「書く」ことよりも「書かない」選択を。高橋久美子さんによるライター講座
6月22日、高橋久美子さんをゲスト講師に招き、第五回ライター講座を実施しました。今回はオンラインで参加したメンバーに加えて、会場に来てくれた方も! 旅色LIKES初のハイブリッド形式の開催となりました。事前にメンバーが書いた原稿を高橋さんが添削。添削内容をもとに、作家の視点で文章を書くコツを解説いただきました。気になる講座内容を一部ご紹介します。
目次
ゲストは高橋久美子さん
1982年愛媛県生まれ。作家、詩人、作詞家。バンド、チャットモンチーのドラマーとして活躍後2012年より文筆家として活動する。詩、エッセイ、小説、絵本、絵本の翻訳のほか、様々なアーティストに歌詞提供を行っている。主な著書に、旅エッセイ集『旅を栖とす』(角川書店)、小説集『ぐるり』(薩摩書房)、詩画集『今夜共謀だからわたし』(ミシマ社)エッセイ集『いっぴき』(ちくま文庫)など多数。近著『その農地、私が買います』(ミシマ社)が話題。旅色LIKESではエッセイ「旅のメモ帳」連載中。
テーマは「夏休みと旅」
添削希望者には「夏休みと旅」をテーマに、400~800文字という制限を設けて自由に書いてもらいました。集まった原稿の中には、子どものころの体験や、印象的だった旅の情景など、さまざまな「夏休みと旅」が書かれていました。
旅エッセイは難しい!
高橋さんによれば「旅エッセイは色んなエッセイの中で一番難しい」のだそう。正確な地理や歴史等の情報に加え、同じ場所を旅していない人に町の風景・味・匂いを伝える表現力が必要だからです。「感動した」「きれいだった」「おいしかった」で終わる方が多かったですが、自分だけの視点、描写力が大事。つい珍しい場所へ行ったことをフューチャーしがちですが、重要なのは「どこへ行ったか」ではなく「何を感じたか」なんですね。
「リズムのいい文章」を意識する
高橋さんは文章を書くとき、「声に出して読んだときに心地よいリズムになっているか」必ず確かめると言います。今回特に気になったことは、体言止めが多用されているということ。体言止めは使いすぎてしまうと雑な文章に見えてしまうので、1~2か所で留めておくと効果的です。
文章は「書かない」選択が重要
旅のエッセイでは、始めから最後まで全ての出来事を書く必要はありません。メンバーの原稿をチェックしてみると、文字数制限があるにもかかわらず、旅に出るまでで制限文字数の半分以上を使っている方も。肝心の旅の出来事が描写できず、もったいない例もありました。 文章は「書くこと」よりも「書かない」選択をすることが重要なんですね。欲張らず、本当に書きたいことだけを書くように意識しましょう。
参加したLIKESメンバーからの感想
講座終了後、会場に来てくれたメンバーは高橋さんから原稿を受け取り、直接アドバイスをいただきました。講座後、高橋さんに直接質問をしてメモに書きとめる姿も。高橋さんの著書にサインを書いてもらったメンバーもいて、わずかな時間ではありましたが高橋さんとの交流を楽しめたようです。講座に参加したメンバーからコメントが届いたのでご紹介します。
なおさん(一期生)
体言止めはリズム感を出そうと思って多く使ってみましたが、あまり効果はないとわかりました。普段書くブログとは違うところもあり戸惑うところもありましたが、表現力を磨いて、読み手にも旅に行った感覚を五感で感じてもらえるような文章が書けるといいなと思いました。
ERIさん(三期生)
観察力や表現力が大切なこと、全部書こうとしないこと、目的を決めた起承転結など、今回学んだことを意識して文章を考えたいと思いました。
とろさん(四期生)
イベントありがとうございました。ポイントがわかりやすく、参考になりました。何度も添削したのは確かですが、実は詳細を覚えていなくて書けなかったのが功を奏したので、学んだ内容を活かして文章を書けるようになりたいと思います。
今後の旅色LIKESにもご注目
8月で1周年を迎える旅色のファンコミュニティ「旅色LIKES」では、旅好きな仲間がたくさんの情報を発信しています。次回は7月15日(金)より五期生の募集を開始! みなさんとお会いできることを楽しみにしております。