色FO-CALでご紹介していますのでぜひこちらもご覧ください。

自然や人の温もりに触れ、心が軽くなる「旅色FO-CAL長野県小海町」

小海線の沿線には小海駅のほか、海尻駅、佐久海ノ口駅と山の中にも関わらず「海」のつく駅名が並びます。日本では湖のことを「うみ」と呼ぶことがあり、かつて小さな湖が存在したこの地域を「小海」と呼びました。また、湖の入り口を、出口にあたる部分のことを「海ノ口」「海尻」と呼んだそうです。

野辺山駅に近づいてくると、レタスやキャベツなどの畑が一面に広がります。野辺山高原は高原野菜の栽培が盛んな地域です。夏も冷涼でレタスなどの野菜を栽培するのに適した地で、戦後の生野菜の需要拡大に伴い生産が始まったそうです。

日本の鉄道最高地点の駅「野辺山」へ

列車は野辺山駅に到着しました。標高1345.67mで日本の鉄道の中で最も高い場所にある駅です。野辺山駅でも少し停車時間があります。記念撮影を楽しんでみてはいかがでしょうか。

教会のようなかわいい姿の野辺山駅。駅前は観光案内所やお土産店も並びます。

駅舎の天井をフラッシュ撮影すると、正座の姿が浮かび上がります。

最高地点を経て、終点小淵沢へ

野辺山駅を出て少し過ぎると右手の踏切近くに見えるのが、JR鉄道最高地点の碑。1,375ｍと刻まれています。日本の鉄道で到達することができる最高地点です。

高原野菜畑の向こうに見えるのが、国立天文台野辺山宇宙電波観測所です。湿度が低くて塵の少ない野辺山は観測に最適な場所。宇宙からの弱い電波を受信して星間物質を観測、より深く宇宙の姿を調べ研究を続けています。

タレントショップなどが出店して賑わった清里は、日本2位の標高を誇る駅で、ここから山梨県に入ります。

周辺はペンションの多い地域で、夏は避暑地として賑わいを見せる場所です。雄大な山々を見ながら列車は山を駆け下りて、終点の小淵沢駅に向かっていきます。

2019年に生まれ変わった新駅舎。

展望台から雄大な山々が望めます。

列車は16:57、定刻通り終点小淵沢駅に到着しました。星野リゾートのリゾナーレ小淵沢が車ですぐの場所にあり、鉄道の旅を終えてホテルに向かう乗客もいました。

初夏の高原の景色の楽しめ、星空をイメージした車内でしばしの間宇宙の旅も楽しめたような気がします。この夏は日本で一番空に近い鉄道、小海線で「HIGH RAIL1375」の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

◆「HIGH RAIL1375」運行案内
運行区間：JR小海線 小諸駅～小淵沢駅間
運行スケジュール：毎週土日祝に1往復
※夏期休暇期間は臨時ダイヤルの場合があります。詳細は公式ホームページをご確認ください。

プラスワン情報！ 帰路は「HIGH RAIL 星空」で

高原列車の走る姿が楽しいお弁当箱。小淵沢駅は駅弁も有名です。

中はこんな感じ。季節によって変わります。

ギャラリーでは星空映像上映会開催。

乗ってきた列車は、折り返し18:17発の「HIGH RAIL星空」となります。事前予約をすると特製弁当（1300円）をいただけるほか、ギャラリーでは特別上映会も実施。野辺山駅では50分ほど停車して、かつて天文台でお仕事をされていた「星空案内人」が星空をガイドしてくれます。夏は日が高いのでやや星が見えにくいですが、季節を選んで満天の星空を楽しむのも素敵ですよ！（※雲の多い日は中止）

◆「HIGH RAIL星空」運行案内
運行区間：JR小海線 小淵沢駅から小諸駅
運行スケジュール：1日1便
※夏期休暇期間は臨時ダイヤの場合があります。詳細は公式ホームページをご確認ください。