自転車旅の原点! 瀬戸内サイクリングで気づいた魅力とおすすめスポット4選
こんにちは! 山岳自転車旅ライターの土庄です。学生時代に関西で自転車旅を始めた私。隣接している瀬戸内エリアは、ホームグラウンドと言っても過言ではないほど何度もサイクリングへ出かけた場所です。今回は、瀬戸内自転車旅の魅力と2022年に開通したゆめしま街道や、瀬戸内国際芸術祭のアート作品などのおすすめスポットをご紹介したいと思います。
目次
ふと自転車に乗って冒険をしたくなった時、訪れるのはきまって瀬戸内。パステルカラーの海と、心地よい潮の香り。雑踏はなく、ただ穏やかに時間と風景が流れていきます。島をぐるりと一周するもよし、船で島と島を渡ってもよし。潮待ちの集落で黄昏たり、島のグルメをいただいてみたり。瀬戸内自転車旅をすると、いつも表現し尽くせないたくさんの旅情で満たされます。
瀬戸内自転車旅の魅力①:簡単に自分だけのルートが組める
なかなか長期連休の取れない社会人は、短い日数でいかに楽しめるか?ということも重要ですよね。瀬戸内は、輪行(※)を活用して、関西から新幹線やフェリーで簡単にアクセスできるのです。
※輪行:自転車を専用の袋に入れて交通機関で運ぶこと
例えば、大阪南港〜東予港を結ぶオレンジフェリーで四国へ渡り、自転車でしまなみ海道を縦断し、新尾道〜大阪まで新幹線で帰るルートは私も重宝していました。 たまに、普段素通りしていた「三原駅」で降りてスタート地点に設定したこともあります。スタート・ゴールの設定次第で、自分だけのオリジナルルートを組むことができるのが魅力と言えるでしょう。
瀬戸内自転車旅の魅力②:走る楽しさを味わえるロケーション
自転車旅において、一番大切と言っても過言ではない“走る楽しさ”。瀬戸内ではそれを思いっきり味わうことができます。
瀬戸内の離島は、外周コースのアップダウンが少ない道も多いです。そのため時速25km前後の、気持ちのいいスピードで巡行することができ、一度走れば病みつきになってしまいます。
風が爽快で、海はひたすらに美しい。風景がリズミカルに、そして心地よいテンポで流れていきます。車でもバイクでも徒歩でも味わえない、自転車ならではの感覚です。自転車で走る楽しさや、自転車で旅をする根本的な魅力を思い出させてくれる場所。それが瀬戸内というエリアなのです。
瀬戸内自転車旅の魅力③:旅情ある寄り道が楽しめる
ふと「あの場所は景色がよさそうだな」とか「この路地裏が少し気になる」とか「ここで写真撮りたい」など、立ち止まって寄り道したくなる瞬間がありますよね。機動力バツグンの自転車なら、そんな普段はスルーしてしまうスポットや風景もしっかり捉えて、発見に富んだ旅をできるのが大きなメリットです。
寄り道がてら自転車を走らせて、ご当地グルメをいただく時間も旅情たっぷりです。旅先の空気感に溶け込み、地元民と肩を並べてお腹を満たす。自転車旅をしていると、まるで自分もその土地の一員になったような幸せな気持ちになれます。
瀬戸内でおすすめの自転車旅スポット4選
ここからは、私がおすすめする“自転車で旅をしたい瀬戸内スポット”をご紹介します。走りごたえのあるヒルクライムスポットから、瀬戸内の歴史を感じさせる場所、美しい海を堪能できる一周コースまで盛りだくさんです。
【愛媛県】岩城島・積善山(ゆめしま海道)
サイクリストの聖地「しまなみ海道」のすぐ横にある愛媛県上島町の4島。もともと弓削島・佐島・生名島(いきなじま)の3島が橋でつながっていたのですが、2022年に岩城島(いわぎじま)をつなぐ最後の橋が完成し、正式に「ゆめしま海道」として開通しました。一度、船で渡らないとアクセスできないため、交通量が少なく、穏やかな島時間に浸りながら、気持ちのよいサイクリングを楽しむことができます。
