短歌を通して旅の表現を広げる。歌人・東直子さんのライター講座
いろんなことに興味津々な旅色LIKESライターのERIが旅や旅色LIKESのイベントでの体験と学びをレポートします。今回は、ゲスト講師に歌人の東直子さんを招いたオンラインライター講座。旅をテーマにした短歌を提出して添削していただけるという実践講座です。短歌について何もわからない私でしたが、その面白さや、奥深さも知ることができた貴重な機会となりました。
目次
お題は「旅」。31文字で表現をする難しさと楽しさ。
「短歌」について何もわからない私は、今回の講座はちょっと難しそうで参加を躊躇していたのですが、「俳句」の季語のように決まりがなく、思ったことを自由に表現して良いとのことで、少し気持ちも楽になり参加してみることにしました。
お題は「旅」。作品を提出しようと二首ほど作ってみたところで行き詰まってしまったので、ネットでさまざまな方の作品を見てみることに。どうやら見た景色をそのまま表すだけでなく、そのときの感情や気持ちも歌に絡ませるといいようです。旅に出て気づいたこと、感じたこと、その時の感情ってどうだっただろう? 頭に思い浮かべながら5・7・5・7・7の31音で表現するというのはまるでパズルのような感覚。なんだか楽しくなってきて、躊躇していたくせに最終的に5首も提出。ただ、今思うと最初のほうに作った歌は景色を読んだだけのなんだかつまらないものだったなとはずかしくなりました。
講師は歌人・作家の東直子さん
NHKの朝ドラにも短歌を読む人物が登場するなど、いま短歌がひそかにブームとなっているよう。今回の講座も一般の方含め27名参加されました。
歌人の東直子さんは親しみやすそうな雰囲気の方で、お話も興味深いことがたくさん。「自分の主観や喜怒哀楽と風景を絡み合わせて表現できたり、カタチに言葉を当てはめる楽しさだったりが短歌の魅力。今回のお題では、旅先に行って気づいたことや、その土地の歴史など広い視野でみるといろんなことが浮かんでくる、それをどのように表現するのか、ことばの描き方が大事」。批評を聞いていくと、その意味を知ることができました。
応募作品の中から10首を評価

おはずかしい話なのですが、夫婦げんかでイライラし、一緒にいたくなくて家を飛び出したまま旅に出ちゃった……そんな実体験をもとにした歌でした。家を飛び出したときには、怒りだったり悲しい気持ちでいっぱいだったのですが、露天風呂に入ったり、きれいな景色を眺めたり、気ままに旅をしているうちにだんだん心が晴れていったという気持ちを表しました。
全体的なバランスで漢字ばかりになってしまうと重たいなと思ったのでカタカナを入れてみたりしたのですが、先生にはそこが面白いとほめていただけたのと、この歌に込めた思いを見事に解説していただけうれしかったです。
読み方や表記でグッと変わる、短歌の奥深さ

東さんに赤入れしてもらった原稿
東さんの添削では「夜列車乗り」の部分が「夜列車」とも読めてしまうのと、漢字が続きちょっと重たいかな?ということで……と添削していただきました。
名詞がなくても伝わるということにびっくり、そしてなんだかリズム感が出て、気持ちの変化がより伝わるような歌になったとおもいませんか? すごい、さすが東さんです。

ほかの方の短歌の評価でもたくさん学べることが。句点は短歌ではあまり使わないそうですが、使うことで涙のように見せたりすることもあるとか、文字そのものでも表現の違いを見せたり、名詞畳みかけ手法というスピード感があり短い言葉で表現する方法などいろんな表現の仕方があり奥が深く興味深いものでした。
感情を豊かに、発想を広げてくれた短歌
「言葉遊び」のような描き方、というのがまさに面白い。また旅をきっかけに短歌を作ってみよう。いや短歌をきっかけに旅に出てもいいのかなぁ、とか思ったりしてちょっと短歌の世界へのめり込みそうな自分がいました。
そして「言葉」がすごく大事だと思えてきて、感情を豊かにしてくれ発想を広げてもくれるステキなモノだなあと感じることができました。
また短歌を作ってみよう。