積善山(せきぜんさん)は、標高370m。岩城島の最高峰にあたるスポットです。麓の港から約5kmのヒルクライムが必要ですが、自転車でアクセスできます。進むごとに視界が開け、山頂に待っているのは360度の大パノラマ。山頂展望台から眺める瀬戸内海の多島美は忘れられません。春には“三千本桜”と親しまれるように、一帯がピンク色に満たされます。
【愛媛県〜広島県】大崎下島・御手洗地区(とびしま海道)
裏しまなみ海道の愛称をもつ「とびしま海道」。愛媛県岡村島から広島県呉市までつながっている片道約30kmの海道です。「しまなみ海道」に比べて、ややアップダウンが大きく補給箇所も少ないため、玄人向きの内容になっています。一方で、瀬戸内海の原風景が根付いており、他では味わえない旅情を感じるルートのため、マニアから根強い支持を得ています。
そんなとびしま海道イチオシのスポットが、大崎下島の「御手洗(みたらい)地区」です。かつて海上航路の中継地、潮待ちの港として繁栄したこの町には、江戸から昭和に至るまでたくさんの貴重な建物が残っています。まるで前の時代にワープしたかのような、歴史情緒を味わえる場所です。気持ちよく走り抜ける旅もいいですが、ふらっと寄り道をして、非日常な時間を楽しむのも一興。
旧医院をリノベーションして運営されているゲストハウス醫(KUSUSHI)が個人的におすすめのお宿です。四国から昇る朝日が美しいので、ぜひ泊まりがけで訪れてみてはいかがでしょうか。
◆ゲストハウス醫
住所:広島県呉市豊町御手洗255-2
電話番号:070-2365-0924
予算:1泊4,000円~
【香川県】小豆島・三都半島一周
私にとって自転車旅の原点である「小豆島」。どこを走っても素晴らしい景色を楽しめますが、ぜひともおすすめしたいのが、島の南部に位置する「三都(みと)半島」です。一周32kmという適度な距離のコースには、小豆島の素晴らしさが詰まっています。スタートは半島東の付け根にあたる小豆島オリーブ園から。異国情緒漂う風景に始まり、ストレスフリーなシーサイド道路を経て、先端の釈迦ヶ鼻を目指していきます。
晴れた日の海の透明度は、瀬戸内海でも有数の美しさ。また適度なアップダウンに富んでいて、海と山の両方の風景を楽しめるのも魅力です。2月には河津桜が花開き、お花見スポットとしても話題です。
瀬戸内国際芸術祭の会場の一つでもある小豆島。2022年の会期は、三都半島にも新たなアート作品が展示されているほか、過去の作品も一部そのまま残されています。自然と一緒にアート作品も巡ることのできる稀有なサイクリングコース。マイ自転車を持ち込む以外にも、各港から「HELLO CYCLING」というレンタサイクルも利用できます。電動自転車も貸し出しており、乗り捨ても可能です。
【広島県】鞆の浦 & 田島・横島一周
近年、密かに話題を集めているのが、広島県福山市から鞆の浦(とものうら)を経由して、田島と横島という二つの離島を巡ってくるサイクリングルートです。まだ海道の名前を冠していませんが、自然風景から歴史文化まで、幅広い魅力が詰まっています。鞆の浦は古来より海上航路の中継地として栄え、朝鮮通信使なども立ち寄った潮待ちの港。常夜灯をはじめとして、当時の港湾都市の姿が現存している稀有な場所です。
田島・横島の一周は走りごたえのある道。どちらの島も険しいアップダウンを備えており、中でも田島の南側は、まるで世界遺産・屋久島一周を走っているような鬱蒼とした林道です。その先には、横島の美しい海岸線の道が待っています。やや玄人向きではありますが、野趣と爽快さに富んでいる素晴らしいコースをぜひ一度走ってみてはいかがでしょうか?
瀬戸内自転車旅は、絶景スポットを巡りながら走ることの楽しさを感じ、自転車で旅する原点に立ち帰ることができます。今後の連載でも、北は知床から、南は屋久島まで、絶景を求め、自転車で巡った詳細をお伝えしていこうと思います!